それでは次はババが写真として現れ、帰依者の望みを叶えた物語を紹介しよう。
1917年、満月の朝、ヘマドパントはヴィジョンを得た。ババが身なりの良いサニヤーシの姿で彼の夢に現れて彼を起こし、その日の食事に行くからと告げたのだった。ヴィジョンは夢の一部だった。
彼は完全に目覚めると、そこにはサイもサニヤーシもいないのを確認した。だが彼が夢を思い出し始めると、夢の中でサニヤーシが言った一言一句を全て思い出した。彼はババと知り合って7年になり、いつもババを瞑想しているが、ババが彼の家に食事をしに来ることなど想像だにしたことがなかった。だが彼はババの言葉に大変喜んで、妻の所へ行って、その日はホーリーの日で、サニヤーシが食事をしに来るから、少し多目に食事を準備するように伝えた。
彼女は誰がどこからやってくるのかを尋ねた。そこで変な誤解をさせたくなかったので、彼は夢の話をし、真実を彼女に伝えた。彼女はババがシルディからこんな所までやって来られるのか、シルディでのおいしい食事に慣れているババが彼らの粗末な食事を食べることができるのか、と疑いながら聴いた。ヘマドパントは、ババ自らが来ることはないかもしれないが、客の姿を借りて現れるかもしれないので、余分に食事を料理しても彼らが損をすることはないと、妻に請合った。
この後食事の用意がされ、正午には準備が出来た。ホリカ(ブラフマンの力で焼き殺された悪魔)の礼拝が行われ、葉1が広げられて、その周りには’ランゴリ’(祝いのときに作られる色とりどりの絵やアート)が置かれた。テーブルの中央の2つの席が高貴な客人のために用意された。家族全員 - 息子たち、孫たち、娘たち、義理の息子たち等がやってきて席に座り、様々な道具が配られた。これが終わると、皆が客人の席を見たが正午を過ぎても誰も現れなかった。
そこで玄関が閉められ、アンナ・シュディ(ギー)が配られた。これが食事を始める合図だった。ヴァイシュワデヴァ(火)へ供物が捧げられ、スリ・クリシュナへのナイヴァイディヤも終わり、家族は食事を始めようとしたとき、階段を上る足音がはっきりと聞こえた。ヘマドパントはすぐに立ち上がってドアを開けると、アリ・モハメッドとモウラナ・イスム・ムジャヴァールという二人の男が立っていた。
彼らは、食事が並べられ家族全員が食べ始めようとしていた光景を見てヘマドパントに謝罪をし、自分たちが邪魔をしにきた弁明をさせてくれと言った。彼らは言った。「あなたが席を離れて私たちのところへ駆けつけてきたので、他の皆さんはあなたを待っています。ですから先にこれを受け取って下さい。
全ては後でお話ししますから」そう言うと、彼は脇に抱えていた古い新聞紙でくるまれた包みを取り上げて、テーブルの上に置いた。ヘマドパントが包みを開けてみると、それは大きくて素晴らしいサイババの写真であった。それを見て彼は大変感動して目からは涙が流れ、全身の毛が逆立ち、彼はひざまずいて写真の中のババの足に頭を付けた。彼は、ババがこのリーラで彼を祝福してくれたのだと思った。
彼は気になってアリ・モハメッドに、どうして彼がこの写真を手に入れたのかと尋ねた。彼は店で購入したのだと言い、皆が彼を待っているので、詳しいことは後で話すから先に彼らと食事を済ませてくれるように言った。ヘマドパントは彼に感謝し、別れの挨拶をして、ダイニングホールに戻った。写真は客人の為に用意されていた中央の座席に置かれ、ナイヴァイディヤの捧げ物を済ませてから、家族は予定した時間に食事を始め食べ終えた。写真に映った美しい姿のサイを見ながら、皆は非常に喜び、どうしてこのようなことが起きたのか不思議に思った。
サイババはヘマドパントの夢で約束したことを、このようにして守ったのだった。この写真にまつわる詳細、つまりアリ・モハメッドがどのようにして写真を手に入れ、なぜ彼がヘマドパントの所へ持ってきたのかについては、次章で述べることにする。
1.大きなサイズの葉が薪の破片に留められ、その上に食事が配膳される。葉は繰り返し皿として使われる。
スリ・サイに頭を垂れよ - 皆に平安が訪れますように