ブログ日和。

映画と、『ER緊急救命室』『ザ・ホワイトハウス』などの海外ドラマと、世間に対してのツッコミを徒然に書いていきます。

『ミリオンダラー・ベイビー』

2005-06-02 15:50:03 | 映画
今年のアカデミー賞4冠に輝いた作品。社会や家族から疎外された女性ボクサー・マギーと老トレーナー・フランキーの物語。

初め、フランキーは「女は引き受けない」と、断る。しかし、ひたむきに練習するマギーの様子を見て、ついにはトレーナーを引き受ける。このとき、マギーが握手するために、右手を出すのだが、フランキーは一瞬、左手を出そうとする。雑用係のスクラップが「いつも思っていることと逆のことをする」と言うフランキーの性格と、それによる苦労が伺える。

メキメキと頭角を現すマギー。試合のシーンでは、熱狂する観客の喝采がサラウンドに聞こえてきて、こちらまで、高揚させられる。試合を通して、二人は、師弟愛、親子愛、そして男女の恋愛と、かつて失った愛を見つけていく。

そして終盤、物語は一転する。単なるサクセスストーリーになっていたら、アカデミー賞なんかありえなかっただろう。特に、主演女優賞のヒラリー・スワンクは、ラスト30分で獲得したようなもの。「愛とは何か」という根源的な問いを突きつけられる。イーストウッドの言う「シンプルなラブストーリー」のテーマをここまで昇華させることができたのは、あっぱれ。

語り手のスクラップ役のモーガン・フリーマンも滋味溢れる演技で素晴らしい。