今、出発の刻(たびだちのとき)

車中泊によるきままな旅
<名所旧跡を訪ねる>

2020 砂の美術館(鳥取県鳥取市福部町湯山)

2021年01月16日 | 博物館・美術館・記念館
訪問日 令和2年9月30日

砂の美術館「砂で世界旅行・チェコ&スロバキア編」
*紹介文は配付資料から引用



総合プロデューサー:茶圓勝彦 世界10カ国17名の砂像彫刻家



この美術館を訪れるのが旅の目的の一つになっている
現在は今回紹介する砂像は既に壊されていて、新しい砂像つくりの準備に入っている



作品01 「チェスキー・クルムロフ」
制作者:ケビン・クロフォード/オーストラリア

展示室に入ると最初に目に入ってきたのがこの砂像だ



チェスキー・クルムロフ は、チェコ・南ボヘミア州の小さな都市



モルダウ川(ヴルタヴァ川)に囲まれた世界遺産の街



「世界で一番美しい街」と評されている






作品02「ボヘミアン・パラダイス」
制作者:セザンヌ・ルセラ/オランダ

風化や浸食により独特の地形に削られた奇岩の景勝地 ボヘミアン・パラダイス



広大な自然の中に人々の営みがあったことを伝えている



気になるのはこの三人の女性



「鳥取砂丘の砂」を水だけで固めて制作されている



表情や衣装まで見事に表現されている






砂岩の上に鎮座する14世紀建造のコスト城が立体的に造られている



上から見るとこのようになっている



光と影と遠近法を巧みに操り作品を完成させている



作品03 「スピシュ城とモンゴルの襲来」
制作者:ジョヘン・タン/シンガポール

スロベキア東部に位置する世界遺産の廃城スピシュ城
モンゴル帝国軍から国を守るための長城として建てられた



当時のモンゴルは持久力のある馬と小型で強力な弓を使用



圧倒的な戦力と巧みな戦術で世界最強と恐れられていた






作品04 「ヤーノシークの伝説」
制作者:エイブラム・ウォーターマン/カナダ

スロバキアの国民的英雄 ユライ・ヤーノシーク
18世紀初頭に実在した義賊



義賊とは裕福な家から金品を奪い、貧しい人に分け与える活動をしていた
ヤーノシークはその盗賊団の頭領だった



彼の活動は「世の中を平等にする」と評され、庶民を中心に歓迎されていた



彼は最期、殺人の冤罪を被り処刑されてしまうが、その人気は今なお健在だという






砂像を眺め調べても私には「チェコ&スロバキア」について全く知識が無いことが分かった



作品05 「天文時計とセドレツ納骨堂」
制作者:トーマス・クォート/アメリカ

作品01 「チェスキー・クルムロフ」の裏面にある作品



15世紀に完成したプラハ旧市街にある時計塔
上部には太陽や月の位置、時刻を示す天文図文字盤、下部には星座と農村における四季の作業分かる暦盤が作られている



時計盤の左右や上部にキリスト教の聖人や人間の大罪を擬人化した彫像が置かれたこの天文時計はプラハの名物となっている









チェコには人骨を装飾に使用している協会がいくつかある






大きな砂の塊の表面と裏面に2つの作品が制作されている



作品06 「ヤン・フスと火刑」
制作者:マリエレ・ヒーセルス/オランダ

チェコの宗教改革者ヤン・フス



彼は教会が政治においても絶対的な権力を誇っていた14世紀初頭に教会のあり方を批判



その主張を庶民にも分かるよう説教を行い民衆に歓迎されていた



教会のあり方を揺るがしかねないフスの主張とその人気を恐れ、教会上層部は異端として火刑に処してしまう



死を迫られても自らの主張を撤回しなかったフスの姿は……



その後、彼を慕う民衆がフス派と名乗り抗議活動を展開していく



作品07 「リブシェの予言」
制作者:イリヤ・フィリモンツェフ/ロシア

この作品の美しさにすっかり魅了されてしまった



かつてチェコは予言能力をもつ賢く美しい女性リブシェが治めていたと伝えられている



ある日、リブシェがヴァルタヴァ(モルダウ)川のほとりに出かけると……



丘に立派な城がそびえ立っている未来の様子が見えた



彼女はその場所を示して城を築くよう周りの者に伝え、城の名をプラハと名付けた



これがプラハの城と街の始まりの伝説であり、古くからチェコの人々に愛されている物語である



遠く離れた場所から望遠レンズで撮ってみた



作品08 「ルドルフ2世とルネサンスの影響」
制作者:ドミトリー・クリメンコ/ロシア




プラハの文化発展に貢献した神聖ローマ帝国皇帝ルドロフ2世



強大な権力を使いプラハに芸術家や科学者、錬金術師を集め活動を援助した
*背景にも注目



ルドロフ2世は彼らに作らせた物や世界各地から集めた珍品をプラハ城内の専用の展示部屋にコレクションしていく






こうした活動により、プラハにルネサンスが定着し芸術科学文化の都として名を馳せていった






コロナの影響で入館者が少ない時にしか撮れない写真



正面奥にはいつも大規模な砂像2つが配置されている



