まち・ひと・くらし-けんちくの風景-

建築設計を通してまち・ひと・くらしを考えます。また目に映るまち・人・くらしの風景から建築のあるべき姿を考えています。

高知本山町高知屋旅館

2020-01-19 18:55:02 | 建築まち巡礼四国 Shikoku

 

高知市から四国山地に車で分け入ること1時間。昔、杉と檜の産地として栄えた本山(高知県長岡郡本山町)のまちなかにこんな掘り出し物がありました・・・高知屋旅館。

本山町の役場のすぐ近くです。もともとは大正初期にできた料亭だったそうです。今は人通りがありませんが、かつては大いに栄えたまち。戦前までは杉と檜を大阪方面に出荷していました。大阪のど真ん中、中之島の南を流れる川は土佐堀川、その左岸は土佐堀というまちです。豊臣期に土佐商人がたくさん住んでいたからだそうですがその商人たちが扱っていたのが、この本山の木材。大阪の長堀にある白髪橋はも本山町にある白髪山という木材産地にちなむものだそうです。

このまちの中心街も、とくに1970年頃に早明浦ダムの建設とともに吉野川沿いに県道が整備されてからは衰退の一途とのこと。中学高校、病院、JA、道の駅などあらゆる施設は県道沿いに立地。かろうじて町役場は残っていますが、現在新しいものを設計中で、やはり県道沿いに移転するそうです。

私たちは、本山町で集落活動センターを設計することになり、役場の回りを散歩していてこの建物に遭遇。まずはここに投宿することにしました。

中庭があります。かつては料亭らしく池もあったそうです。

洋館は昭和の時代ダンスホール。

百畳敷きの座敷も健在。

料亭らしい、粋な意匠です。この天井は竿縁を吹き寄せた上に、このコーナーの天井板の扱い。

付け書院も凝っています。

しかし、この先どうなるのでしょうか?

何か良いアイデアを出さないと、いけません。近くには郵便局も残っています。これも県道に新しいのが建っていました。移転したわけですね。

そういえば、吉野川の石で積み上げた石積み擁壁もまちの中や郊外にたくさん見ることができます。

これも本山らしい風景をつくっています。

As we were selected to design the new Namekawa community center in Motoyama-Town of Kochi pref,

we visited the town for the first time in last December.

Walking around the old center street of the town, after a meeting with town officers and town people in Town Hall, I found a very attractive old building along the street, KOCHIYA Ryokan-hotel.

Though we can see few people walking  now,

this town once prospered with the forest resources, providing wood of cidar and Japanese cypress for the large population of Osaka metropolitan area.

 KOCHIYA Ryokan-hotel  was build at first as a Ryotei,

 Japanese traditional restaurant or entertainment place with serving girls called Geisha.

We realized that it is a exellent building with sophiscated and elaborated works by artizan carpenters.

I hope it will prosper again and live long in this town.

Tokihiko Takatani

architect/professor

Tokihiko Takatani Studio. architecure and urban design Tokyo

Graduate school of Tohoku Koeki university Tsuruoka-City Yamagata-Pref Japan