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落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

韓流あやうし

2007年10月22日 | movie
『永遠の魂』

くどい。
最近観た韓国映画がことごとくそーなんだけど、ムダに長いのよ。103分は映画としては長い方じゃないけど、内容の薄さからいえば確実にあと15分以上は削れる。
いいたいことはわかるよ。やりたいこともわかる。
けどひとりよがりなの。やりたいこと全部撮って全部本編につめこむのはヤメて下さい。完全に観客を無視してるよーにしか思えません。観客は監督のおともだちでもなければカノジョでも親兄弟でもない。個人のシュミにつきあいたくて金を払って映画館にまでくる物好きなんかそうそういない。甘えるのもいいかげんにしてくれ。
この作品も、物語や世界観はぐりは決してキライではない。というかむしろ好きだ。
でもワンシーン・ワンカットがいちいちやたら長いのには心底辟易したし、こんなスモールワールドな映画じゃどーしたって途中で飽きる。編集も演出も役者の演技も一本調子でめりはりもないし。
ホラーなのがラブファンタジーなのかももうひとつどっちつかずだし、観ていてただただ疲れました。

本日の失敗作

2007年10月22日 | movie
『Beauty』

最悪。ここまでひどい映画観たのは久しぶりかも。ひどすぎる。
題材は素晴しい。伊那地方の風景も素晴しい。村歌舞伎も素晴しい(振付はあの藤間勘十郎←ドラマ『独眼竜政宗』で「梵天丸もかくありたい」とゆー名台詞で一世を風靡した子役)。ブラボー。
しかし。
まず戦犯その一、シナリオ。何ですかコレ?全部状況説明だけで終わってんじゃん。台詞も95%はいらない台詞ばっ?ゥりだし、言葉遣いも不自然すぎる。なにをどーすればこんなひどいシナリオになるの?プロットは悪くないのに(良くもないけど)シナリオ?ナ全てが台無しになっている。
戦犯その二、演出。しょーじき何をやりたいのかさっぱりわからない。何もかもがクサ過ぎる。30年くらい前の大映ドラマなら成立したかもしれないけど、ぐりはそのころ大映ドラマなんか観てないし(なんのこっちゃ)。
戦犯その三、撮影。もーーーーーー意味のないパンとかズームとかお願いだからやめて。ポリシーってものがない。何をどー見せたいのか、全然考えてないでしょ?ねえ?
戦犯その四、照明。芝居で灯りをつけたり消したりするシーンの同機くらいとってください。吹雪のシーンなのにピーカンってなんで?疑似夜景も既に「疑似」ですらないしさ。
戦犯その五、ヘアメイク。問題外。
戦犯その六、衣裳。問題外。
戦犯その七、美術。問題外。
戦犯その八、編集。テロップが多過ぎます。村歌舞伎の台詞の現代語訳は完全に不必要。画面をムダに汚してるだけならまだしも、物語まで邪魔してる。なぜ誰もとめない?直さない?わっかんねえ〜。

つまりリアリズムがカンッペキに無視されてるワケ。当時の時代の空気とか呼吸とか、そーゆーのを頭から表現しようともしていない。観客をバカにするのもいい加減にしてほしい。一生懸命必死に演じてる役者こそいい面の皮です。もうぐりは始まって3分で「こりゃだめだ(自己最速記録>爆)」と判断して、村歌舞伎のシーンだけ楽しんで観てました。そこだけは本当に素晴しかった。
上映後に舞台挨拶とTIがあって出演者と監督が登壇、子役の大島空良くんがなかなかナイスなキャラを発揮して場を盛り上げてくれたけど、でなければあの客席全体の困惑した重苦しい空気はとても耐えられなかったと思う。彼はプロの子役ではないそうなのだが、元気で活発で頭も良さそうだし、なかなか将来有望なのではないかと思う。主役の方の子役の高橋平くんはとにかく顔がキレイでこちらも将来楽しみだけど、なにしろまだ11歳だから先は長いです。
それにしても麻生久美子はなんでまたこんなん出ちゃったかねえ・・・。主演の片岡孝太郎氏も気の毒としかいいようがない。はあ・・・。

