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《マシュメガネ対談》今こそ「イーノ(ENO)」から見る「Rockの歴史を語る!」(Part9)「60年代サイケ名盤編 その5」

2021-05-29 15:58:18 | 編集長と副編集長の対談「マシュメガネ対談」

《ハウリンメガネ》
はい!「イーノで紐解くロックの歴史」!
話は順調に続いております。
ここ数回はサイケ方面に話が寄っていましたが、
そもそもサイケデリックムーブメントの火付け役は……
{ 編集長「MASH」}
ビートルズ!ビートルズ!
《ハウリンメガネ》
はい、編集長ニッコニコです(笑)。
{ 編集長 }
そりゃ、そーだよ!
「ビ-トルズだけで生きている」から!
《ハウリンメガネ》
はいはい。存じてますよ。
じゃあ、行きましょう。
当時「ビートルズに影響されたミュージシャン」
枚挙に暇がなかったわけですが、
それと同時にレコード業界自体も柳の下のドジョウ欲しさに
「ビートルズみたいな奴らを売って一儲けしたい!」
という欲が出たわけですよね。
{ 編集長 }
おっ、今日はキンクス?アニマルズ?
それともストーンズの話か?
《ハウリンメガネ》
うっ、確かに彼らもそのような節がありましたが・・・
そこは今や大御所と云うコトでロック史の中では
十分に落ち着いているはずでしょ?
{ 編集長 }
ああ、まあ彼らも今やレジェンドになっちまったからなぁ。
《ハウリンメガネ》
何をがっかりしているんですか(笑)!
ということで、
今回は当時の「ビートル旋風の真っ只中」だったからこそ
リリースされた「ビートルライクな盤」の話です。
{ 編集長 }
おっ、イイゾ!イイゾ!
《ハウリンメガネ》
急に息を吹き返して・・・もう。
ではさっそく行きますよ!
アメリカンサイケの本堂、
シスコ出身のビートルマニア!
ボー・ブラメルズ
「ザ・リッツ・コレクション」
(※2ndアルバムのタイトルを変更した西独リシュー)!


{ 編集長 }
おっ、出たね!
《ハウリンメガネ》
なんと本作のプロデューサーは
ファミリー・ストーン結成前の「スライ(・ストーン)」です。
{ 編集長 }
そうなんだよ!
スライはDJやったり、
こーいうプロデュースやったり・・・
後の「生涯神経衰弱人生」を考えると
本来は裏方で良かった人なのかもね。
《ハウリンメガネ》
スライ自身「ビートルズに影響を受けた一人」ですよね。
ラジオDJ時代にビートルズを筆頭に
ブリティッシュ・インベンションものを
ガンガンとかけまくってたという……
{ 編集長 }
いち早くイイ音を拾った人なんだよ。
後のファミリーストーンでは
モータウンとは角度が違う
「ポップな黒さ」で人気だっただろ?
《ハウリンメガネ》
大名盤の「暴動」なんか、
云うならば彼流の「サージェント」ですもんね。
{ 編集長 }
アレは強烈なアルバムだよな!
ずっと聴かれるべきだ!
《ハウリンメガネ》
そんなスライですから、
「ビートルマニア」の彼らに目をつけて
プロデュースを受けたんでしょう。
そんな本作ですが、確かに……ビートリーですね。
{ 編集長 }
ん?なんだよ、なんか含みのある言い方だなぁ。
《ハウリンメガネ》
いや、他意はないんです。
全体的に間違いなくビートリーなんですが、
同時に凄く別の影響源を感じるんですよ。
{ 編集長 }
ほほう?
《ハウリンメガネ》
ボブ。エレクトリック期初期のボブ。
このアルバム、ビートルサウンドにボブ的な、
というかカントリーロック的な節回しが
混ざり合ってるような感じしませんか?
{ 編集長 }
ふふふっ・・・。そうなんだよ。
この時期のバンドにボブの影響が無い分けない!
って話さ。
《ハウリンメガネ》
ギターの音もいい感じに乾いてて、
それも相まって「バーズ」とか
「フライング・ブリトゥ・ブラザーズ」
なんかを思い出すんですよね。
ただ、「バーズ」よりもビートル寄り。
そのバランスが絶妙に気持ちいいんですよ。
{ 編集長 }
まあ、「バーズ」って
モロに「ボブとビートルズの混ぜ合わせ」でしょ?
そこにクリス・ヒルマンのカントリーが入った・・・
それが「60年代バーズ」の音さ!
クロスビーが抜けるまでのね。
《ハウリンメガネ》
なるほど。わざと「バーズ」風にせず
スライが上手にプロデュースしたのかもしれませんね。
それにシスコの人たちだからルーツロックは身近だっただろうし、
その風土の上で「ビートルマニア」となると
確かにこういうバランスを実現できるかもなぁ。
{ 編集長 }
ちなみにB1の「サッド・リトル・ガール」
この対談でもバンバン出てくる
ヴェルヴェッツの「オール・トゥモローズ・パーティー」
の元ネタって話なんだよ!知ってた?
《ハウリンメガネ》
へぇー!そうなんですか!
確かに曲の作りは似てるなぁ……
でもなんかB面全体の空気が
「ヴェルヴェッツ」に影響してそうな気がするな。
シャーマニックというか土着的なドロっとした感じというか……
こういう感じが「サイケの勃興」にもつながっていくんですよね。
{ 編集長 }
ひとつひとつ、パズルのピースみたいにさ。
この頃のミュージシャンたちは貪欲に
「発売される音、レコードになっている音」を
色々聴いていたって事なんだよね。
《ハウリンメガネ》
「初期ビートルズとルーツ・ミュージックの邂逅」が
この盤のような「プリ・アメリカン・サイケ」を芽吹かせていた頃、
ビートルズは既に「サイケの大傑作」を作ってた、ワケでしょ。
やっぱりこの時代って「ロックの進歩する速度」が無茶苦茶速いですね。
{ 編集長 }
「リボルバー」ね!
《ハウリンメガネ》
やっぱりこの時代って
「ロックの進歩する速度」が無茶苦茶速いですね。
{ 編集長 }
って云うか、「ビートルズが早い」んだよ!
「ラバーソウル」の後に「リボルバー」なんだからさ(笑)。
《ハウリンメガネ》
着いて行ける訳ないです・・・
んじゃ、ところ変わって、こちらへ参りましょう。
ジャーン!

