遊び女にあらぬをとんぼ縛られて雄をいざなふ 逃げられぬまま
ほにゃらか (♪おみそしるパーティー♪)
文語体が生々しさを消してくれているので、懐かしさと乾い
た哀しみが伝わってきます。
考えてみれば、ひどいことしてますね、僕たちは。
縛られた雌とんぼも、別に雄をいざないたくはないでしょう。
種族保存本能というか、生体機能に物理的に従っているだ
けで。
最後の一字あけが有ると無いとで、伝わる風景の量が違っ
てくる気がします。
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(液体になる瞬間があるらしい)とんぼに羽化するヤゴの蛹に
遠山那由 (百億粒の灰の鳴る空)
その話は、耳にしたことがあります。
虫は、幼虫から成虫になる際、体内の組織を改編するために、
さなぎの中で溶解するのだと。
普通の歌なら、説を紹介するだけで終わってしますのですが、
この歌はそこから始まっているところがすごい。
( )の使い方が、蛹の中の液体を思わせます。
ヤゴを指して、隣の人に説明しているのでしょうか。
それとも、蛹に向かって囁いているのでしょうか。
「お前はもうすぐ液体になるんだよ」
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きみのため一所懸命とってきた目玉と翅を失くせしとんぼ
原田 町 (カトレア日記)
子どもの無邪気さ、で説明してしまうには、ちょっと重い歌
です。
「目玉と翅」は、取ってきたときはすでに無かったのでしょ
うか。
それとも「きみ」が喜ぶと思って、主体がむしり取ったので
しょうか。
どちらにせよ、そのとんぼを差し出したときの主体の顔は、
誇らしげに笑っていたことでしょう。
誰もが持っている、闇につながる陽。
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春は来てかつてとんぼであった風が庭のミモザを揺らして逃げる
やすまる (やすまる)
正直に言って歌意をつかみにくい歌ですが、なぜか目を離せ
ません。
夏や秋には、ミモザを揺らすのはとんぼだった。
冬には誰も揺らす者はいず、春になってやっと風がその役目
を引き継いだ。
理屈をつければこんな感じでしょうか。
でも、これは正解としてはふさわしくないでしょう。
「かつてとんぼであった」という言葉を味わいながら、ゆっく
り考えてみようと思います。
ほにゃらか (♪おみそしるパーティー♪)
文語体が生々しさを消してくれているので、懐かしさと乾い
た哀しみが伝わってきます。
考えてみれば、ひどいことしてますね、僕たちは。
縛られた雌とんぼも、別に雄をいざないたくはないでしょう。
種族保存本能というか、生体機能に物理的に従っているだ
けで。
最後の一字あけが有ると無いとで、伝わる風景の量が違っ
てくる気がします。
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(液体になる瞬間があるらしい)とんぼに羽化するヤゴの蛹に
遠山那由 (百億粒の灰の鳴る空)
その話は、耳にしたことがあります。
虫は、幼虫から成虫になる際、体内の組織を改編するために、
さなぎの中で溶解するのだと。
普通の歌なら、説を紹介するだけで終わってしますのですが、
この歌はそこから始まっているところがすごい。
( )の使い方が、蛹の中の液体を思わせます。
ヤゴを指して、隣の人に説明しているのでしょうか。
それとも、蛹に向かって囁いているのでしょうか。
「お前はもうすぐ液体になるんだよ」
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きみのため一所懸命とってきた目玉と翅を失くせしとんぼ
原田 町 (カトレア日記)
子どもの無邪気さ、で説明してしまうには、ちょっと重い歌
です。
「目玉と翅」は、取ってきたときはすでに無かったのでしょ
うか。
それとも「きみ」が喜ぶと思って、主体がむしり取ったので
しょうか。
どちらにせよ、そのとんぼを差し出したときの主体の顔は、
誇らしげに笑っていたことでしょう。
誰もが持っている、闇につながる陽。
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春は来てかつてとんぼであった風が庭のミモザを揺らして逃げる
やすまる (やすまる)
正直に言って歌意をつかみにくい歌ですが、なぜか目を離せ
ません。
夏や秋には、ミモザを揺らすのはとんぼだった。
冬には誰も揺らす者はいず、春になってやっと風がその役目
を引き継いだ。
理屈をつければこんな感じでしょうか。
でも、これは正解としてはふさわしくないでしょう。
「かつてとんぼであった」という言葉を味わいながら、ゆっく
り考えてみようと思います。