ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2016J1リーグ1stステージ第15節ジュビロ磐田vsFC東京@エコパ20160611

2016-06-13 20:59:22 | FC東京

音とうなぎと出世の街浜松。今年はとと姉ちゃんの地元でもある、浜松にやってまいりました。

梅雨入りした静岡西部。自分の三大趣味が一堂に会す全部盛り旅は、初のアウェイ磐田でございます。

三年ぶりにJ1におかえりなさいの磐田ですから、前田遼一選手にとってようやくただいまの挨拶ができる機会が訪れました。前田選手も磐田サポさんも待ちに待ったでしょうね。ひろしさんの提案で磐田サポさんは前田選手を拍手で迎えましたけど、提案がなくてもそうしたでしょう。

そうなんです。地味なんですけど、こっそりと浩対決なんです。ややこしいので、俺たちの浩をヒロシ、名波浩監督をひろしさんと呼ぶことにます。本日のYou’ll never walk alone♪

互いに良さを消すコンサバティブな展開は、共に守りが勝ってドローです。

東京はヨネがサスペンション。シフトは今日も4-3-2-1です。GKは秋元。CBはモリゲとまる。SBは拳人と徳永。3CHは右から羽生、秀人、草民。WGは右に宏太左に慶悟。1トップはおかえりマッチの遼一です。

磐田は藤田がサスペンション。シフトは4-2-3-1です。GKは志村。CBは健太郎と森下。SBは右に小川左に太亮。ボランチは康裕と宮崎。WGは右に吉彰左にアダイウトン。トップ下は祐希。1トップはジェイです。

アウェイ磐田は実は初めてで、サックスブルーの集団に混じるのは新鮮です。ひろしさんのサッカーをずっと観たかくて、ようやく二年目にして叶います。

近年は選手時代に見覚えがあるかたが率いるチームを観る機会が増えてきました。みなさん個性的なスターですから、どうしても現役時代のサッカー感を重ねてしまいます。なかでもひろしさんは、磐田全盛期の主役を演じたかたですから、ポスト常勝磐田を幻想せざるを得ません。

でも、あの頃の磐田は、あの編成があって作り上げられた奇跡でしょう。いまの詳しいチーム事情はわからないけど、あの頃の編成を再現するのは難しいのはなんとなく分かります。それに、サッカー感はその時の編成のなかでかたち作られるものですから、そもそもあの頃の磐田の再現を期待するほうがナンセンスなのかもしれませんね。

ただ自分のなかで常勝磐田の先入観を消すのにちょっと時間がかかりました。それほどインパクトが強いチームでしたから、分かっていてもどうしても観る時の基準にしてしまいます。なので過去対戦した時は、色眼鏡で磐田を観ていたと思います。ひろしさんは今日、そんな先入観を吹き飛ばしてくれました。かつての磐田の亡霊はその中心にいたひろしさんにしか消せなかったかもしれません。

ひろし磐田はとてもオーソドックスなサッカーです。つまりひろしさんは、ひろしさんの型にチームをはめるのではなく、ストロングポイントを見極めた選手主体のチームを作るアプローチをとっているようです。安定感のある守備を基盤にしたサイド基調の闘いかたです。

このように抽象化して表現すると、ん?と感じると思います。そう、ヒロシ東京とまったく同じコンセプトです。シフトの違いは中盤の守りかたに差異を生みますけど、ようするに中盤の守備網を整えることでトランジションを狙うことに変わりはありません。攻撃もWGを基点にSBを絡めてクロスを中央に供給するのが基本プランです。

これは互いに似たようなストロングポイントを持つためだと思います。そして、ストロングポイントの力量に差異が無い場合は、がっぷり四つに組んだままバランシングしてしまい、えてして試合が膠着します。結果的には今日はそんな流れになってしまいました。

サッカーはミスのスポーツといいます。つづめ過ぎて慣れてないかたには何のことか分からないサッカー専門用語の一つですね。サッカーはゴールを狙うゲームですけど、そのアプローチは守備側がミスすることを前提にしています。つまり相手がミスし易いところを攻めるのが攻撃の基本です。ミスというのはプレー標準と比較したものであって、実際に選手がミスすることを意味しているわけではありません。

