ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2014J1リーグ第10節FC東京vs名古屋グランパス@国立霞ヶ丘20140429

2014-04-29 22:52:25 | サッカー

ゴールデンウィーク前半最終日です。藤が咲き始めました。

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菖蒲の一種、シャガ。

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今日の主役は、国立霞ヶ丘競技場。東京オリンピックに向けた建て替えのため、まもなく解体工事が始まります。東京の国立開催は今日が最後。想い出はあり過ぎるので、また別の機会に。

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聖火点火

サウダージ感漂うメモリアルマッチの対戦相手は、絶不調名古屋です。

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今日のYou'll Never Walk Alone♪

前節のマリノス戦の裏返しのような試合になりました。連勝のポジティブモードからいっぺんに停滞感が漂ってきました。

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東京は今シーズン初めて2戦続けて同じ布陣で臨みます。結果的にはこれがアダとなります。シフトはお馴染み4-3-1-2。GKは権田。CBはモリゲとカズ。SBは徳永と宏介。3CHは秀人をアンカーに置き、右にヨネ左にたま。トップ下は慶悟。2トップは相太と千真。

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名古屋は4-2-3-1。GKは楢崎。CBは闘莉王の相棒は強化指定の大武。大武も怪我明け。SBは右に刀根の怪我でスクランブル登板の貴章、左に本多。ボランチは田口と直志。WGは右に枝村左に佳純。トップ下に玉田。1トップはケネディの怪我のため、永井です。

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名古屋は怪我人が続出で苦しんでいます。大エースケネディが不在。玉田と大武はなんとか今日の試合は間に合いました。勇退したピクシーに代わり、今年から西野さんが指揮を取ります。西野さんを擁護するわけではありませんけど、とても難しい初年度のタスクだと思います。名古屋の悩みは、リーグ優勝した時の主力が今も主力であり続けている高齢化と硬直化です。一定の結果を残しつつ、世代交代もしなければならないというハードタスクを西野さんは負っています。にもかかわらずの怪我人続出では、直近の試合でやれることは限られるでしょう。

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急造の布陣では今できるサッカーをせざるを得ません。ところがサッカーって面白いもので、そんな環境にあるからこそ優位に立つ可能性があるのです。なぜなら、やるべきことがシンプルでチームのコンセンサスを取り易くなることがあるから。今日の名古屋はまさにそうでした。

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試合は名古屋のバタつきから始まります。最低限できるサッカーをやろうというコンセプトの場合、チーム作戦の中心は個人戦になります。連携など望むべくもないので、各選手がとにかくその選手なりの頑張りをするということです。したがって今日の名古屋の戦い方は、個々の選手の特性の積み重ねということになります。すべてを上げると大変なので、ポイントになる選手だけ。名古屋の大黒柱は4人。玉田、闘莉王、田口、貴章です。名古屋の選択はまず、しっかり守ること。守備に関しては、闘莉王と田口がひっぱりました。闘莉王は最終局面で相太と千真に仕事をさせません。中盤では田口の存在感が光りました。直志とともに、タイトなマークでバイタルエリアを閉めます。とくに田口の守備範囲の広さが際立ちました。

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攻撃に置いては貴章です。組み立ての中心になっていました。貴章のSBはスクランブルでしょうから守備面での不安は覚悟の上だと思いますけど、足元の技術がしっかりしているのでサイドで基点になれます。加えてスピードがありますので、距離が長ければ長いほど有利です。不安があるだろうと思っていた守備面でも、東京がサイドに基点を作ろうとしたとき、フィジカルの強さを活かして攻撃を寸断していました。

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そして玉田です。今日のピッチ上で、玉田のクオリティの高さが一人だけ抜きん出ていました。怪我明けの急拵えでしょうからコンディションはまだ整っていないと思います。なので運動量は望めません。でもポジショニングとボールキープ、つまり頭脳とテクニックはコンディションにそれほど影響されないんでしょう。玉田が作った時間に、ずいぶん名古屋は救われたと思います。その他の選手もラフさは目立ちましたけど、体をはったタイトな守備でそれぞれの役割を果たしていました。

