まち・ひと・くらし-けんちくの風景-

建築設計を通してまち・ひと・くらしを考えます。また目に映るまち・人・くらしの風景から建築のあるべき姿を考えています。

JUDIへまちキネについて今年の活動報告の補足

2022-10-30 17:31:25 | 民間建築 Private Sector Building

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鶴岡まちなかキネマにつて2年間の活動助成をいただいたJUDIへの報告をBLOGに掲載しました。

引き続き、今年の活動(まちキネをみんなで見送り、送る会)について報告した内容を紹介します。

 


JUDIへの報告 鶴岡まちなかキネマ再生に向けた活動への助成に感謝

2022-10-30 16:00:54 | 民間建築 Private Sector Building

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2022年10月現在において、鶴岡まちなかキネマは、市が取りまとめた計画スキーム(社会会福祉協議会事務室・介護予防室+「映像機能付き交流スペース」)に向けて、改修工事の真っただ中にあります。私は市の計画スキームにより、2020年に閉鎖されたまちなかキネマがドラッグストアなどにスクラップアンドビルドされるのではなく、映像機能が残ることに安どしましたが、同時に同じ費用で、関係者がウィンウィンとなる別の解決案があることに思い至りました。建築学会の専門家や映画関係者へのヒアリングからは、さらに様々な可能性・考え方があることも見えてきました。私はこのことを「まちキネの存続と再生を望む会」(菊池代表)と相談しました。必ずしも皆さんの考えが一つであったわけではありませんが、いろいろな可能性を考えていく必要性においては一致したので、市民にそのことを訴えていく活動を始めました。この活動に対して、JUDI(都市環境デザイン会議)から2年間にわたり助成金をいただきました。

その活動も終了しました。すでにキネマの解体も進み「もう一つの案」を提示することには意味がなくなったので、「映像機能付き交流スペース」を「映画館」として運営していこうとしている山王まちづくり会社(三浦新社長)の活動を、微力ですが今まで以上に応援していくつもりです。

以下JUDIに感謝の気持ちとともに報告した梗概を掲載しました。

 

高谷時彦

建築・都市デザイン

Tokihiko Takatani

architecture/uaban design

 


新幹線ホームからまちを考える?

2022-10-23 13:23:12 | 建築・都市・あれこれ  Essay

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庄内の大学に通うため、最近は新幹線を使うようになりました。新幹線ホームからは意外なものが見えます。まず、第一に紹介するのは頭端式ホーム(下写真)。東京駅は新幹線の終着駅でもあります。バラストが盛られた向こうにオーバーランする車両をとめるため?の車止めがあります。

私は、四国の高松で生まれ育ちました。瀬戸大橋ができるまでは、駅(高松駅)には四国各地からの線路が集まってきており、まさに終着駅の趣きがありました。乗客は、頭端式のホームで列車をおりて、連絡船乗り場まで、場内の階段を駆け上がるのです。みんな無口で先を急ぎます。一方その間に貨物列車はそのまま連絡船の中に滑り込んでいきます。

私にとっての「駅」というと終着駅のイメージとなります。映画の「終着駅」ローマ駅もそうですし、子供のころ親戚を訪ねて乗った琴電の琴平駅も頭端式でした。数年に一回の楽しみであった大阪旅行でも印象に残っているのは阪急梅田駅です。何本もの電車が並んで止まっている終着駅の風景です。

 

ホームから見えるもう一つの風景は、下写真の東京中央郵便局です。アルミカーテンウォールとガラスのファサード(立面)が並ぶ中に、異彩を放っています。隣に見える東京駅の異彩さとはちょっと質の違うものです。丸ビル、新丸ビル、東京海上ビルなどほとんどの建物がスクラップとなっていく中で、東京駅と中央郵便局(こちらは一部ですが)は残されました。壊されたものと残ったものと何が違うのでしょうか。考えてしまいます。

