ブログ日和。

映画と、『ER緊急救命室』『ザ・ホワイトハウス』などの海外ドラマと、世間に対してのツッコミを徒然に書いていきます。

『ラースと、その彼女』

2009-01-07 09:36:36 | 映画
あけましておめでとうございます。新年一本目から味のあるいい作品に出会えました。

アメリカの片田舎に住むラースは、人付き合いが苦手で兄夫婦の住む母屋から離れてガレージでひっそり暮らしていた。そんな彼が「紹介したい人がいる」と言い、夫婦は喜んだが、連れてきたのは「リアルドール」なる等身大の人形、ビアンカだった…。

ともすれば、ラースはアブナイ人として「排除」ないし「隔離」して、人々の目に付かないところへ連れて行かれるかもしれない。現に兄は施設に入れようと言い出したわけで。でもここで兄嫁のカリンが機転を利かし、ビアンカとどう付き合うか(つまりはラースとどううまくやっていくか)を考え始める。夫婦が街や教会の人々と相談した結果、暖かい受け入れを方々でしてくれたのだ。そのうちにラースの内面も変化し始める。あれだけ仲の良かったビアンカと大げんかするのだ。ここら辺の機微の描き方も、周りの人々の表情も含め素晴らしい。ラストには賛否あるだろうけど、自分はラースの決断にエールを送りたい。

安易に結びつけるのはいけないのかもしれないけど、東金市の女児殺害事件は、軽度障害者(この言葉でまとめ上げるのもどうかと思うが)に対しての人的サポートが、ある枠(施設、職場とか)を外れるとほぼ無くなってしまうことにも原因の一端はあるような気がして。この作品みたいに街の住人の多くが理解し、受け入れることが出来ればと思うのだけど。まあ、それでも偏見や差別は尽きないだろうし、あれぐらいの小さな町だから可能なのかもしれない。東京の1300万人はとかく多すぎる。

ビアンカちゃんは来日中で、シネクイントのロビーで微動だにせずお休みされていました。僭越ながら触らせていただくと、ずいぶんなもち肌でした。