まち・ひと・くらし-けんちくの風景-

建築設計を通してまち・ひと・くらしを考えます。また目に映るまち・人・くらしの風景から建築のあるべき姿を考えています。

鶴岡の老舗料亭 新茶屋

2020-09-12 00:26:14 | 建築・都市・あれこれ  Essay

 鶴岡市には、多くの歴史的建造物があります。旧風間家住宅丙申堂や致道館など文化財として保護されているものもありますが、指定文化財や登録文化財などにはなっておらず、その存続が民間の手だけにゆだねられている建物も多くあります。お城のすぐ南側にある料亭新茶屋もそんな建物の一つです。鶴岡市の求めに応じて提出した短い文章ですが、備忘のために記しておきます。

 今書くなら、トイレなどに使われている貴重なマジョリカタイルのことにも触れるでしょうが、当時はその価値にまだ気づいていませんでした。

新茶屋

 木造2階、寄棟瓦葺きの本館は明治39(1906)年築。安永年間に家老の下屋敷を利用して創業しているので庭はその当時のものの可能性が高い。金峰山を借景とする広大な庭に面した135畳の大広間は庄内随一。旧館時代以来副島種臣など明治の文人墨客が訪れており、鶴岡の料亭文化を伝える貴重な文化資産である。

 建築としては近代和風建築の典型。明治の洋風建築の流入に対しては高橋兼吉の西田川郡役所のような擬洋風建築の流れもあるが、一方では和風建築を活かそうとする流れもあり、日清日露戦争を経て日本の伝統が強く意識された時代にこの純和風建築は建築されている。基本は書院作りの座敷であり、床の間周りにも贅を凝らしているが、一部数奇屋風のつくりで遊び心を表現している部屋もある。料亭らしく厠の意匠が楽しい。

 今後、建築のみならず家具調度品も含めた詳細な調査を行い、総合的に文化的な価値を評価し記録しておく必要がある。また、桁行き、梁間方向ともに壁のない開放的なつくりが災いし、既に大きな歪みが生じていることが確認できる。今後使い続けていくためには、耐震性能についても調査する必要がある。耐震補強は避けられないが、建物の持っている特性を十分に生かす知恵を集結することが求められる。

2016.12.18 高谷時彦

Tokihiko Takatani  

Tokihiko Takatani Studio  architecture/urban design  TOKYO


ドクターeと呼ばれる珍しい車両に遭遇

2020-09-05 18:26:22 | 建築・都市・あれこれ  Essay

酒田駅でこんな車両に出会いました。正面からは普通の電車。

 

しかし、横から見ると・・・。

何か変。さらには・・・。

完全に特殊車両ですね。

WEBで検索するとdoctor eと呼ばれる検測車ということが分かりました。

架線や軌道、信号システムの異常を調べるのですね。

Isaw a very strange train "doctor e", a train of inspection cars.

Inside the cars, there must be many measuring devices to check the overhead wire, track and signal system. 

Tokihiko Takatani

Tokihiko Takatani Studio  architecture/urban design Tokyo

高谷時彦

設計計画高谷時彦事務所