{ 編集長 }
お!出たな!
《ハウリンメガネ》
はい!一見、ビートルズの作品かな?
と見間違えそうなこちらは
ザ・バッグスの「ビートル・ビート」!
ジャケットに記載されている通り
「オリジナル・リバプール・サウンド」
「レコーデッド・イン・イングランド」
ビートルズ同様リバプールから出てきた
ブリティッシュ・ビートバンドです!
{ 編集長 }
……ププッ(笑)
《ハウリンメガネ》
……嘘です!
{ 編集長 }
アレ?引っかかったと思ったのにぃ・・・。
《ハウリンメガネ》
何をガッカリしているんですか(笑)。
{ 編集長 }
だって、引っかかると思ったんだもん。
《ハウリンメガネ》
何をスネているんですか(苦笑)!
こちらは「当時のビートル旋風」に便乗しようとした
マイナー会社「コロネット・レコード」が、
「ビートルズ関連作品」と勘違いさせる作戦で・・・
{ 編集長 }
あの「Vee Jayレコード」だって
同じようキワドイ手口だったけれど
コイツは全くの偽物だからなぁ(苦笑)。
《ハウリンメガネ》
そんな「ビートルマニア」に狙いを付けて
買うのを確信し売り出した
ホントに「ワル~いアルバム」なんです(笑)。
{ 編集長 }
手強いよなぁ(笑)。
《ハウリンメガネ》
この「ビートルズ関係と勘違いさせること」に注力したジャケット、
実にヒドいですよね(笑)。バンド名を曲名みたいに記載してたり、
「間違い探し」みたいだもの(笑)。
{ 編集長 }
しかし、まあ実に興味深い1枚だよ!
《ハウリンメガネ》
このバンドはリバプールどころか
アメリカはニュージャージー州出身で
実際は「ザ・バッグス」という名前ですらないんですよね。
しかもこのジャケットに写ってる4人は
メンバーでも何でもない「それらしい誰かさん」!
{ 編集長 }
いかにこの時代
「ビートルズが強力なアイコン」
となっていたか?
が分かるだろ?
《ハウリンメガネ》
しかし、この発売された本アルバムを見て、
初めて自分たちと全く関係ない名前で、
しかも「詐欺紛いのジャケットでリリースされている」
ことを知ったメンバーは大きく落胆したという……
{ 編集長 }
いやぁ、ビートルズのカバー曲も無理矢理やらされたようだしな。
《ハウリンメガネ》
ビートル・ブームに便乗しようとし
「レコード会社に作られたバンド」
という意味では「モンキーズ」もいますが、
彼らの場合は少なくとも「モンキーズ」として
ちゃんと売り出されていますからね。
{ 編集長 }
「モンキーズ」の場合は
「ライブを辞めたビートルズの後釜」
の為にわざわざグレッチやTVと組んでまで
慎重に練られたアイドルグループだからね!
《ハウリンメガネ》
一方この「バッグス」の場合は
「タチの悪い業界人にダマされてしまった・・・」
ということですかね。
まあ業界の悪いところを煮詰めたような話ですな。
ショウビズの世界はおっかないなぁ。
{ 編集長 }
でも、ダマサレタお陰で音は残っているわけ!
《ハウリンメガネ》
そう!その「肝心の音」なんですが、
こんな悪徳商法みたいなことしてるんだから
音もプレイも酷いのかなって思うじゃないですか。
{ 編集長 }
一見、胡散臭いからね。
《ハウリンメガネ》
それが、上手いんですよ(笑)……
{ 編集長 }
と云うよりも、今やガレージのお手本的アルバム(笑)!
《ハウリンメガネ》
レコード会社の「ビートルズっぽく演奏しろ!」
ってディレクションもあったんだろうけど、
ここでカバーされてるビートルズの2曲
「抱きしめたい」も「シー・ラブズ・ユー」も
ちゃんとビートルズっぽくやれてるし、
他の曲も「あー、ビートルズっぽいわ」
と思えるレベルで悪くないんですよ。
{ 編集長 }
