まち・ひと・くらし-けんちくの風景-

建築設計を通してまち・ひと・くらしを考えます。また目に映るまち・人・くらしの風景から建築のあるべき姿を考えています。

三井所清典先生の講演会をききました

2018-06-17 18:11:09 | 建築・都市・あれこれ  Essay

いつもお世話になっている構造設計のFさんのお誘いで、三井所清典先生の講演会へ。場所は新宿工学院大学、後藤先生の研究室主催です。

 

後藤先生は理事長というお忙しい立場に在りながら、ご自身が求める建築のためには労を惜しんでおられないようです。頭が下がります。今週末には、私が関係している東北公益文科大大学院のある鶴岡でのシルクロードミーティング鶴岡大会にも来てくださいます。OBを含め研究室一同、いろいろなお話を聞けることを楽しみにしております。

三井所先生のお話は3回シリーズの第1回。「地域住宅とまちづくりの思想と実践」というタイトルで有田での建築、まち並づくりから始まり、山古志や東日本での復興住宅に至るまでを時系列上で順々に聞くことができました。その一連の取り組みの中で「生業の生態系の保存」という概念を提唱されています。お話を伺うと有田の時から、まちの人に加え、地元の設計事務所や大工さん、工務店の人々との息の長い交流を続けておられることが分かります。地元の職人さんが人と人、また人と地域産材、コミュニティとコミュニティなどのつながりやネットワークなどを活かしながら、持続可能なまちづくりに取り組んでいることがよくわかりました。

なかなかできるものではありません。

次回も聞きに行きたいものです。

Professor Mi'isho's lecture was wonderful one. I have learned much from him.

高谷時彦 建築・都市デザイン

設計計画高谷時彦事務所

東北公益文科大学大学院

Tokihiko Takatani   Architect/Professor

Tokihiko Takatani & Associates

Graduate School of Tohoku Koeki University

 

 

 

 

 

 

 

 


我が家の近くでも田植えの風景

2018-06-07 18:23:57 | 建築・都市・あれこれ  Essay

先週末、ランニングの後、少しだけ近所を散歩。

身近に里山の風景があることを改めて体感しました。

これは、鳥よけ?風鈴?或いは提灯?何れにしてもビール缶が楽しく変身しています。

久しぶりに野川公園のほうにも足を延ばしてみました。

ここにもアルミの缶が!しかしこれは何の変身もしていないですね。

近藤勇の墓石のあるお寺、龍源寺です。

それにしても良い天気でした。

I found satoyama landscape near my home and enjoyed it very much last weekend.

高谷時彦記 建築・都市デザイン

設計計画高谷時彦事務所

東北公益文科大学大学院

Tikihiko Takatani  architect/professor

Tokihiko Takatani & Associates

Graduate School of Tohoku Koeki University

 

 

 


映画「ジェイン・ジェイコブズーニューヨーク都市計画革命」を観ました

2018-06-05 13:26:33 | 建築・都市・あれこれ  Essay

遅まきながら、「ジェインジェイコブズ-ニューヨーク都市計画革命-」を渋谷ユーロスペースで見ました。

今改めてタイトルを確認すると「都市計画革命」なる言葉が使われていることに驚きました。また納得しました。

 

J.Jacobsはあまりにも有名ですし、代表作の『アメリカ大都市の死と生』については従来の黒川紀章氏の抄訳に置き換わるように山形氏の全訳が数年前に出ています。

また、この映画でJ.Jacobsの敵役として何度も登場するモーゼスの本も数年前に邦訳されています。

さらには、近年建築家槇文彦氏も日本に「健全な市民社会」が誕生することへの期待を込めて、日本にはJ.Jacobsがいないのかといったことをお書きになっていたような気がします。また生誕100年?のイベントも盛り上がっていたような・・・・・・というわけで、いざ話題の映画へ・・・まずは映画館へ・・・。

それにしても渋谷はすごい人の量。確かにスクランブル交差点での外国人観光客の自撮り姿も目立ちます。

何とか人ごみを抜けて、ユーロスペースへ到達。

最近は下の写真のような景色(田植え時期の庄内平野です。遠くに霊峰月山)になじんでいるので、「大都会の夜の雑踏」を新鮮に味わうことができます。

 

月山ついでに、下の写真。鶴岡の町なかからは思わぬところから月山が見えるのですね。いつも見えているのにこの季節の空気の清澄さが距離感を縮めているのでしょうか。

本題に戻ります。

Jacobsは近代都市計画の理念に果敢に挑戦した人です。

映画の中でも使われていた言葉 "Towers in the park"、これこそ近代都市計画のヴィジョンを分かりやすく説明する言葉です。19世紀にとくに顕著となった都市化、過密化の弊害の問題を解くために、広々とした空地を回りにもつ高層建築(群)のイメージをモダニズム建築家、都市計画家は提示します。

彼らは、多種多様な人々が高密度である意味ごちゃ混ぜ状態で澄んでいる地区を「スラム」と名づけ、一気にクリアランスして"Towers in the park"に住み替えさせることを「都市計画」と考えていました。

しかしJacobsは「状態が改善しつつある高密用途混在地区」こそ、都市の活力を生む場所であり、コルビジェのように「都市のなかに垂直の田園を持ち込むこと」もハワードのように「都市から逃避(厳密な言葉使いは忘れました)すること」も、何の問題解決にもつながらないだけでなく、反都市的な行為だと非難します。

当然、"Towers in the park"、そしてごちゃ混ぜ状態からPUREな土地利用を実現しようとするモーゼスとは真正面からぶつかることになるのです。

映画もそういう内容を時系列に沿って、いろんな人たちの証言を添えてドキュメントしていました。

われわれの世代にとっては都市デザインの一人者のひとりと認識していたフィラデルフィアのエドモンドベーコンも登場していました。そういえば彼は建築家カーンの息子のが取った映画「マイアーキテクト」にも登場していました。どちらの映画でも、主人公とは違う立場の人間としての扱いでしたね。

映画はドキュメントして分かりやすくてよい印象をい持ちましたが、もう少し、現代のわれわれに問いかけるものが残って欲しいような気もしました。

この映画を観ながら私は日本の都市計画家石川栄耀を思いだしました。

彼は社会的な地位という点ではとモーゼス側の人間ですが、「純粋の都市美」ではなく、大衆が是としているところから出発する盛り場の美学を追い求めた人間です。ヨーロッパのような自治と市民社会のアイデンティティの場としての広場は日本にはないけど、人々がにぎわいの中に身を寄せ、集団的気分に浸ることのできる盛り場を「都市計画の主題」としようと努力した人間です。

どうも私たちデザインをする人間はシンプルで分かりやすい調和の世界を求めてしまいます。それはC.Alexanderが指摘するように一人の人間の頭の中での思考の限界でもあります("A city is not a tree")。

映画の中でも語られていましたが、都市現象は "organized complex"です。複雑なまま理解する方法が必要なのです。

まずは、多様な人々のすむ都市の現実を常に出発点にするという姿勢を大事にする必要がありそうです。

高谷時彦記 建築・都市デザイン

設計計画高谷時彦事務所/東北公益文科大学大学院

I enjoyed the movie "Jane Jacobs"

She was a great reformer of the Modern City Plannig. Although she had not got the specialized education, she fundamentally critisized the city planners and architects from the point of what she saw by herself. In the movie we can re-experience the long and successful war aganst the giant of the city planning authority of NYC.  

Tokihiko Takatani  Architect/Professor

Takatani Tokihiko and Associates

Graduate School of Tohoku Koeki university