ハローハロー。
皆さんお元気?
ハウリンメガネである。
今回は夏から書きたかったにも関わらず、
ダスティ・ヒルの死去や、ギタリスト列伝の連載やらで
延ばし延ばしの後回しになってしまっていた盤について、
ようやく満を持して触れることができる。
そう、今年の6月に発売された
「リバイアサン」(ザ・グリッド/ロバート・フリップ)
のことである。
コロナ禍によってクリムゾンの活動がストップしていたフリップ先生。
そんな状況でも奥方のトーヤさんと仲睦まじくカバー曲を披露する
「サンディ・ランチ」の動画配信や、
サウンドスケープを毎週配信する
「ミュージック・フォー・クワイエット・モーメンツ」
で筆者のようなファンを喜ばせてくれていたのだが、
やはりファンとしては公式リリース、
それもアルバムが聴きたい!というのが本音。
しばらくはリリースなしかなぁ……
などとボンヤリしていたところ、
突然リリースされたのがこのイギリスのエレクトロデュオである
ザ・グリッドとの連名作、「リバイアサン」なのであります。
フリップ先生は以前からグリッドのアルバムに客演していたものの、
連名でのリリースは今回が初めて。
過去の客演ではグリッドがプレイするハウスミュージックに乗って
フリップトーンが炸裂するといった塩梅だったので、
今回もその方向かしらん?
と思っていたのだけれど、盤を回してビックリ。
アナログは2枚組なのだが、前半に当たる1枚目。
アナログシンセが醸し出す、靄のようなパッドサウンドと
フリップ先生のギターシンセの音だけで幕が開く。
強い音も主張するメロディもなし。
ドラム的なサウンドはほぼ全く使われておらず、
揺蕩うような音だけが重なり合ってハーモナイズされていき、
「いいメロディ」、「クールなリフ」のような言葉では表現できない
「サウンドスケープ(音風景)」が展開されていく
(夏に発売された時に紹介しなくてよかった。この音は冬の朝、夜明け寸前の静謐な風景に見事にマッチする)。
後半(アナログでは2枚目以降)からは
徐々にリズムマシンの音が入りだすが、
これも今どきのバキバキシンセドラムではなく、
ジャンベのようなアフリカンパーカッションを想起させる音から混ざりだし、
一曲毎に徐々に徐々にドラムマシンらしいビートへ変化していく。
そして、フリップ先生のギターもそれに呼応するように
アブストラクトな音から端正なシーケンシャルフレーズへと移っていくが、
自己主張するプレイではなく、サウンドスケープを構築する部品としての
フレーズに綺麗に納まっており、見事にテクノ/ハウスミュージックの中の
パーツとしてギターが存在している
(基本的にマシンミュージックとギターというのは食い合わせが悪いが、流石、ディシプリン時代からシーケンシャルなプレイを積み重ねている先生。お見事です)。
これ、イーノと演った
「ノー・プッシーフッティング」
並みの名盤ですぜ。
正直に申し上げて、
フリッパートロニクスからサウンドスケープへ移行してからの先生のソロ作品は
そんなに好きではない(聴くけど)のだが、本作では久々に
「サウンドスケープ」が構築する音風景の本質と良さを突きつけられた。
キング・クリムゾン・プロジェクトの
「ア・スケアシティ・オブ・ミラクルズ」でも感じたのだが、
サウンドスケープ移行後の先生の音は単独の演奏より、
他の音と混ざった方がその魅力を発揮できるのだと思う
(フリッパートロニクスでの作品は何故かギターだけでも魅力的に聴こえるのだけど……やはりギターシンセの比率が多すぎるのか?)。
それは今のキング・クリムゾンでの先生のプレイを聴けば一目瞭然
(一聴瞭然?)。
是非本作、出来れば今のクリムゾンのライブアルバムも聴いて、
サウンドスケープとは何なのかに思いを馳せて戴きたい。
……さて、ここまで読んで
「おい、コイツあの件に触れない気か?」
と思った方もおられましょう。
はい!今月末からクリムゾンで来ますねぇ!フリップ先生!
(私も当然、大阪公演2日間ともチケットゲット済み!)
まだ油断はできないが、このまま順当にいけば、
今月末から12月にかけて、再びあのトリプルドラムクリムゾンが
日本を周るわけだ。【前回(2018年)来日時のレポートはこちら ↓】
https://blog.goo.ne.jp/12mash/e/d3f28ead4f6f22863213a4ae569854a0
ビル・リーフリン氏が亡くなってしまったので
今回は7人編成なのが寂しいが……。
2020年のボブ来日公演中止から今日に至るまで悔しい思いをしてきたが、
それを破ってくれるのがまさかフリップ先生とは!
最新クリムゾンをしっかり楽しむ為にも御同輩の皆様、
くれぐれも体調管理を万全に!
手洗いうがいを忘れずに!
声は出せないが、その分、万雷の拍手でフリップ先生達をお迎えしたい!
ウォォォ!
フリップ先生ェェェ!
お待ち申しておりますぞぉぉぉ!
《ハウリンメガネ筆》