東京観戦を育休していたよっちさんが味スタに戻ってきました。
おかえりなさい!
5ヶ月ぶりのバックスタンド観戦。よっちさんと観るとやっぱ楽しいっす。サッカーがより深く見られるようになる。だけどとてもおかえりなさいムードではない、厳しい試合になってしまいました。今シーズン最多35,911人のなかには多くの初観戦者がいたと思うのですけど、ちょっと玄人好みな試合になってしまったかな。東京ダービー。ヴェルディだけには、負けられない!
ヴェルディはコンセプトが明解でした。前線からアグレッシブにプレッシャーをかけてきます。圧力をかけるポイントは二つ。最初のポイントは秀人か梶山、どっちかがセンターでボールを持った時。攻撃の起点から崩そうという意図。ボール奪取というより、東京のリズムを壊そうとしていたんだと思います。次がルーカス。ポストプレーを自由にさせません。深い位置でポストができれば、東京は重心をぐっと押し上げられますから。この作戦を有効にするために、巻と阿部がCBを追いかけます。
攻撃のほうは、菊岡と中谷を基点にして、両SBを絡めてサイドから攻めるイメージだと思いました。でも、こっちのほうはほとんど機能していなかったです。攻撃陣が孤立してしまって、シュートも散発。ただ、前半から脅威に思ったのはセットプレー。菊岡はこのためにいると言ってもいいくらい。右足から繰り出すFKの弾道は、ものすごく危険な香りを漂わせていました。とくにGKの手先を狙うFKは、スピードといいコースといい、完璧でした。誰かが触ればゴールは間違いなかったと思います。
ヴェルディの圧力をかわしはじめた東京がリズムをつかみます。草民のスキルフルなドリブルを突破口にして、羽生が絡み、チャンスを演出します。羽生はいつにも増してアグレッシブでした。繋ぎ役というより、フィニッシュに絡むことを意識したプレーが多かったような気がします。東京は梶山も積極的に攻撃に加わり、ここぞと人数をかけ波状攻撃をかけます。そんな前半のアディショナルタイム、草民のアーリークロスを頭であわせたルーカスが先制のゴール。前半は東京のリードで折り返し。
川勝監督は、菊岡を前半で下げ、後半頭から河野を投入します。阿部のスピードとポジショニング、高橋祥平の攻撃参加、巻の存在感など、個別には目をひくところもあったけど、ヴェルディの攻撃は菊岡がいないと脅威にならないと思っていただけに、意外な判断でした。でも、これが功を奏する。河野は東京のボランチとSBとCBの間、バイタルエリアのバミューダ海域とでもいうポイントにポジショニングします。そこでボールをうけ、ぬるぬると東京の守備が手薄なところに進出してきます。さらに中谷に変えてマラニョンを投入することで、いっそういやらしさが増しました。マラニョンも河野と同じタスクですが、ボールを持つと縦横にゆるゆると動きます。これで東京の守備がバランスを崩してしまった。
後半64分、河野が蹴ったCKから土屋が頭で撃ったシュートがOGとなり、同点。後半はどちらかというとヴェルディに主導権をとられていました。そのまま両チームとも加点することなく、ドロー。ヴェルディホームのダービーも0-0のドローだったので、決着は次回に持ち越しとなりました。いつになるかわからないけど。
今日は、東京に問題があったというよりヴェルディが良かったと思います。前半は前線からアグレッシブに守り東京にリズムを作らせず、最小失点で折り返し。後半から河野、マラニョンを投入しパワーアップ。攻め疲れをみせる東京のコンディションを計算したのか、後半はポゼッションでもヴェルディが上回っていたんじゃないかと思います。そういう意味で、とても興味深い結果だと思います。J2の他のチームは、考え方の違いこそあれ、基本的に東京の攻撃を防ごうという考え方だったと思います(京都と岡山を除く)。いっぽうのヴェルディは、攻撃で上回ろうとしてました。シュート数が15-5と数字上は東京が圧倒してるんだけど、見た目の印象と点数は少なくともイーブンの結果を得たわけです。
ここ数戦の東京の問題は、攻撃の重心が低いことだと思います。初秋の好調時は、ルーカスのポストが相手最終ラインでしっかり収まっていました。だから、全体を押し上げることができました。それから、草民や谷澤がドリブルで押し上げるというオプションもあった。これにより、敵陣深くに入り込め、SBやボランチがフィニッシュに絡めていました。ところが最近はルーカスが自由にポストできなくなり、ちょっと下がって受けるようになります。それはそれでいいのだけど、変わりにトップの位置に入るのが羽生になってしまう。羽生は中途半端なセカンドトップとしては面白いけど、ワントップとしてはシュートに威力がないので苦しい。結果として、東京が放つシュートは遠目になってしまうような気がします。今日は一度だけ梶山が中央を崩すチャレンジを見せてくれましたけど、もっとそんなシーンを増やせるようにならないといけない。
変えるべきポイントは、羽生と谷澤の扱いなんだと思います。いまの東京のレベルまでサッカーが成熟したら、リンクマンは二人いらない。セザーか石川を使うべき。ルーカスをトップに使うなら、ルーカスと前後にポジションを入れ替え、シュートを撃てる選手をトップ下に置くべき。現時点なら草民。草民の位置に石川。あるいは、ルーカスをコントローラーとして一列下げ、トップにはセザーを置く。セザーのコンディションは、ゴールが決まれば上がってくると思うのです。復帰してから1ヶ月以上たちますし、フィジカルの問題ではないような気がします。つまり、セザーをあたまから使っていっぱいプレーさせてあげる。
もうひとつはサイドバックですが、ここは椋原でいくべきだと思います。椋原はゴール前で仕事ができることがわかりましたから、このストロングポイントを活かさない手はない。いまは攻撃の重心が低いですから、椋原がゴール前に進出することは難しい。まずは前線の再整備だと思います。
今日は、これまでの流れを変えないというクマさんのチョイスだったと思います。それでやっぱり好転しなかった。各自のコンディションは悪くないですから、やり方の問題です。残り5試合というところでセットを変えることはとても勇気が必要なことだと思います。だからマイナーチェンジでいいと思う。ルーカスが下がってプレーして機能しているなら、そのままゲームメイカーにして、フィニッシャーを新しく入れる。これなら流れに沿った変更だから、選手も違和感ないと思います。
これ書いてる時点は鳥栖の試合が始まる前ですから、今節後の勝ち点差はわかりませんが、相手を意識するより、泥臭く勝ち点を拾うことに集中してほしいと思います。ひょっとすると、いまの落ち込んでるバイオリズムはもう今シーズンは戻らないかもしれないけど、転がってでもいいから昇格レースのテープを切りたいものです。
もうちょっとだ。たたかえオレの東京!