ニュージャージーとは言えニューヨークの隣でしょ?
日本で言うと埼玉県みたいなイメージ(笑)。
すぐ横は都内じゃない!
で、コレは「ニューヨークの田舎ガレージ」と捉えてもイイよね。
《ハウリンメガネ》
このバンドに参加している「ゲイリー・ライト」
後々ジョージやリンゴとも関係するし、多分メンバー自体は
「ビートリーなバンドをやりたいって方向性」で、
そこはレコード会社とも一致してたんでしょうね。
{ 編集長 }
本策の重要性はさっきも言ったとおり
ビートルズがアメリカへもたらした
「バンドブーム」の中で
「ガレージで黙々と演奏していたバンド」
がたくさん居たわけ。
で、その一部がマイナーレコードで出されたのよ。
多くは45回転でさ・・・、
そうそう今や「ガレージコンピ」として出てるアレね。
で、これこそ「ガレージロックの起源」なんだよ!
本作はLPで「その起源を聴ける」そんな重要盤なんだよ!
《ハウリンメガネ》
私、文句があるとしたら
「シー・ラブズ・ユー」に入ってるハンドクラップ!
あれ、リズムがズレてんですよ(笑)!
聴いててズッコケちゃったもん!
{ 編集長 }
ソレもガレージ感が有っていいけれどね。
《ハウリンメガネ》
でもあれオーバーダブかなぁ?
プレイを聴いてるとあそこだけおかしいんだよな。
あれもレコード会社が変なディレクション入れたのかな?
{ 編集長 }
いやぁ、素人かその辺の人を集めて手拍子させただけでしょ(笑)!
1発録音だろうから、ズレていても
リテイクは許させなかったんだろうな。
金と時間の無駄ってことで(笑)。
《ハウリンメガネ》
多分まともなレコード会社と付き合えてたら
「ボー・ブラメルズ」と同じように
「ブリティッシュ・ビートへのアメリカからの回答!」
みたいに売り出せたんだろうけど……勿体ないですねぇ。
{ 編集長 }
それこそ西海岸と東海岸の違いだよ。
同じアメリカでも全く違う風土でビジネスだから。
《ハウリンメガネ》
そういう意味で云ったら「ビートル・ブーム」ってのは
功罪半ばするところがあったんですかね。
多くのミュージシャンの扉を開くと同時に、
悪い業界人の欲に火をつけたことで
良いセンスの持ち主を潰した・・・
そんな側面もあったんだなぁと感じますよ。
こうして「ブラメルズ」と「バッグス」を並べると
「ビートル・ブームが生み出した光と影」が見えますなぁ。
{ 編集長 }
まあ本作や「ビートルカツラ」
「ビートルギター」なんてもんは
まだ、可愛いもんだよ!
「ビートルズが寝たホテルのシーツ、その切れ端」
まで売られたわけだからさ・・・
もうそーなるとスゴイでしょ?
《ハウリンメガネ》
(笑)ま、悪いのはあくまでも
「ビートル・ブームを悪用した連中」
ですからね。
それに「バッグス」も本位ではなかったとしても
こうやってアルバム1枚シッカリ残ってるわけですから。
{ 編集長 }
そして、ちゃ~んと
「日本のコアな音楽ファン」にまで知られている(笑)!
メンバーのゲイリーライトなんかは
この後「スプーキートゥース」や「ソロ」でも
しっかりと売れて、生き残っているから十分でしょ。
《ハウリンメガネ》
いやぁ、こうして紐解いていくと
「音楽業界の暗黒面も」見えてきたりと、
益々話は広がっていく一方ですな。
{ 編集長 }
ビートルズのお陰で多くの人が
「人生を良くも悪くも狂わされた」
のさ!俺もその一人だけれどね(笑)。
《ハウリンメガネ》
ううっ!話し足りない!
次回もまだまだ続きますよ!
「イーノで紐解くロックの歴史」!
というわけでまた次回!
{ 編集長 }
おう!臨むところだ!

<続>



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