「Jerry's Mash」のアナログ人で悪いか! ~夕刊 ハード・パンチBLUES~

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ハウリンメガネが縦横無尽に吠える!「メガネの遠吠え」(第六回) やっぱり指使いが肝心よ!

2022-10-08 14:03:18 | 「ハウリンメガネ」の「ヴァイナル中毒」&more

ん〜……指、指、指……はっ!

御機嫌よう、読者諸賢。ハウリンメガネである。
のっけからなんだ指、指、指って、お前は妖怪指よこせか、と思われた方、申し訳ない。前回のコラムをご参照頂ければお分かり頂けよう。先日からサムピックを使ったフィンガースタイルの修練に勤しんでおり、頭が指弾きのことでいっぱいなのだ。

当初はフラットトップのアコギ(一般的にいうアコギですな)でラグタイムのフレーズを弾いて遊んでいたのだが、慣れてくるにつれ、(これは他のギターもサムピックでヤれるのでは?)という思考に至り、やってみるとこれがなかなか難しい。
リゾネイターは生の指で弾いた方が私としては面白いし、最近手に入れたピックギター(このギターについてはまだいい感じに弾くために格闘中なのでいずれ触れよう)は普通のピックで弾いたほうがピックギターらしい音が出る……意外と生ギターの中でもサムピックが合うギターというのは難しいようだ(サムピック使いにフラットトップ弾きが多いのはそういうことかもしれぬ)。

じゃあ、お前は結局フラットトップでしかサムピックは使ってないのか、探究心の足りない奴だ、もっと色々試してみてはどうだ、お前のサムピックが泣いているぞ云々……と思ったそこのあなた。そう、あんたのことだよお客さぁぁぁん!
先程、私は「生ギター」と書いた。
そう、今のところ、生ギターでサムピックはフラットトップでしか使っていない……では、エレキは?
そう!実はサムピックでストラトを弾いてみたところ、やけに弾きやすかったのである!

元々ストラトを弾くときは指で弾くことが多かったのだが、前回書いた通り、サムピックを使うと親指の負担が減るため、フレーズに幅が出る(特にカントリー的なアプローチは本当に弾きやすくなる)。
パームミュートをかけたアルペジオからギャロッピングをかましたり、白玉ストロークと弦飛びフレーズを織り交ぜたりとやりたい放題である(ついでに書くと、サムピックの場合、右手をパーに開けるのでストラトの場合、アーミングやボリューム奏法がやりやすくなるのもメリットであろう)。

こういう事に気づくとエレキを指で弾いている先人達のプレイを聴き直したくなる。
チェット・アトキンス、スコッティ・ムーア、ジョン・リー・フッカー御大、90年代以降のジェフ・ベック、ウィルコ・ジョンソン、デレク・トラックス、ジミー・ヴォーン、リンジー・バッキンガム、吾妻光良さんに是方博邦さん等々、サムピックの有無やスタイルもバラバラだが、エレキでもフィンガープレイヤーは数多くいる。
そんな諸先輩方の中から今回私が聴き直しているのがこちら、うちの編集長も大いに影響を受けたマーク・ノップラー御大率いるダイアー・ストレイツの名盤「ブラザーズ・イン・アームス」でございます(冒頭写真。私はこのジャケットが大好きで、レコード棚に面陳しております)。

マーク・ノップラー。
チェット・アトキンス直系のカントリーからジョン・リーの様なブギー、しまいにはワールド・ミュージックまでしっかりと体に染みこませ、フィンガースタイルでアコギは無論、ドブロからエレキまで、様々なギターを爪弾くそのプレイはボブやクラプトンからの信頼も厚く、エレキでもアコースティックなフィールをきちんと残した素晴らしいギタリストであります(ボブと聴き間違えるほどのいい歌も歌う素晴らしいヴォーカリストでもあるのですなぁ)。

この「ブラザーズ・イン・アームス」は、当時(85年作)の流行サウンドを多少取り入れつつも、それはあくまで味付けに留め、ノップラーの爪弾く、出しゃばらずにきっちりと美味しいギターフレーズが散りばめられた傑作。
A2「マネー・フォー・ナッシング」(スティングも歌で参加!)で聴ける腰の座ったブギーサウンドや、A3「ウォーク・オブ・ライフ」のシンセの裏で鳴っているカントリーフレーバー溢れるミュートの効いたバッキング。
B1「ライド・アクロス・ザ・リバー」では拳の効いたサンタナばりのリードフレーズとサイケの香り立つ浮遊感のあるフレーズを行き来し、B3「ワン・ワールド」でのブルージーかつファンキーなコールアンドレスポンスは指弾きならではのスタッカートな切れ味の良さが満載!(ちなみにこの曲、おそらくベースがトニー・レヴィン。これだけベースの音が明らかに異なる(笑))
そして表題曲の「ブラザーズ・イン・アームス」で聴けるノップラー節ともいえる憂いを帯びたギターの音!(泣きのギターとはちと違う、「憂い」なんですな。ブルースなんだけどブルースだけじゃない、ワールド・ミュージックにも詳しいノップラーならではの音といえましょう)

いやぁ……やはり素晴らしい名盤。ギターの事ばかり書いてしまったが、先述の通り、ノップラー御大は素晴らしいヴォーカリストでもある。つまり、歌とギターが連続線上にあり、両者がシームレスにメロディを紡いでいく……おお、ブルースの方法論そのままではないか!

歌とギターのコールアンドレスポンスでメロディをつないでいくにはやはり指弾き!ブルースマンに指弾きが多い理由も分かるというもの。うーむ、やる気が湧いてくるではないか!

というわけで本日も修練に勤しむので今回はここまで!
また次回!ハウリンメガネでした!あでゅ〜。