はいほー通信 短歌編

主に「題詠100首」参加を中心に、管理人中村が詠んだ短歌を掲載していきます。

『現代短歌朗読集成』(同朋舎メディアプラン)(5)

2008年11月23日 17時50分44秒 | インターミッション(論文等)
(4)まとめ

 以上、おおまかにはこの3つのポイントに分けて、この集成は見ることが出来る。
 もちろん最初に言ったように、このポイントはそれぞれ独立しているのではなく、お互いに絡み合い、重なり合っている。
 声の質はそのまま歌い方に重なり、それは構成や演出を導き出す要素にもなる。
 歌い方や演出は、時代の拘束を多少なりとも受けることは、先に述べたとおりだ。

 また、3つの時代は決してそれぞれ断絶しているわけではない。
 30年、40年、あるいは70年の隔たりを飛び越えて、それぞれの時代は確かに地続きに繋がっている。
 願わくば、もう少し多くの時代、例えば10年20年刻みで記録が残っていたら、と思わないでもない。
 しかし、そんな無い物ねだりをするより、古い記録を大切に保存し、新しい記録を残し、それらを一つにまとめて提供してくれたことに感謝すべきなのだろう。

 堅苦しい文章を並べてしまったが、さまざまな意味においてこの『現代短歌朗読集成』が興味深く意味深いものであることは疑いようがない。
 短歌をこころざす者に有益であることはもちろん、昭和以降の現代史を音声によって眺める、そのことの一助にもなる。
 なにより、日本語をあやつり、また日本語に興味を持つ者にとっては、またとない宝物となるだろう。
 日本語の粋である短歌と、それを作り上げた歌人の「現代」を集めた、結晶として。

(了)

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