今日のヒロシ東京とひろし磐田は、互いに守備でミスがありません。磐田のトランジションポイントはサイドです。ジェイのチェックで守備エリアを絞り込み、東京をサイドに誘い込みます。WGあるいはSBにボールが入ると、サイドの選手とボランチでトライアングルを作ります。もちろんインターセプトを狙っていると思いますけど、同時に東京の縦のチャレンジを予防する措置でもあります。

もちろんヒロシもこのことは承知の上です。東京は磐田のウィークポイントを狙うのではなく、その守備の仕組みを上回るサイドアタックをするという考え方です。つまりはガチ勝負で臨みます。右は宏太のダイアゴナルランと拳人の攻め上がりのダブルアタック、左は慶悟を基点にした徳永の攻撃参加を仕掛け続けます。左右ともに何度か決定機を作っていたので、アプローチとしては一定のクオリティを見せていたと思います。とくに徳永が左に入って左が活性化しています。右で仕掛けて左で仕留める東京伝統のかたちが整いつつあります。

なのでサイドでは東京のアプローチが磐田の守備を勝ったと言っていいと思います。でも最終的にゴールを割れなかったのは、磐田の中央の堅さゆえです。総合的には磐田の守備が勝ったということでしょう。とくに森下の遼一に対する熱いタイトな守備が目立ちました。かつての僚友に対し、クリーンなガチファイトの真剣勝負で臨むことが、遼一の長年の貢献に対する想いの表現だったのでしょう。磐田は森下が寄せ健太郎がカバーするバランスがとても安定していました。

磐田もサイドアタック基調ですけど、東京とはテイストが異なります。磐田はアダイウトンの突破力を全面に押し出します。磐田の二列目の三人は頻繁にポジションを入れ替えます。これはアダイウトンのアタックルートを探すためだと思います。アダイウトンは意図的に3CHの間を狙います。もちろんアダイウトン自身の突破に主眼を置いていますけど、秀人を引きつけて中央と逆サイドに数的優位を作る意図も含んでいると思います。前半はアダイウトンにパワーとキレがあり、東京は何度か中盤を突破されていました。

ただ、少しアダイウトンに偏重し過ぎていたような気もします。結果的にアダイウトン推しのアタックはシュートにつながらなかったので、機能しきれなかったと言ってもいいと思います。かえって祐希と吉彰にバランスをとることを強いることになり、頻繁にポジションチェンジする割には、左右の重層的な攻撃には及ばなかった印象があります。これは、アダイウトンと祐希と吉彰の入れ替わりに対し、3CHのゾーンディフェンスがしっかり機能していたことが守備側から見た要因です。とくに秀人が中央のエリアを完璧にクローズしましたから、磐田の中央突破のみならず、パスルートの遮断も果たしていました。個人的には、秀人がクラッシャーになってきているのが嬉しいです。味方には心強く相手には憎たらしい中盤の砦として、何か秀人にふさわしいニックネームをつけてあげたいくらいです。

前後しますけど、東京と磐田が共にサイドアタック基調になったのは試合の流れのなかでの結果で、当初のプランはそうではなかったと思います。序盤はポストプレーの仕掛け合いになりましたけど、共に守備側が機能させませんでした。前述の通り遼一は森下がタイトマークで自由を奪います。ジェイもまるがサイズのギャップを埋めるタイトマークでポストを許しません。互いにサイドアタックで見せ場を作りましたけど、中央の一次基点を高い位置でとることができていたら、試合のイニシアチブはどちらかに流れていたかもしれません。

守備の安定はチーム全体がコレクティブになることも重要な要素ですけど、やっぱりノリを作るのは個人のがんばりなのかもしれないなと実感する試合になりました。たまには守備の選手にスポットライトがあって欲しいなと思います。今日は、秀人、まる、森下が輝いてました。前半はスコアレスのまま終了。

後半が始まっても流れは変わりません。磐田のほうが幾分、アダイウトンの独力ドリブルが見られなくなって、コレクティブに攻めるようになります。康裕が軸になって左右にパスを散らします。日曜日のトレーニングマッチも観ましたけど、康裕と同じ役割を康太が担っていたので、ひろし磐田の本来のサッカーは後半のかたちにこそあるのかもしれません。SBが高く位置取りアタッキングサードでの仕事に絡みます。それに対しても拳人と徳永が1on1で粘り強く対応して決定機を作らせません。

後半開始早々、磐田にアクシデントが起きます。小川がコンタクトで負傷退場します。代わりに櫻内が入ります。小川と櫻内はレギュラーを競う間なので、アクシデントとは言えチームのクオリティに大きな影響はありませんでした。

