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まち・ひと・くらし-けんちくの風景-

建築設計を通してまち・ひと・くらしを考えます。また目に映るまち・人・くらしの風景から建築のあるべき姿を考えています。

雪の鶴岡 snow country TSURUOKA

2025-02-22 15:48:49 | 備忘録 memorandom

今月は3週続けて、山形県鶴岡市に行くことになりました。

1回目は雪、雪、雪!日本海沿いを走る羽越線が暴風雪のため動かないので、まずは仙台まで新幹線。仙台からは高速バスで東北を横断です。

駅前に降り立つと、駅前の風景が一変していました。米倉庫がなくなっています。

下はかつての写真です。立派な米倉庫、地域の政治状況を反映した複雑な歴史を伝えてくれる、貴重な資源でした。また建築的にも、景観としても鶴岡にとって大切なものでした。シカゴから来た建築家を案内したときに、この倉庫を見て感動すると同時に、日本の建築家はこういうものから、もっと多くのことを学ぶべきだというお説教が延々と続いたことを思い出します1)

酒田の山居倉庫は市が買い取って史跡として活用しています。鶴岡については残念なことになってしまいました。今後庄内地域に残る米倉庫群を、何とかうまく活用していって欲しいものです。

2回目の訪問も、雪、雪、雪!いつも昼食(トマトカレー、コーヒー付き)をとる商工会議所サンクからの風景です。

こういう時は、(用が終わってからですが)、まちキネで映画を見るのに限ります。

井浦新主演の『東京カウボーイ』。楽しい物語でした。帰りも雪、雪、雪・・・。来週の3度目の訪問の時はどうでしょうか?

1)Before we talked together about the traditonal rice storehouses in front of TSURUOKA railway station, I took him to the newly opened  BUNKA Center of Tsuruoka, designed by the world renowned architectural firm SANAA. I found him unwilling to even look at the architecture, I  chose as a judge at the judging panel a few years before. He must be a true modernist in "Chicago" 

高谷時彦

建築・都市デザイン

Tokihiko TAKATANI

architecture/ urban design

 


大きな富士山

2025-02-06 12:12:05 | 備忘録 memorandom

最近時々、文京区役所で打ち合わせをします。打ち合わせ時間に5分くらい余裕があったので、展望階に立ち寄ってみました。

新宿方面を見ると、見えます。富士山です。うまい具合に、都庁舎などの超高層ビル群の間に見えるんですね。手前の山は丹沢でしょうか。

高谷時彦

建築・都市デザイン

Tokihiko TAKATANI

architecture/ urban design

 


宗教心と信心

2025-01-18 15:29:01 | 備忘録 memorandom

時たまですが休日の昼下がり、『心の時代』というNHK番組を見ます。ランニングをした後、350ccの缶に入ったちょっと苦い飲み物をいただきながら、なんとなく見ているという感じです。

数か月前の番組でしたが、講師の先生が親鸞や浄土真宗の話をした後、視聴者の質問に答えていました。その時に、祖先や山々に手を合わせ、祈るのは宗教ですかという問いがありました、講師の先生は「それは、大切な気もち、美しい心ではありますが宗教ではありません」ときっぱり答えていました。その時は、答えの内容よりも、講師のあいまいなところのない態度が印象に残りました。それから何か月もたっていますが、ふと思い出し、下のような理解でいいのかなと思うようになりました。

 

上の図表では、私たちの心の中にあるものを信仰心と信心(祈る心)に分けてみました。そして宗教の側で私たちのために用意してくれるものを、教義(教主)、修行(実践)、祭祀の3つに分けました。

山や先祖に祈るというのは一番右端の行為、信心と祭祀をつなぐ行為です。信心はあるものの、ほとんどの人が、宗教の側で用意してくれている左側の二つに到達することはないと思います。その二つに到達するには、自分の心の中で、右側にある信心から左にある信仰心に移行する必要があります。信心と信仰心を隔てているのは、自ら(プラス人々)の救いをもとめる精神です。

なぜ、この苦しみがあるのか、なぜ人間は罪や業の中で生きるのか、そういった問いを発するか否かが、右側の信心と左側の信仰心の分かれ目だということです。

以上のようなことを、講師の先生は、TV番組の中で親鸞を通して語ってくれていたんだと思います。講師の断言する態度もむべなるかなと思った次第です。ふと、テレビ番組から思ったことを記してみました。

高谷時彦

建築・都市デザイン

Tokihiko TAKATANI

architecture/ urban design

 

 


