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明石のブルースマン「ハウリンメガネ」が贈る…「どこまでもヴァイナル中毒」(第8回)ビーバー&クラウス(パート2)

2018-08-06 12:26:01 | 『ハウリンメガネ』コラム集

読者諸賢、毎日暑いなぁ...
ハウリン・メガネである。

ここまで酷暑が続くと
さすがに私もヴァイナルの保管状態が不安になる。
諸君にも一つ、お勧めの保管方法を挙げる。

それは「毎日聴く!」ということだ。

毎日何かしらの盤を聴くということは
それだけで盤をジャケットから取り出し、
新鮮な空気にあてることになり、
変形やカビの防止につながるのだ。
盤はコレクトするだけのものじゃない。
聴く為にあるのだ。

さて、今回ご紹介する盤は前回に引き続き「Beaver&Krause」の作品。
それも前回紹介した「Gandharva」(1971年)の次作である「All Good Men」(1972年)を紹介しよう。

まずはこのジャケットを見て欲しい。
前作も強烈だったが、別の意味で強烈なジャケットだ(笑)。

ただ、前作が見るからにサイケな絵だったのに比べると、
今作の絵は超現実派(シュールリアリズム)のようで、個人的に好きなのである。
こういう絵画的なジャケット、少なくなったなぁ...

やっぱりCDサイズじゃいかんのである。(しみじみ)
盤サイズのでかいジャケでばーん!!
と見えないと、だ。

ミュージシャン本人の姿がカッコいいもの
(以前紹介したクラプトンのSlowhandとか)
なんかもやっぱりこのサイズで!ね。

さて、話を盤に戻す。
前作ではマイク・ブルームフィールドやレイ・ブラウンなど、大御所の参加が目立っていたが、
今作ではメジャーなゲストプレイヤーの名前は少ない。
ただし、参加者の名前を見るとある側面が見えてくる。

前作にも参加していたジム・ケルトナーやハワード・ロバーツなど、
知ってる人は知っている大御所や、
アル・ケイシー、 フランク・キャップ、レイ・ポールマンという名前に聞き覚えはないだろうか。

そう、この人達は知る人ぞ知る、ロスのスタジオミュージシャンチーム、
The Wrecking Crewの面々なのである!

有名どころではビーチボーイズの「サーフィン・USA」や
サイモン&ガーファンクルの「ミセス・ロビンソン」などでバックを担った面々の一員だ。

そんな人選もあってか、
今作はアメリカンポップ趣向が反映された作風になっている。

混声コーラスが鳴り響く
[A1:A Real Slow Drag]や、カーペンターズやS&Gを髣髴とさせるメロディが美しい[A4:Sweet William]、[A6:Looking Back Now]、[B2:Child Of The Morning Sun]。

ちょっとカンタベリーロック寄りな[A5:Bluebird Canyon Stomp]、[B3:Between The Sun And The Rain](カンタベリーはイギリスだろうって?いいの!あれは広義のジャズロックだから(笑)!)。
70年代の映画のエンディング曲のような[B1:Prelude]など、良曲が並んでいる。

だが、個人的に一番興味深かったのは[A2:Legend Days Are Over]だ。
淡々としたピアノのフレーズにこれまたシンセと思われるシンプルなフレーズが絡まり、途中でパーカッションが呪術的に打ち鳴らされる。

そんな中でカットアップされたようなナレーション的言葉が無機質に繰り返される。

先に述べたような良質なポップの中に一曲だけ、
ぽつんと挟まれている「この単調な曲」が異常に私の心を捉えて離さないのである。

でも、こういうのどこかで聴いたな?
そう!ここ数回で何度も名前の出ている
ブライアン・イーノの作品に近いのだ!

前回も述べたとおり、ビーバー&クラウゼはイーノにも強い影響を与えたと言われている。
それは「シンセの使い方」だけではなく、
このような「カットアップ手法」や、アルバム内に違和感のある曲をポンと置く所も含め多大な影響が伺えるのだ!

そして、ここまで書いたからにはもうお気づきだろうが、当連載、次回以降しばらく
「ロック史上最大の異才」
ブライアン・イーノの話が続く!

ビーバー&クラウゼのような音に影響を受けた
御大ブライアン・イーノがどんな盤を作ったのか、紐解いていくことにする!

次回以降も大いに期待してくれ!
ハウリながら待て!お楽しみに!

以上、ハウリン・メガネでした。