静 夜 思

挙頭望西峰 傾杯忘憂酒

嗚呼・・アメリカまでが『空気を読む』社会に !!

2024-09-06 14:39:35 | 時評
【日経新聞】「空気なんだよ愚か者」の危うさ 日米の選挙は政策を競え :本社コメンテーター/小竹洋之
・ 英語の「バイブ(Vibe)」には空気、雰囲気、心理といった意味がある。今の米国にあふれるのは、まさにこの言葉だ。国民の景況感が経済の実態以上に悪く、リセッション(景気後退)と見まがう
  現象は「バイブセッション(心理不況)」と呼ばれてきた。ハリス副大統領は指導者としての力量に疑念を抱かれていたにもかかわらず、バイデン氏の後継候補に収まった途端に救世主と化した。
   個人の印象が公約に勝る空気に乗って、トランプ前大統領と接戦を演じる。  
 「経済なんだよ、愚か者」。1992年の大統領選で勝利を収めたクリントン元大統領は景気停滞の克服こそが重要だと訴え、東西冷戦終結などの成果を強調するブッシュ(第41代)元大統領の再選を
  阻んだ。そのスローガンを借りて「空気なんだよ、愚か者」と言いたくなる時代である。
   米国に限った話ではない。日本では岸田文雄首相が政治とカネの問題で致命傷を負い、27日の自民党総裁選への出馬を断念した。次の衆院選に勝ちたいがために、政策や実力を二の次にして
  人気候補を担ごうとする政治家。米国の「バイデン降ろし」や「ハリス推し」と似たような空気の広がりを、日本でも感じずにはいられない。

・ SNSが加速した「バイブポリティクス(空気の政治)」「バイブキャンペーン(空気の選挙戦)」も、健全な形で発展するならいい。
 「ユースクエーク(若き手による激震)」。米投資家ジョージ・ソロス氏が創設したオープン・ソサエティー財団の幹部ビナイファー・ノウロジー氏は、国際言論サイトへの寄稿で、
  アジアやアフリカに広がるユース(若者)の抗議運動をアースクエーク(地震)に重ねた。こうした空気も民主主義の局面を変える力を秘める。

★ 空気とは教育も議論もデータも、そしておそらく科学的解明も歯がたたない"何か"だ。まことに大きな絶対権をもった妖怪である――。評論家の山本七平は1977年の著書「『空気』の研究」で、
  論理や理性を超えたムードに流される日本に警鐘を鳴らした。妖怪はSNSの追い風も受け、より大きな力を振るい始めた。主要国で重要な選挙が相次ぐ2024年に浮き彫りになったのは、
  そんな世界の脆弱さではないか。米国では「カマラバブル」とも揶揄(やゆ)されるハリス現象の真贋(しんがん)や、10年近くに及ぶトランプ現象の虚実が問われる。来たるべき大統領選は
  やはり、確かな国家観や経済・外交政策を競う場であってほしい。
 自民党総裁選も同じだ。候補者の公約が出そろう前から、人気投票の流れができつつあるのはいただけない。「政策なんだよ、愚か者」。こう喝破する指導者にこそ、日本のかじ取りを託したい。
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 いや実に多くのVibe 関連造語がアメリカで風に舞ってると知り、驚いた。 「空気を読む」は日本人の専売特許と長年思ってたが、そうではなくなった。
人間は生きている実感の確認・自己承認欲から目立ちたいのだが、SNSの普及がそれに便利なツールを与えたことで「空気」を醸すようになり、他人とつるまない生き方を是としてきた筈のアメリカ人
までが「空気を読む」ようになった! Attention Economy が言われて久しい。 山本七平さんは草葉の陰でびっくり仰天し、目をシロクロさせているだろう。
コメント
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