正さん日記

世の中思いにつれて

大阪地裁、水俣病認定基準を否定する判決

2010-07-17 05:43:56 | 社会
 7月16日、大阪地裁は水俣病認定基準について、1977年に行政が決めた認定基準について「医学的正当性を裏付ける証拠はない」として否定、2004年に最高裁が水俣病関西訴訟の女性(84)を水俣病として認める判決をしたが、熊本県は認定棄却処分を変えなかったことに対し、行政に認定するよう命じた。
 
 国は1977年に、公害健康被害補償法(公健法)に基づき、旧環境庁が手足の感覚障害や運動失調、視野が狭くなるなどの症状が複数組み合わせていなければ水俣病と認めないというもので、71年のいずれか1つの症状があれば認めるという基準を厳しくした。その目的は、認定患者には原因企業チッソから1600万円~1800万円(新潟は1000万円~1500万円)の保証金が出るため、チッソの保証金負担を軽くするためと言われる。
 
 国は未認定患者問題を政治解決するため、1995年に一時金260万円を柱とする救済策を閣議決定、さらに昨年施行した特別措置法に基づく救済や、裁判での和解により、基準に満たなくても事実上の水俣病被害者と認め一時金210万円を支払う流れになっているが、今回の大阪地裁の判決により、行政と司法の二重基準がなくなれば、正式に認定を求める患者が増え、救済措置を受ける患者は躊躇せざるを得なくなる。
 現在、水俣病と認定されない患者3万人以上を対象に新救済策が進められているが、高年齢患者などはどちらを求めるのか判断に苦慮するだろう。
 
 環境省などによると、行政による水俣病認定患者は約3千人、認定申請中は約8千人、1977年以降の棄却数は1万5千人になるとのことだ。
 しかし、政府は今回の大阪地裁の判決に対し控訴することを検討しているとのことだが、そうなるとまた何年も先に延びることになり、高齢の患者などが認定か救済処置かどちらを選ぶか苦悩することになる。
 これこそ民主党政権は官僚の言うなりではなく、患者の立場に立って今回の大阪地裁の判決を容認すべきだ。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 石川遼好発進=全英ゴルフ | トップ | 種牛6頭が殺処分、宮崎県内... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

社会」カテゴリの最新記事