作品09 「カレル橋とヴァルタヴァ川の風景」
制作者:ディビット・ドウシャーム/カナダ
制作者:スー・マクグリュー/アメリカ

プラハ城と旧市街地を結ぶ世界遺産のカレル橋
現在のプラハの基礎を創ったカレル1世の命令で14世紀に建造された



左右の欄干には聖ヤン・ネポムツキーやフランシスコ・ザビエルなど30体のキリスト教の聖人像が並んでいる






橋が架けられているヴルタヴァ川はチェコ人にとって馴染みの深い川
チェコ出身の音楽家スメタナも交響詩「我が祖国(モルダウ)」の中にテーマとして取り上げた






作品10 「プラハ城」
制作者:レオナルド・ウゴリニ/イタリア
制作者:アンゲフォン・ディビット/ベルギー

世界で最も大きく古い城といわれているプラハ城



伝説によると870年頃、リブシェの予言に基づきヴルタヴァ川沿いの現在の場所に建てられた



度重なる戦争でも大きな被害を受けず、ゴシック様式やロココ様式といった
中世以降の多彩な建築様式を今に伝えている






かつてボヘミア国王や神聖ローマ皇帝の居城であった
現在はチェコ共和国の大統領府のある場所である
ボヘミア国王の宝冠はここで保管されている






2階の見学通路を歩いているうちに背景が夜景になっていた



作品11 「プラハの錬金術」
制作者:アンドリウス・ペトクス/リトアニア

錬金術とは金属を変化させ黄金を作り出す試み
神聖ローマ帝国皇帝ルドロフ2世はこれに傾倒



首都プラハにヨーロッパ中から錬金術師を集め研究を行わせた






そこでは金の錬成にとどまらず、不老不死の薬や惚れ薬なども研究されていた






作品12 「ゴーレム伝説」
制作者:ヨーリス・キヴィッツ/オランダ

ユダヤ教の古い伝承に登場しヘブライ語で「胎児」を意味するゴーレム



主人の命だけを聞くこの土人形は宗教指導者ラビ・レーヴにより作られた






しかし彼が使役する上での約束を破ったことで暴走し、止む無く土に戻した



この土塊は今でもプラハのシナゴークの屋根裏部屋に眠っているといわれている



作品13 「中欧の野生動物」
制作者:ダン・ベルチャー/アメリカ




中央ヨーロッパには広大な自然が広がり、国立公園に指定され沢山の動物が生息している






作品14 「プラハ窓外投擲事件」
制作者:メイネイジ・ビュリガード/カナダ

プラハでは窓から人を投げ落とすという奇異な事件が度々起きている



この窓外投擲事件はカトリックによる弾圧に対するプロテスタントの抗議活動として行われた



1618年の2回目の事件はヨーロッパ全土を巻き込んだ30年戦争のきっかけとして有名



作品15 「文学 フランツ・カフカ」
制作者:ヤコブ・ジマチェク/チェコ

チェコ出身の小説家フランツ・カフカ
ユダヤ人の家庭に生まれ、会社に勤めながら小説を執筆した



代表作の「変身」「審判」「城」などの作品で人間の孤独や不安、不条理をシュールな世界観で表現している



この作品は、朝起きると主人公が虫になっていたという「変身」の中で最も有名な場面を表現している






作品16 「民族復興運動の音楽家たち」
制作者:セザンヌ・ルセラ/オランダ
制作者:マリエレ・ヒーセルス/オランダ

1918年のチェコスロバキア独立の背景には18世紀後半から始まったチェコ人としての誇りを戻そうとする動きがあった
音楽家たちもチェコの情景や伝統音楽を取り入れた楽曲を発表し、この運動を鼓舞していった



ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」



スメタナ:「わが祖国」



ヤナーチェク:オペラ「イエヌーファ」






作品17 「ビロード革命と現代化」
制作者:ヨーリス・キヴィッツ/オランダ
制作者:ダン・ベルチャー/アメリカ




第二次世界大戦後ソ連の影響で社会主義国となったチェコスロバキア
1989年のベルリンの壁崩壊を受けチェコスロバキアでも政権交代を訴えるデモが活発化した



この改革は血を流さず穏やかに遂げられたことから「ビロード革命」と呼ばれている



ビロード革命の指導者ハヴェルを大統領とする民主主義国に生まれ変わった



作品18 「ドラゴン伝説」
制作者:ヤコブ・ジマチェク/チェコ




ヨーロッパ各地の童話に登場するドラゴンはチェコのおとぎ話の中にも欠かせない存在



暴れていた3つの首を持つドラゴンが騎士に倒され、その栄誉により騎士は助けた娘と結ばれるという物語が有名



作品19 「人形劇とマリオネット」
制作者:ヤコブ・ジマチェク/チェコ




2016年に世界無形文化遺産に登録されたチェコの人形劇



砂の美術館を出た後、先に進むか、戻るかいつも迷う
昨年は宮崎県まで走ったが、今回は車のサブバッテリーの調子も悪く戻ることにした



撮影 令和2年9月30日
コメント
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