まち・ひと・くらし-けんちくの風景-

建築設計を通してまち・ひと・くらしを考えます。また目に映るまち・人・くらしの風景から建築のあるべき姿を考えています。

酒田の建築士会で話しました-その3

2012-05-13 21:06:52 | お話し・スピーチ speech

やっと話の中身に触れます。

わたしは自己紹介もかねて生まれ故郷讃岐の風景と庄内の風景を対比的にスライドで示しました。こんな調子です。

5

広い平野と勇壮な山、気高い山の庄内。

6

狭くて多くの人が住む平野と、親しみやすいお椀状の山の讃岐・高松。

しかも山と見えるのは瀬戸内海に浮かぶ島だったりします。下の写真がまさにそうです。

9

こういった風土の違い。建築の形も違います。讃岐平野に多い四方蓋の民家。

12

私はこういった風土や風景の違いこそ地域の魅力であり個性であること。それを大事にしていくことがこれからの交流人口拡大にも繋がるし、私たち建築に関わるものが設計や建築行為を通して地域の風景を創造的に継承していくことが必要であることを伝えたいと思ったのです。そのために自分自身が設計のときに考えていることを3枚のスライドで説明しました。

19

20

21

とはいえ、いくらよいことをしゃべっても、自分の作品でそれを実践できていなければ何の価値もありません。このあと私は鶴岡まちなかキネマと藤沢周平記念館を通してどのように風景創造をおこなってきたのかについて お話しました。

      

   

いつも自分の与えられた敷地の中で、また自分の担当する職種の中で格闘されている方々に少し違う視点から建築を考えるきっかけを与えられたとしたら望外の幸せですが・・・。


香梅咲でのお話し-その2

2012-05-13 20:47:14 | お話し・スピーチ speech

お隣の相馬楼は見学コースがあるので入ったことがありましたが、こちらの香梅咲は初めてです。レクチャーまで時間があるので、控え室で待つようにとのこと。

P1150243

 

やはりなかなかにこった部屋です。天井は、同じく酒田の吉野家さんでも見ましたが、角竹の竿縁天井。違い棚の小襖の絵には「昭和15年」の文字が見えます。やはり村松貞次郎先生の言う近代和風建築の一つといえるでしょう。

P1150245

会場をここにしたのは前支部長Aさんの「料亭文化を守りたい」との意向によります。全国有数の港町酒田には全国でも指折りの花街があり、大変洗練された料亭文化がありました。それをしのぶよすが・痕跡が町のいたるところにあるのが酒田です。

Tokihiko Takatani

Architect/Professor

Tokihiko Takatani and associates, architecture/urban design, Tokyo

Graduate school of Tohoku Koeki Univ. Tsuruoka city, Yamagata

高谷時彦/建築家・都市デザイナー

設計計画高谷時彦事務所/東京都文京区千石4-37-4

東北公益文科大学大学院/山形県鶴岡市馬場町14-1

 

 


酒田建築士会でお話しました

2012-05-13 20:32:32 | お話し・スピーチ speech

酒田建築士会の2012年度総会にお招きいただきました。

1時間ほど何でもいいから話をして欲しいということでしたので気楽に引き受けました。しかしあとで分かりましたが、今年は60周年という大事な節目だったようで、私の話でよいのか少々心配になります。しかも会場は香梅咲さんという由緒ある料亭です。

緊張感の高まる中、ぶらぶらと酒田駅から香梅咲まで歩いてみました。

途中の泉流寺に、酒田のまちを開いた奥州藤原氏遺臣三十六騎に守られて平泉から逃れてきた徳尼公を祀る廟があります。

P1150235

この屋根瓦は赤瓦でした。赤瓦は日本海側の多雪で凍害の多い地域の屋根を特徴付けています。燻しの銀瓦や漆黒の黒瓦もいいですが、風雪の中でまだらに色あせた赤屋根は独特のやわらかさややさしい雰囲気をこの地域の風景にもたらしています。

P1150234

この赤瓦は何時頃のものでしょうか。庄内の赤瓦は越前がわらの系譜にあるということは分かっています。北前舟で日本海を北上したものと思われます。また江戸期には越前瓦の製法に倣い遊佐(後に松山に移転)で庄内がわらの生産が行われていました。

    

鶴岡致道館の赤瓦には越前三国産を示すへら書きが残っていたそうです。ちなみに致道館の赤瓦はもともと鶴岡城で使われていたものの転用です。酒井家のかたばみの家紋がついていると聞いています。しかしここの軒丸瓦には三巴。それほど珍しいものではないように思えます。しかしこの三巴のかたちにも時代的な特徴はあるはずです。おそらくどなたか詳しい方はいらっしゃると思いますが、少し調べて見たいと思っています。

ともあれ、覚悟を決めて香梅咲へ、向かいましょう。