はいほー通信 短歌編

主に「題詠100首」参加を中心に、管理人中村が詠んだ短歌を掲載していきます。

一日一首

2012年10月03日 18時54分50秒 | 日詠短歌

2012/9/3(月)
   久々に、パジャマの上下を着た。

 雷鳴が通りすぎれば窓枠の影も九月の輪郭となる


9/4(火)
   発見。虹は、水たまりにも映る。

 これならば傘を開かず行けるだろう完全体の虹を見上げる


9/5(水)
   鍵の数だけ不幸を抱いているって
   誰かが言ってたね
       (『普通の人々』 さだまさし)

 蝉が鳴く朝一番の涼風の中かなかなの音階のまま


9/6(木)
   散髪は月初めに。

 剃刀はもみあげを経て喉元へ仰向けのまま聞く遠雷が


9/7(金)
   隣の家の柱時計。0分と30分に、律儀に鳴る。

 宙吊りの男の札があけられる瞬間ひびく青銅の鐘


9/8(土)
   ビアガーデン、今年の行き納め。

 渓谷に墜ちて埋もれる蝉のためなおひと切れの桃のタルトを


9/9(日)
   蝉の合唱の中に身を置く。
   不意に、聴覚が真っ白になる。
   これもゲシュタルト崩壊だろうか。

 陽を浴びて鳥肌の立つ前腕も捨て置けどうせ舟が揺れれば



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