まち・ひと・くらし-けんちくの風景-

建築設計を通してまち・ひと・くらしを考えます。また目に映るまち・人・くらしの風景から建築のあるべき姿を考えています。

コルビュジェ展から浅草初音小路へ

2019-05-12 18:54:31 | 建築まち巡礼東京 Tokyo

高校時代の友人H君と上野西洋美術館のコルビュジェ展へ。

久しぶりの西洋美術館でした。そのあと天気も良かったので、浅草まで散歩。

初音小路の藤棚の下でビール。

そのまま帰ればよかったのでしょうが、駅に行く途中で神谷バーにつかまり、電気ブランを2杯。

飲みすぎですね。

高谷時彦

建築・都市デザイン

設計計画高谷時彦事務所・東北公益文科大学大学院

Tokihiko Takatani

architect/professor

Tokihiko Takatani Studio. Tokyo

Graduate School of Tohoku Koeki University. Tsuruoka City, Yamagata


神保町で後藤治先生の『論より実践 建築修復学』を入手

2019-05-06 15:13:48 | 建築まち巡礼東京 Tokyo

先日下谷快哉湯を見学したときに、ご挨拶した工学院後藤治先生の『論より実践 建築修復学』をもとめて神保町へ。

後藤先生にはいつもご指導いただいています。電車の中で少しだけ読むと「したがって、歴史的建造物のほとんどは、保存より『利用』に力点を置くべきである。修復という作業においても、丁寧で慎重な扱いよりもむしろ、建造物が現代的な利用に耐えられるように手を加えていくことが重要になる」という言葉に出会い大いに勇気づけられます。

今山形県酒田市・旧割烹小幡の改修設計の大詰めを迎えていますが、日々迷うところがあります。和館は、人々が思っていたよりもずっと古くて、明治初期以前の町家形式を基本に様々な改修が加えられてきた料亭建築であること、洋館は酒田フレンチの源流ともいえる貴重な大正建築であることなど、酒田市図書館岩浪館長とともに基本調査で明らかにしてきました。大変貴重な歴史的価値があることを発見してきたわけですが、いざテナントにも入って利用してもらおうとするとそのまま復原するだけではだめです。各所に手を加えなければなりません。これまで改修に改修を重ねてきたという「時間の中の建築」ですから、今回もきちんと評価されるような歴史に残る改修設計で答えたいと考えています。とはいえ、先ほど述べたように迷うときもしばしばです。

もう一度、後藤先生の本に学んでみたいと思います。

さて、WEB書店を利用するようになって、神保町に降り立つこともすっかり少なくなって来ました(電車で毎日通過していますが)。

文房堂ビル。スクラッチタイルのある典型的なアールデコです。旧割烹小幡洋館と同じ1922年竣工だと店の前に掲示してあります。

震災後の看板建築の一種だと思います。

こんな銅板吹きの外壁も昔(よく来ていたのは学生時代ですからなんと半世紀近く前!)はもっと多かったように思います。

神保町シアター。面白い形体です。コガネムシを思い出します。設計者の山梨さんは今年ふたたび建築学会作品賞をとられました。

鳩が寄ってきます。なぜかうちの猫を思い出します。

I visited Jimbo-Cho town, a district of new and secondhand book-sellers, for the first time in a while.

I enjoyed a short walking around this hitoric area. The atomosphere of the street reminded me of my student days.

  

高谷時彦

建築・都市デザイン

設計計画高谷時彦事務所 東京

東北公益文科大学大学院 鶴岡 山形

Tokihiko Takatani

architect/professor

Tokihiko Takatani Studio. Tokyo

Graduate School of Tohoku Koeki University. Tsuruoka-City, Yamagata-Pref.

 

 

 

 


スカルパ、建築と時のながれ

2019-05-05 18:58:04 | 建築・都市・あれこれ  Essay

ムスタファヴィ、レザヴォロが書き、黒石いずみさんが訳された『時間の中の建築』(鹿島出版会1999)を再読してみました。数年前に読みましたが、正直その時にはこの本の意義を十分理解していませんでした。最近加藤耕一さんの『時がつくる建築 リノベーションの西洋建築史』を読んで、その面白さに引き込まれましたが、そこで紹介されている『時間の中の建築』をもう一度読みたいと思ったわけです。

 建築家の「作品」は時間の中で劣化していきますが、視点を変えれば時間とともに時間を味方にして風景になじんでいく建築(のありかた)もあるはずです。白く純粋な完結した作品としてのモダニズム建築が多くつくられていた20世紀の中盤においてカルロスカルパは「時間あるいは風化を味方にした」「作品」を残しています。『時間の中の建築』ではブリオンヴェガが取り上げられています。

 ここでいったん本の内容と離れます。ブリオンヴェガはスカルパの世界が思う存分表現されています。

特徴的な造形要素は各所にみられるギザギザあるいは小さな幾何学要素の組み合わされたデザインです。このギザギザはスカルパのあらゆる作品に登場しますが、そのモチーフの一つとなっているのが水の流れや満ち引きへの対応だと思います。

 

ブリオンヴェガは水が建物の回りに張られていてそのことがよくわかりますが、もちろん水とは直接関係ない部分にもこのモチーフが登場します。

ギザギザを構成する溝が水を導くものであることは下の写真でも良くわかります。

実際に水みちとなるかどうかは別にして、そのディテールに水の流れが関係しているのは間違いないところだと思います。

ここで再び本の話に戻ります。私は全く知りませんでしたし、ブリオンヴェガを駆け足で見学したときにも気づきませんでしたが、スカルパは壁を伝う雨水によってできる汚れを壁面のデザイン要素に取り込んでいるのです。

確かに、雨水の線がコンクリート打ち放しの外壁に時の流れを刻み込んでいます。

汚れやシミは、白い箱のインターナショナルスタイルといわれたモダニズム建築では嫌われたわけですが、スカルパは既にこのころから時間とともに美しくウェザリングしていくことを考えていたのでしょう。彼が関わったヴェローナのカステルベッキオの持つ歴史的意義については『時がつくる建築』に詳しく解説されていましたが、モダニズムの建築の「時をとめよう」という願望とは違う思いをもってスカルパは建築に携わっていたのでしょう。

いろいろ考えさせられる二冊の本、そしてスカルパ建築でした。

<補遺>

『時間の中の建築』では、雨の流れを表現した建築としてヴェローナ銀行も紹介されていました。

確かにそういう目で見ると雨の道のデザインです。

The book Architecture in Time: Survival of Buildings through history and social Change was very interesting. I realized again that modern architecture does not like weathering, because an architectural work of modern architect is most beautiful at the moment when it is just built,although every building can not keep itself from aging. An author asks us if a building designed by an architect is his own work like a sculpture by an artist. 

While I have been engaged in some renovation projects recently, I came to think about the authenticity of architectural works and originality of architect. This book helps me think about things above and reconsider what is modern architecture I have been involved in.

高谷時彦

建築・都市デザイン

設計計画高谷時彦事務所/東京

東北公益文科大学大学院/鶴岡

Tokihiko Takatani

architect/professor

Tokihiko Takatani Studio. Tokyo

Graduate School of Tohoku Koeki University. Tsuruoka City Yamagata