伊勢物語
伊勢物語」(いせものがたり)は、平安時代初期に成立した歌物語。「在五が物語」、「在五中将物語」、「在五中将の日記」とも呼ばれる。
• むかし、おとこありけり。京にありわびて、あづまにいきけるに、伊勢、おはりのあはひの海づらを行くに、浪のいと白く立つを見て、
いとゞしく過ぎゆく方の恋しきにうら山(やま)しくもかへる浪かな
となむよめりける。
全125段からなり、ある男の元服から死にいたるまでを歌と歌に添えた物語によって描く。歌人在原業平の和歌を多く採録し、主人公を業平の異名で呼んだりしている(第63段)ところから、主人公には業平の面影がある。ただし作中に業平の実名は出ず、また業平に伝記的に帰せられない和歌や挿話も多い。中には業平没後の史実に取材した話もあるため、作品の最終的な成立もそれ以降ということになる。書名の文献上の初見は源氏物語(絵合の巻)。
そのような場合も含めて、個人の作者として近年名前が挙げられる事が多いのは、紀貫之らであるが、作者論は現在も流動的な状況にある。
◆写真 伊勢物語図色紙 「若草の妹」
伝 俵屋宗達筆 江戸時代 出光美術館蔵
伊勢物語」(いせものがたり)は、平安時代初期に成立した歌物語。「在五が物語」、「在五中将物語」、「在五中将の日記」とも呼ばれる。
• むかし、おとこありけり。京にありわびて、あづまにいきけるに、伊勢、おはりのあはひの海づらを行くに、浪のいと白く立つを見て、
いとゞしく過ぎゆく方の恋しきにうら山(やま)しくもかへる浪かな
となむよめりける。
全125段からなり、ある男の元服から死にいたるまでを歌と歌に添えた物語によって描く。歌人在原業平の和歌を多く採録し、主人公を業平の異名で呼んだりしている(第63段)ところから、主人公には業平の面影がある。ただし作中に業平の実名は出ず、また業平に伝記的に帰せられない和歌や挿話も多い。中には業平没後の史実に取材した話もあるため、作品の最終的な成立もそれ以降ということになる。書名の文献上の初見は源氏物語(絵合の巻)。
そのような場合も含めて、個人の作者として近年名前が挙げられる事が多いのは、紀貫之らであるが、作者論は現在も流動的な状況にある。
◆写真 伊勢物語図色紙 「若草の妹」
伝 俵屋宗達筆 江戸時代 出光美術館蔵