「江副さん」
僕らはそう呼んでいた
彼がボスであっても
僕ら従業員は
「さん」付け
で呼ぶのがリクルート流儀
もう15年も前に退社した会社の話を
あえてここでする必要があるのか
迷ったけれど
他ならぬ「江副さん」
の死去ということで
お許し下さいませ
彼を語る時にどうしても
「リクルート事件」
というものが出てくる
今回の死去のニュースで
この事件を知った若い子も
多いのではないだろうか
先輩たちは
「防弾チョッキを着ていたよ」
と事件が大騒動になった時を回想していたけれど
中の人間たちには関係の無いことで
会社は毎日楽しく
ガッツと笑顔
で乗り切っていたようだ
俺
が入社したのは
まさに事件後の激動時
多額の借金を抱えた会社
（その時は何も知らされなかったけれど）
に毎日楽しく通勤していた
そして、その後ダイエー傘下となり
その、数年後に退社したように記憶する
なにぶん古い話だからねぇ
でも、「辞める」
というのが
「ひとつの勲章であった会社」
も珍しいのではないか
「辞めて何をするか」
ココがとても重要な会社でもあった
ほとんどの人が辞めた後に
「起業」
するか
「フリーランス」
で仕事をするか二者択一を迫られる
それが「江副イズム」
であろう
俺の場合は
「起業家」
として
「Jerry's Guitar」
を立ち上げ
独自の楽しみを追求
していく事
になったわけだけれど
コレはすべて
「リクルート時代」
に養われた
「起業化スピリット」
のお陰であることは言うまでも無い
だから
「江副さん」
には感謝
しても仕切れないんだ
まあ、もちろん
彼は俺のことなんて知らないだろうし
あっ、もしかしたら
「Bob Dylanにギターを渡した男がいる」
って話くらい知っていてくれたかも
まあ、そうだったら嬉しいんだけれどね
どちらにしろ
俺だって数回しかお目にかかれてないんだから
直接的に影響を受けた
なんてことは皆無なんだ
でも、そのマインドは
リクルート全従業員に伝わっていた
んだよね
日本の起業家たちを育てた
偉大なパイオニアが逝かれた
彼なしでは今の自分は無かった
改めて感謝を申し上げたい
「良い会社を作って頂き
そこへ招き入れて頂き
本当にありがとうございました
そして、天国でもきっと新しいことをなさっている
そんな、あなたとお会いできる日を楽しみにしております」
＜2/9 MASH
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