ご無沙汰しております。映画を観ても書くタイミングを失ってて。ま、面倒くさがりなんで。
荒涼とした大地に響き渡るサイレンのような弦楽器の音。男は深い穴の中でダイナマイトを仕掛けている。ジリジリとした時間が流れ、この映画は初っぱなから観客を不安に陥れる。
この男、プレインビューは掘り起こした金を元手に、石油掘りとしての才能を開花させていく。ダニエル・デイ=ルイスの、異常なほどの執着心で人々を巻き込んでいく様は圧巻。自らの欲望のためには手段を厭わない彼の精神には、全く共感できない。にもかかわらず、惹きつけて止まない何かが存在する。画面を見ずにはいられないのだ。
なぜなのか。人間は欲望を全て埋めることはできない。埋めようとすればするほど、それは遠のく。その現実を超えてプレインビューは突き進む。もはや、何が目的なのかも分からない。
中盤、イーライという伝道師が現れる。取り憑かれたような言動を繰り返す彼は、プレインビューの相対する鏡とも言える。神をも恐れぬその鏡の見事なぶっ壊し方に、惚れ惚れとしてしまう自分がいる。冷静に考えると恐ろしい。
20世紀初頭のアメリカの風俗や子どもの扱われ方、信仰といった背景の描き方も秀逸。「見所は、全て」と久々に言える作品に出会えた。
荒涼とした大地に響き渡るサイレンのような弦楽器の音。男は深い穴の中でダイナマイトを仕掛けている。ジリジリとした時間が流れ、この映画は初っぱなから観客を不安に陥れる。
この男、プレインビューは掘り起こした金を元手に、石油掘りとしての才能を開花させていく。ダニエル・デイ=ルイスの、異常なほどの執着心で人々を巻き込んでいく様は圧巻。自らの欲望のためには手段を厭わない彼の精神には、全く共感できない。にもかかわらず、惹きつけて止まない何かが存在する。画面を見ずにはいられないのだ。
なぜなのか。人間は欲望を全て埋めることはできない。埋めようとすればするほど、それは遠のく。その現実を超えてプレインビューは突き進む。もはや、何が目的なのかも分からない。
中盤、イーライという伝道師が現れる。取り憑かれたような言動を繰り返す彼は、プレインビューの相対する鏡とも言える。神をも恐れぬその鏡の見事なぶっ壊し方に、惚れ惚れとしてしまう自分がいる。冷静に考えると恐ろしい。
20世紀初頭のアメリカの風俗や子どもの扱われ方、信仰といった背景の描き方も秀逸。「見所は、全て」と久々に言える作品に出会えた。