粘り合いのしびれる展開だなと思いました。作戦も粘りが求められますから、先に動くと不利かなと思ってました。その意味では小川の負傷で動くことを強いられたひろしさんに対し、ヒロシは作戦面でイニシアチブを持ったかもしれません。チームのバランスは悪くなかったので、ひろしさんがもう一枚カードを使うまで待つかなと思っていたのですけど、さっそくヒロシが動きます。宏太に代えて広貴を同じく右WGに投入します。右サイドでボールを持った仕掛けを増やす意図だと思います。それから広貴は最近FKの威力が上がっきて戦力になっているので、その面での期待もあったと思います。

それでもイニシアチブは傾いてこないので、更にヒロシが動きます。これでカードのアドヴァンテージはひろしさんの手に移ります。オプションを比較すると、どちらかというとひろしさんよりヒロシのほうが選択肢が多いので、ヒロシのほうが先攻するのも道理かもしれません。草民に代えて梶山を同じく左IHに投入します。

これで、ひろしさん好みの秀人と梶山がヒロシ東京の中盤に揃います。なんとなくヒロシがひろしさんに「羨ましいだろう?」って言ってるような気がして、ちょっとニヤニヤしました。事実のほどはさておき、ヒロシ東京は梶山に特化した攻撃になります。梶山は中盤左サイドに動きを限らせます。これは、ひろし磐田のコンダクターである康裕の対面に東京もコンダクターを置くことで、攻守両面で磐田のキーポイントを抑え込む意図もあったと思います。梶山が中盤の高目の位置にいたのはそのためでしょう。

それを気にしてか、ひろしさんが動きます。康裕に代えて川辺を同じくボランチに投入します。江戸のうなぎより遠州の若うなぎのほうが活きがいいってとこを見せたかったのかもしれません。あえて攻撃の起点を変えることで、リズムを変える意図だろうと思います。

ここで、ヒロシが勝負に出ます。慶悟に代えておひさしぶりのムリキを同じく左WGに投入します。左に梶山とムリキが揃い、左偏重の布陣が出来上がります。ハードドリブラーをスターターとして使ったひろしさんと、切り札として取っておいたヒロシ。アダイウトンが主軸になっていた時間帯で先制していればひろしさんの作戦に軍配が上がりますけど、この勝負はヒロシのほうが一歩先に行ったかもしれません。

そして、ヒロシのムリキ作戦をきっかけに、ようやくこの試合がオープンになります。東京が縦を強引に狙うムリキにボールを集めることで縦運動が活発になります。磐田もこれに連動し、長いボールをサイドに送るようになり、攻守の切り替えがはやくなってきます。地味な守り合いの様相が一変、ようやく試合が活性化してきます。

このノリに乗っかる選択をしたのか、ひろしさんが大胆に動きます。森下に代えて松浦を右WGに投入します。右サイドに活きのいいドリブラーを入れることで、シンプルに縦への推進力をもたらそうとしたのでしょう。太亮がCB、宮崎が左SB、祐希がボランチにそれぞれ回ります。磐田は怪我人も多く、必ずしも潤沢な編成とは言えません。マルチロールな選手がいることは、ひろしさんの作戦の幅を広げてくれるでしょうし、意図してひろしさんがポリバレントなチームを作っているのだと思います。

ムリキはまだコンディションが上がってこないですね。アダイウトンと比較しても、強引な突破が通用していません。1ゴールで変わるかもしれないので、どんなかたちでもいいからはやくゴールが観たいものです。最終盤は互いに攻め合いましたけど、結局最後までヒロシ東京もひろし磐田も守備の安定が崩れませんでした。このまま試合終了。磐田0-0東京。

遼一はシュートを打ててましたし、何度かビッグチャンスがあったので、決めたかったでしょう。責任感がとても強い選手ですから、磐田への想いもあると思いますので、プロとしてゴールというかたちで応援してきてくれたファンの気持ちに報いたかったと思います。また次の機会に持ち越しです。

どうやら2016のヒロシ東京のベースはできてきたと思うので、方向性は見えたと思います。今日は梶山を使って、先月からの交代パターンとはひと味違うところを見せてくれました。1stステージは実質、後半に向かってのチーム作りに使えます。今日のように、ちょっとずつでいいので、チェンジ・オブ・ペースのチャレンジを続けてほしいと思います。


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