レバノンのおやつ

2007年10月22日 | movie
『ファラフェル』

レバノン映画なんて観たの初めてだよ。つーかレバノンのこと自体あんま知らないよ。あたし。
つーても一見したところではごくごくふつうの若者の日常を描いた青春映画に見えなくはないです。アルバイトしたり、買い食いしたり、パーティーで女の子ひっかけたり、酔っぱらったり、喧嘩したり、そんな一夜の物語。
しかしそこは戦後15年のレバノンを描いているので、やはり「ごくごくふつう」というわけにはいかない。監督は「現在の平和は見せ掛けのにせものの平和」といってたけど、そういう感じ方や表現の仕方がもろに「戦後」を生きてる人たちのそれなんだなと思った。日本だって、50〜60年前、戦後と呼ばれた時代に生きてた人は「こんな平和は本物じゃない」と思ってたんじゃないかなあ。
でも偽物でも本物でも平和は平和だ。いずれにせよ戦争で殺したり殺されたりするよりはずっとましだ。世の中そーゆーランボーな割りきりが必要なときもある。
主人公トゥフィ(エリー・ミトリー)も些細な諍いがもとで暴力的な衝動に自分を見失いそうになるけど、最終的には「日常」を選ぼうとする。毎日寝たり起きたり食べたり家族と過ごしたり、そんな当り前のことが平和であって幸せであって、それよりも大事なものはない。そんなメッセージがファラフェルという日常的な食べ物にこめられている。
あー、ファラフェル、食べたいよー。
ところで主演のエリー・ミトリーはこの映画がデビュー作だそーですが、美男子だしプロポーションもよくってなかなかスター性のある俳優さんなんじゃないかと思う。あとヤスミンとゆー女の子を演じた女優さんがめちゃめちゃかわいかったんだけど、名前がよくわからない。こんど調べとこ・・・。

負け犬万歳

2007年10月22日 | movie
『イーグルVSシャーク』

本日の大ヒット。もーーーーー、ちょーーーーーおもろかった。サイコー。
オタクが主人公のほのぼのラブコメといえば『恋愛睡眠のすすめ』だけど、ミシェル・ゴンドリーはなんだかんだいってオシャレだし、ガエル・ガルシア・ベルナルは文句なしにめちゃくちゃカワイイ。
けどこの『イーグルVSシャーク』のローレン・ホースリーやジェマイン・クレメントはマジで「それはちょっとどーか?」なくらいキモいす。主人公たちだけじゃなくって、出演者全員が「それはちょっとどーか?」なんだけど。よくもまあこれだけビミョーな人々を集めてきたもんです。
でも観てるうちにちゃんと愛着が湧いて来て、キモいはキモいなりにかわいく思えてくる。「美人は三日で飽きる」ってやつか(爆)。
いやマジメな話、この映画では無意識的にオシャレになっちゃいそーな部分を一生懸命否定して、オタクのオタクたるゆえんを誤摩化さずにしっかり表現したうえで、きちっとリアルに笑えるちゃんとした喜劇にまとめてある。だからある意味ではゴンドリーよりは直球です。直球だけにインパクトはもっと強い。観終わったとき、ほんとうに、きれいごとではなく、オタクの何が悪い?夢中になれることがあるのがどうしていけない?負け犬だからそれがなんだっての?と心から思えるようになっている。
ニュージーランドの自然豊かな美しい風景がとにかく素晴しい。素朴なストップモーションアニメや手描きのイラストも味があってとってもかわいい。音楽もステキ。これ日本で一般公開しないかなー。してほしーよ。とても。
ぐりはすっとぼけてるよーですごーく優しい、ヒロイン・リリーのおにいさんがとても気に入りました。あんなおにいさん、ぐりもほしー。

家を訪ねて三千里

2007年10月22日 | movie
『帰郷』

全然期待してなくって、ホント予想通り、それ以上でも以下でもないって感じ。
実話を基にしてるらしーし、ここは張藝謀(チャン・イーモウ)方式で素人や無名俳優をうまく使ってリアリズムを追求した作品に仕上げれば、たぶんもっと国際映画祭向きな文芸映画になったんではないかと思う。香港資本ということもあってそれは許されなかったのだろう。しかし主演に趙本山(チャオ・ベンシャン)をキャスティングした時点でリアリズムは消えてなくなる。趙本山は趙本山であって中国で最も著名なコメディアン以外の何者でもない(過去に日本で公開されてるのは『始皇帝暗殺』?wキープ・クール』『至福のとき』)。他のやたらに豪華なゲスト出演者もまた然りで、こうなればもう完全に内地のオーディエンス向けのお気楽な娯楽人情映画以上にはなりようがない。
だけでなく、要素を盛り過ぎたのかストーリーの流れがかなり段取り調で、登場人物のキャラクター描写にもコントラストというものがまるでない。かつて各国の国際映画祭を騒がせた張楊(チャン・ヤン)監督の精彩は名残りさえ見受けられない。残念。
監督の大学時代のコネなのか、胡軍(フー・ジュン)、郭涛(グォ・タオ)、夏雨(シャ・ユイ)など中央戯劇学院出身者が立て続けに登場するのだが、こうして続いて出てくると芝居の質にはっきりとした共通点がみられたのが発見だった。同じメソッドで学んだ役者に染み着いた“中戯”臭みたいなものがなんとなくあるらしー。
泣いてる観客もいたので、人によっては感動的にも感じる作品にはなってるのかも。ぐり自身は1ミリも感動しませんでしたが。大体、友人の遺体を故郷へ運ぶという物語では『メルキアデス・エストラーダの三度の埋葬』という傑作がたった2年前にこの映画祭でも上映されてるし、どーしたって話がそっくりなだけに比べて観てしまう。
マ、ぐりは胡軍さえ観れればそれでよかったので満足です。