杏林大学呼吸器内科 『あんずの呼吸 part2』

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コソ染め太郎のコソ染め日誌12

2011年07月28日 | こそ染め道場
お疲れ様です。コソ染め太郎です。

人は年月を経て変わるものです。
学生の頃は「EBMなんて…」と思っていた自分がガイドラインを覗き見て、
統計の授業が嫌いだった自分が感度得意度を気にし始め、
昔嫌いだった女優さんがなんだか好きになってきたりしています。


いいですよね、最近の広末涼子







そう、人は変わるもの。

しかし菌が変わってゆくのは大嫌い!!許せん!!
今日は菌交代のお話です。


という事で今日のコソ染めです。

誤嚥性肺炎でSBT/ABPCを1週間くらい投与されたPtです。(実際の症例に加筆修正し架空の症例となっております)



炎症は微妙に続いてましたがほとんど変わりなく、

「もういいんじゃね?」

と抗菌薬を中止したところ数日後にまた誤嚥性肺炎を起こしました。






グラム染色上、誤嚥ぽいんですが、陰性桿菌が目立ち、培養からESBL産生のE.coliが検出されたためPIPC/TAZにて加療を行いました。


治療開始後、炎症は軽度改善した後は横ばいでした。
↓治療5日目の痰です。


う~ん。効いている。
コリネばかりになってきました。これで一安心ですな。



治療10日目。炎症は相変わらず横ばい。
痰のグラム染色では少しグラム陰性桿菌が増えてきた印象。(すいません、画像なしです)
まさかPIPC/TAZ耐性してきたか?

まぁ、痰の白血球も少なくなってきましたし、臨床症状的にも肺炎は治っていると判断。
もう早めに切っちゃえとPIPC/TAZをoffしました。


これで一段落…と思っていた矢先。
また肺炎を起こしました。






うわ~、PIPC/TAZ耐性のESBL産性E.coliかよ!?


「もうカルバペネムしかねぇ!」


と敗北感に打ちひしがれていた所に前回の(PIPC/TAZ治療10日目に行った)培養の感受性結果が出てきました。
なんと…


ESBL産生E.coli!!!


もちろんPIPC/TAZは耐性進んでいます。



つまり…
前回肺炎を起こしたE.coliと今回のE.coliは別物だったんです!



それにしても、こんな菌交代もあるんだなぁと感慨にひたりつつ、感受性を見てCTMにて加療を開始しました。


しかし拭いきれないこの敗北感……
やっぱり感染症って難しいですね。

メモ帳

2011年07月28日 | あんずのきしめんの部屋
 あるレジデントは何もかもが初めてのころ、その一個一個をメモを取りまくって取りこぼしがないようにしていた。しばらくするとメモを頼りに逆にこちらが指摘してもらえることも出てきて、たいそう感心した記憶がある。(心の中では「こんな短期間ですごい・・・」と思った。)こうい先生との出会いが楽しい。やっぱメモは大事。。