渋谷イメージフォーラムで映画鑑賞

2024-12-29 17:28:25 | 備忘録 memorandom

しばらくぶりに渋谷・イメージフォーラムで映画。ちょっと遅い時間からの開始だったので平日でも見ることができました。

64席のいいスケールのシアター。

東日本大震災で多くの生徒や教師がなくなった石巻の大川小学校。佐藤そのみ監督がドキュメンタリー風に「その後」を描きます。抑揚のないタッチが、新人とは思えない濃密な空気感に満ちた時間の流れを描きだします。終わった後のトークで、アランレネやアンジェイワイダが好きだとおっしゃっていたので何か納得したような気分に。トークショーの相手は脚本家の港岳彦さん。

港さんの「時々は古典に返るんです。シェイクスピアやソフォクレス・・」という言葉に思わず頷いていました。

終わって外に出ると、多くの人が映画の余韻を楽しんでいます。この風景いいですね。設計者が工夫して生み出した、ほんの小さな庇下スペースが、こういうシーンを呼び起こしたのかもしれません(そう思いたいものです)。中にフリーのスペースがあればいいのでしょうが、まあみちだって、広場のようなものだと思います。

トークショウが終わったのは、結構遅い時間でした。渋谷のあの錯綜したスカイウエーやデッキだけは歩きたくないので、地上部分を選んで井の頭線に急ぎました。無理やり、デッキにあげられて、(歩くのではなく)動かされるのは御免ですね。

高谷時彦

建築・都市デザイン

Tokihiko TAKATANI

architecture/ urban design

 


横浜市役所の槇文彦展

2024-12-08 17:34:42 | 備忘録 memorandom

横浜市役所で開催された槇文彦展を見てきました。

槇文彦氏は長く、横浜で建築設計や、都市デザイン活動を続けてこられました。1960年代の半ばにアメリカから帰ってこられ、丹下研の先輩である浅田孝さん主催の計画事務所を訪ね、そこで田村明さん(のちに横浜市で都市デザインを創始し主導)を紹介されたことが、横浜との長い付き合いの始まりだということです。そのことは、会場の動画で槇さん自身が語っておられます。蛇足ですが、横浜市役所は、槇さんの設計です。私が訪れたのは展覧会最終日の日曜でしたが、市役所の低層階はほとんどすべてが市民に開放されており、にぎわっていました。いわゆる「休日の役所」といった風は全く感じられません。ギャラリーもアトリウムに面した2階にあります。ここまで市民に開くということは公共建築に対する槙さんのお考えに基づくものだと思います。

展示場では思わぬものに出会いました(下写真)。槇事務所が横浜市に提出した、都市デザインの報告書の数々です。

私は、槇事務所のアーバンデザインチームとして13年間、修業させていただきました。しかし当時の都市デザインレポートは一つも持っていません。大変懐かしい思いで、手に取ってみました。何十年かぶりの再会です。何枚か写真を撮りました。下写真は道路空間を機能的にとらえるだけでなく、意味論的なアプローチが必要だ・・・などということをひつこく書いています。槇さんが時々お使いになっていた「情景」という言葉を頼りに、論を組み立てています。

下写真は、実現はしませんでしたが、港北ニュータウンの住区のスタディです。展示してあったので写真の公開に差し障りはないとは思いますが、小さく表示しておきます。発注者である都市デザイン室の方々に賛同いただこうと、いろいろな説明を用意しています。

以上は、個人的に懐かしい出会いの話です。展覧会ではもう一つ、「発見」もありました。

会場では、横浜市役所について槙さんが説明する動画が放映されていました。いつものように、槇さんの説明は、市民にとってどのような体験や意味を持つ場を用意したのか、あるいはこの建築が持つ社会性をどのように表現したのかという点が中心で、形態や空間の組み立てかたについてのご自身の意図にはあまり触れられておられませんでした。ただ、URアイランドタワーと市役所の全景を説明するときにお使いになるのが、本町通りから桜木町方面を見たスライドであることに、気づきました。下のようなアングルです(もちろんもっとちゃんとした美しい写真です)。

ここに、槇さんが形態について、お考えになったことの多くが集約されているのかなと思いました。そういう目で、会場にあった模型を見ると、今までわからなかったことが色々見えてきました。下写真のように、本町通りに沿って、壁面や、ボリュームの細やかな操作が行われているのです。アトリウムの位置は地下鉄出口との関係で決まっているのだと思いますが、そこにアトリウムを持ってくることで、多様なボリューム形態とまちに対する壁面角度をうまく調停しているということが、ようやくわかりました。

大きな収穫のあった、展覧会でした。

展覧会の後は、大岡川沿いのテラスで一杯。ビールを飲みたくなるような、暫くたたずんでいたくなるようなお役所をつくってくださったんですね。

 

 

高谷時彦

建築・都市デザイン

Tokihiko TAKATANI

architecture/urban design