いよう!読者諸賢!調子はどうだ?ハウリンメガネである。
世間が諸々大変なのは百も承知!私とて影響受けまくりだし、一市民として思うところありまくり!
だがせめて、こういう場だけでも通常営業に切り替えよう!塞ぎ込んでも、苛ついてもしょうがない!
やるべきことは
手洗いうがい!あとマスク!ん?売ってねえ?バンダナ巻いとけ!布マスク配布なんか待つな!タオルでDIYだ!使ったら洗え!あと「この政府」のやることをちゃんと覚えとけ!
というわけで通常営業で参る!
今回は筆者の気分を上げるという意も込めて!
キング・クリムゾン総帥!ロバート・フリップ先生の1stソロアルバム「エクスポージャー」(79年作、JP_org盤)の紹介である!
意外とプログレファンの間では名前の挙がらないこの盤。
だが、プログレファンの人はまだしも、クリムゾンファンを名乗るなら「この盤」を聴いてなきゃモグリだ(笑)!
なぜか?
なぜならば、この盤こそが80年代のキング・クリムゾン、そう「ディシプリン・クリムゾン」の原型だからに他ならない!
第二期クリムゾン(太陽と戦慄〜レッド期)解散後、ニューヨークへ飛んだフリップ先生(77年頃)。
当時勃興していた「ニューヨーク・パンク」のマインドに惹かれたのか、日夜ライブハウスに足繁く通っていたらしく、この頃のフリップ先生の写真を見るとえらく胸元が開いてたり、ちょっと剽げたポーズを取っていたりと、どうやら当時のクラブシーンを旺盛に楽しんでいたようだ(ブロンディのデボラ・ハリーといちゃいちゃしてたりする(笑)。あまり話題にならないがフリップ先生、自分でも仰ってるが、かなりの女性好きである(笑)。でも先生の場合、品があるのがいいよね!)
そんなフリップ先生だが、もちろん女性とばかり仲良くしていたわけではなく(笑)、この頃に重要な出会いを果たしている。
それがこのアルバムにも参加しているダリル・ホール、そう!ブルー・アイド・ソウルの重鎮「ホール&オーツ」のダリル・ホールである!
先生とホール、かなり気が合ったらしく、フリップ先生がホールのソロアルバム「セイクリッド・ソングス」(この盤についてはまたそのうち書く)をプロデュースしている程なのだが、レコード会社がホールのイメージに合っていないと判断。発売まで一年以上放置されていたとのこと……
だが、二人の仲は続き、この「エクスポージャー」でもホールが大半の曲でボーカルを録音……したのだが、これまた結局ホールの所属レコード会社の許可が下りず、その殆どがお蔵入りしている(今は後年発売されたCDのボーナストラックとしてホールが歌ったトラックも聴ける。しかしこりゃ先生がレコード会社嫌いになるわけだ)。
ホール以外の参加メンバーも奮っており、後日ディシプリン・クリムゾンで同僚となるトニー・レヴィン、以前から先生との交流でお馴染みのブライアン・イーノ、アンビエント界隈のもう一人の重鎮ピーター・ガブリエル、ドラムでナラダ・マイケル・ウォルデン(以前紹介したアレサ・フランクリンのアルバムにも参加)とフィル・コリンズまで参加と、まあ贅沢かつ好きな人には堪らんラインナップ。
ダリルがリトル・リチャードばりのピアノをロールさせるA2「ユー・バーン・ミー・アイム・ア・シガレット」。
ディシプリン・クリムゾンが目指したポリリズムの原型と言っていいA3「ブレスレス」、A4「ディスエンゲージ」、A7「NY3」。
ディシプリン・クリムゾンの名曲「まってください」の原曲と言っていいA5「ノース・スター」に、フリップ先生にしては珍しいブルース形式のA6「シカゴ」。
坦々と繰り返されるコードリフがクールな表題曲B1 「エクスポージャー」。
そして本作のハイライトと言っていいであろうピーター・ガブリエルが歌うB7「ヒア・カムズ・ザ・フラッド」!これが誠に素晴らしい!
ご存知の方もいるだろうが、この曲はピーター・ガブリエル自身の1stソロアルバムに収録されている曲のアレンジ版。だが、こちらの方が原曲より絶対いい!
実はこの曲、ピーガブさんのオリジナル版はかなりオーバープロデュースされた音(シンセやSEが大幅にオーバーダビングされている上にボーカルにもエコーがかかりすぎて仰々しいのよ……)になっており、本人も納得がいっていなかったのをここぞとばかりにリアレンジ!ピーガブさんの歌とピアノを基本にフリップ先生のフリッパートロニクス(出た!)とイーノのシンセが少しだけ彩りを添えるこのアレンジ!このバージョンこそが真の「ヒア・カムズ・ザ・フラッド」だ!
……と全曲素晴らしい出来かつ、どの曲もディシプリン・クリムゾンで演奏していてもおかしくない曲ばかり……というか、正直に言えばこのアルバムこそが最もディシプリン・クリムゾンの音楽性を表現していると筆者は断言したい。
さらに誤解を恐れず言えば、ディシプリン・クリムゾンとはこのアルバムでフリップ先生が表したフォーマットの一面に特化したバンドだったとすら言ってしまおう。
バンドメンバーを固定したクリムゾンというフォーマットでは表現し切れないポップネス、クールネス、そして叙情性がこのアルバムには詰まっている(言っとくけどディシプリン・クリムゾンは当然凄いバンドなんだぞ!誤解なきように!しかしこうして改めて聴いてみるとディシプリン・クリムゾンの肝はやはりトニーだったのだなぁ。ディシプリン・クリムゾンの結成時に先生がトニーを必須メンバーとして誘った理由がわかるというものだ)。
いやぁ、もっと聴かれるべき、評価されて然るべき盤なのだが、いかんせんクリムゾンと比べるとフリップ先生のソロアルバムはやはり知名度が低いのかなかなかメジャーどころでの評価がされていないというのが筆者の正直な感想。
「プログレはちょっと……」という人にこそ是非聴いてみてくれ!
未だ現在進行形のクリムゾンの原点がこれだ!
最後になったが、3月24日に死去されたキング・クリムゾンのドラマー/キーボーディスト、ビル・リーフリン氏に哀悼の意を。
(今回のコロナ禍とは関係なく癌で闘病中だったようだ)。
2018年の来日公演でストイックに曲を彩るキーボードを弾いていた姿を私は忘れない。
では諸君、元気でいろよ!再見!