今、出発の刻(たびだちのとき)

車中泊によるきままな旅
<名所旧跡を訪ねる>

春日山 林泉寺(新潟県上越市中門前)

2013年06月16日 | 神社・仏閣
春日山 林泉寺の歴史
明応6年(1497)年、越後国守護代長尾能景公が亡父重景公の17回忌にあたり、長尾家の菩提所として創建された。それから40年後、能景公の孫上杉謙信公は6世天室光育大和尚に学問を、7世益翁宗謙大和尚について禅の教えを学んだ寺である。

惣門
JAFMateという冊子に「お國navi(歴史を感じる旅)」という旅心がくすぐられる記事と写真がある。そのなかでも林泉寺の朝霞につつまれた雪景色の惣門の写真が頭から離れず、今回の旅に大きな影響を及ぼすことになった。当初、小樽港からフェリーに乗り、舞鶴港まで行く予定であったが、新潟港に変更して下船、途中立ち寄りたい所もあったが最初の訪問地として林泉寺を選んだ。
 近接の無料駐車場に車を止め、カメラを持って惣門へ向かう。快晴の天気、もちろん霞んでもいないし雪もない、心が動かされた写真のことなどすっかり忘れ、惣門周辺を動き回り自分なりのベストアングルを探してシャッターを切る。さて、この茅葺きの惣門であるが、上杉謙信公により春日山城の搦手門を移築したものと伝えられ、往時を今に伝える唯一の門である。上越市の指定文化財。高級カメラを持っている人の話によると、やはり降雪時には写真愛好家が集まるようである。





山門
惣門の右側に受付所があり志納料(宝物館廃館料込)500円を支払う。係の女性の心のこもった対応に長旅の疲れも心地よさに変わってきた。気づくと目の前に山門が見える。謙信公建立の山門は江戸末期に地震によって焼失、大正14(1925)年謙信公生誕400年を記念して再建された。仁王像は台座の高さも合わせると4m近くに及ぶ、私のお気に入りは作者不明だが龍の図、上を見ながら通過しないと見逃す。残念なことに、帰りには意識から消えていた。












大槻磐渓翁作「春日山懐古」
江戸後期、頼山陽と並んで有名な伊達藩の儒学者。上杉謙信公を敬い慕って、雄図なかばにして亡くなられた英傑をしのんで詠まれた「春日山懐古」は名詩として有名とのこと。



鐘楼
鐘楼よりも近くにある真っ白の石仏が気になった。人形のように小さくて可愛い。林泉寺のHPのトップページにも掲載されているが歴史的に価値があるものとはとうてい思えない。しかし、合掌した表情は多くの参拝者に安らぎを与えてくれる。まさに一隅を照らす石仏である。






本堂
平成9年、開創500年を記念して建立。本尊「釈迦牟尼仏」、脇侍「文殊菩薩、普賢菩薩」。仏像鑑賞は大好きだが戸も閉められガラス越しにのぞき見をしているようで格好も悪いので断念。本堂屋根の金色に輝いているのは、林泉寺を菩提所とされた長尾氏、上杉氏、堀氏、松平氏、榊原氏の家紋である。



墓所入り口
長尾家、その後上杉家が会津に移封となり、かわって越後領主となった堀家、高田城主松平家、榊原家の菩提所。


上杉謙信公の御墓
天正6年(1578)年3月、遠征準備中に春日山城で倒れ急死した。享年49歳。遺骸は鎧を着せ太刀を帯びさせ甕の中へ納め漆で密封した。明治維新後、歴代藩主が眠る御廟へと移された。



川中島戦死者供養塔も謙信公の御墓の傍にある。



墓所から鐘楼、山門



宝物館(写真なし)
昭和46年に開館、林泉寺を菩提所とされた上杉謙信公をはじめ、各大名ゆかりの品々が多数展示されている。主な展示物として、生前中に描かれたものとして唯一存在する上杉謙信公の肖像画、謙信公直筆の山門大額「春日山」「第一義」、上杉軍の軍旗一式、仏像、甲冑等。普通なら一巡して何の記憶も残らず退室するところだが、突然係りの男性から声をかけられた。一巡に要した時間が普通の人より短かったのかも知れない。何と展示物について説明していただけるとのことだ。丁重にお願いしたところ展示物のすべてについて詳細に説明していただいた。要した時間約40分、知識を得た喜びよりも、謙信愛と自分の仕事に対する誇りに脱帽した。

宝物館から山門へ(私の旅の仕方)
お寺に参拝していつも思うことは寺を後にするときの心地よさだ。時として人間的に成長したのではないかと錯覚することもある。さて、私の旅の仕方だが事前に調べるということはしない。繰り返すことになるが林泉寺へは雪景色の茅葺きの惣門の写真と電話番号をナビに入れたことで訪れることになった。謙信公との関係も何も知らなかった。いつも旅を終えてから自宅に戻り、歴史等を念入りに調べる。見逃したところや後悔するようなことがあったら次の機会に訪れることにしている。



最後に惣門へ
受付所の女性に感謝の気持ちを込めて一礼。再び惣門の周囲を歩き林泉寺での色々の思いを記憶し車に戻る。今回は3週間ののんびりした旅だが次にどこを訪れるかはまだ決めていない。



撮影:平成25年5月9日

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
最初のブログ… (OTETSUDAI @)
2016-03-01 14:05:59
米かとの仕方もわからなく只写真をみるだけでした。
ランクアップのためにバックナンバーをみています。
素晴らしい写真と解説です。
返信する
ブログの記念すべき1ページ (2014kurumatabi)
2016-03-01 20:56:42
退職後、初めての旅で最初に選んだ場所が林泉寺で、私のブログの最初のページになります。今、思い返すと、このページを掲載するのに失敗を繰り返しながら、丸一日要したと思います。
大河ドラマ「真田丸」で春日山城が時折でてきますが、この近くの山にあります。この寺は上杉謙信が幼少期に学んだ由緒ある寺です。係の人も親切で機会があったらもう一度訪れたい寺のひとつです。
コメントをいただき、久し振りに写真をみながら読み直してみました。ありがとうございました。
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誤字ばかりで… (OTETSUDAI @)
2016-03-03 20:19:32
コメントと売ったつもりが「米かとの…」に変換されていました。申し訳ありません。折角素晴らしい写真を見せて頂いて失礼しました。
上越は何度も行きました。ソフトテニスの関係です。それだけに観光の余地はありませんでした。真夏でしたので「猛暑」という印象が深いです。
こうして写真をみていると穏やかな気候の街に見えます。
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