中央郵便局は1931年、吉田鉄郎の設計でできました(以下阿部聡子氏の論文(2022アクセス)を参照しています)。

柱梁の構造体を素直に表現して、白いタイル張り。モダニズム建築です。1931年竣工というとコルビュジェのサボア邸と同じです。当時の日本の状況である「日本趣味」に走ることなく、現代的な材料で、機能を素直に形にしていることから逆に日本的な印象をもたらしたことはブルーノタウトや岸田比出刀氏の指摘の通りだと思います。建設当初から賞賛の対象となっていた、反対側のファサードはなくなってしまいましたが、それでも雰囲気はよくわかります。

私のお気に入りは煙突です。灯台のようなフォルム、周りの建物のように高さを競っているのではなく、あくまでもファサード全体のバランスの中で、きっちりその役割を果たしています。端っこをぎゅっとしめています。

新幹線ホームから眺めると大勢の人が屋上に見えます。思い立って、帰りに少しだけ寄り道しました。木口タイルですね。新幹線ホームからは分かりませんでしたが、ファサードを特徴付けている水平要素、庇の出隅にはラウンドコーナーを持つ役物タイルが使われていました。こういうディテールが優しさを生みます(水は切れないでしょうが・・・・)。ベンチのデザインにも、建築の持っている雰囲気への気遣いがあるとさらに良かったのではないかと思いました。決して似たものをつくって欲しいということではありません。吉田デザインにどこかで呼応するというありかたもあったのではないかという思いです。

 

屋上からは丸の内側の広場が一望(下写真)できます。歩行者デッキがなく、余計なシェルター類も目立たない「広場」という風景をデザインしていることが

よく理解できます。大変秀逸なデザインだと思います。

参考にした資料

阿部聡子 「「東京中央郵便局」再考」東京大学総合博物館ニュースVol.18/Number1

https://www.um.u-tokyo.ac.jp/web_museum/ouroboros/v18n1/v18n1_abe.html(2022.10.23アクセス)


松ケ岡クラフトフェアを愉しみました

2022-10-02 19:33:26 | 建築・都市・あれこれ  Essay

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大学院の修了生で、市役所で活躍するSさんのお誘いで、松ケ岡のクラフトフェアへ。

残念ながら、入り口にあるサイン(私たちがデザインしました)を見ている人はいませんが、皆さん、自然に中に歩を進めます。

こんな感じです。全国からクラフトのお店が出ているんですね。

新しくワイナリーレストランもできました。歴史的な蚕室群と新しいレストランの取り合わせもいいですね。

ワインがいいと言いながら、なぜか手にしていたのはビール。どうしようもない輩です。

しかし、この丘からの風景は、新発見。まだまだ多くの魅力が掘り起こしを待っている場所です。

それから、自分たちが設計したものも気になります。

開墾士住宅もフル稼働。

当然ですが、トイレもきっちり働いていました。

こんな楽しい時間と場所を、2日間にわたり作り出してくれる皆様、本当にありがとうございます。半日間ではありましたが、愉しませていただきました。

高谷時彦

建築・都市デザイン

Tokihiko Takatani

architecture/urban design


東京外大の円形コロネード

2022-10-02 19:03:13 | 建築・都市・あれこれ  Essay

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東京外大のキャンパスは週末のランニングコース。当然ですが、いつもは下写真のように地べたを走っています。今日はふと思いついて、中心広場を囲んでいるサークル(コロネード)のうえを走ってみました。

いつもとは違う風景が現れます。

多数の建築群をこの列柱からなるサークル(コロネード)がつないでいます。キャンパス全体の印象を、アウトレットモールみたいだと、酷評?する人もいるようです。確かに、深みあるいは奥行き感のある空間性を感じさせるものではありませんが、この、時間軸を捨象したようなあっけらかんとした雰囲気も悪くないと思います。建築群を取り囲む単純なサークル(コロネード)と、幾何学的なランドスケープも一体の雰囲気を作り出しています。時間の蓄積が感じられないことで、逆に下写真のように、時が止まったようなシュールなところも感じられます。

もともと、立体的なサインは面白いと思っていました。今日インターネットで検索すると、

デザインには五十嵐威暢さんも加わっているとのこと。今までそのお名前が浮かば

なかったことに不明を恥じる思いです。

これからもこのキャンパスを見守っていきたいと思います。

高谷時彦

建築・都市デザイン

Tokihiko Takatani

architecture/urban design