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結果論でそのように言えるんですけど、今日の試合は4つのステップを経てそのような状態に至りました。序盤名古屋は、各自のプレーが文字通りバラバラで、ホントに個人戦になっていました。個々のがんばる気持ちがチームとして空回りしていて、各自が孤立します。東京の中盤はそこを突きます。マリノス戦でも見せた左右のハーフのプレッシングが機能し、中盤でイーブンボールをものにします。完全な東京のリズムで試合が始まります。結果的には、この時間帯で先制したマリノス戦と先制できなかった名古屋戦で、勝敗が真逆になってしまいました。東京はちょっと油断があったかもしれません。連勝中ですし、完封を続けられましたから守備に自信が芽生えていますし、加えて名古屋の状態があまりにも酷いので、いつかは先制できるくらいの気持ちが、ひょっとするとあったかもしれません。この時間帯、いきなりCKが4本続きますけど、決めきれなかったことが悔やまれます。東京はちょっとフワッと試合に入ってしまいました。

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15分を過ぎると、第2ステップに入ります。名古屋が落ち着きます。施した打ち手は一つ。サイドチェンジです。ターンオーバーしたらボールを戻し、中盤に渡ったら逆サイドに振る。とくに左から右へのサイドチェンジが機能し始めます。貴章が目標になります。このことで、名古屋のなかにコンセンサスが芽生えます。貴章が基点になってクロスからシュートに持っていくといく攻撃ルートができます。フィニッシュの形を共有できるようになると、守備にも目的ができます。極論すれば、最初の15分が勝敗の大きな分岐点になったような気がします。相手の混乱期に乗じられなかった東京と、たった一つの形でコンセンサスを取れた名古屋。

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されども名古屋には、まったくゴールの匂いがしません。貴章からクロスは上がりますけど、かなり見え見えのクロスですから対処が用意です。玉田もシュート面ではまだまだキレがなく、ゴール前で得意のドリブルを見せられません。永井はとても窮屈そうでした。1トップは基点ですから、使われて活きるしかない永井には不向きです。永井に関しては、90分通して無力化できました。

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一方の東京も停滞します。守備はすっかり安定しました。コンディション不良があったとは言え、永井、玉田、佳純、枝村の攻撃陣を完封したわけですから。とくにカズの1on1でのがんばりが目立ちました。問題は攻撃です。相太、千真、慶悟のアタック陣は、勝ったとは言えマリノス戦もけして出来がよかったわけではありません。3人のコンビネーションでゴールしたあの前後の時間帯だけ良くて、それ以外は連携がうまく取れていませんでした。原因は3人の距離感とポストプレーの不安定さにあると思います。相手を受けてでも基点になりたい相太と、動き回って自分のリズムでプレーできるスペースを見つけたい千真、フリーランニングからの周囲との連携で組織で攻撃を組み立てたい慶悟。千真と慶悟のコンビネーションは実績がありますけど、そこに相太が加わると、今のところ良い化学反応を起こしていないようです。

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今日のポスト役は千真でした。闘莉王と田口に手を焼き、ポストが安定しません。相太がポスト役をするとどうたっかという意見はあると思いますけど、今日ばかりは、どちらにしろ闘莉王と田口が強かったと思います。

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試合は第3ステップに入ります。ミステルが次のステップへの移行を誘引します。東京は30分くらいにシフトを変えます。中盤を右からたま、ヨネ、秀人、慶悟と並べた4-4-2に変更します。おそらく貴章のサイドアタックをケアする意図だと思います。それに、セレッソ戦で終盤4-4-2にして、秀人を中心にチームが躍動した経験がありますから、停滞した攻撃を活性化する意図もあったと思います。ところがこれも機能しません。トップ下がいなくなりますから、2トップが孤立します。ただでさえ連携ができていない相太と千真ですから、それぞれ孤立します。同時に名古屋のポゼッションが高まり始めます。貴章からのクロス一辺倒だった状態から、玉田、永井、佳純によるゴール前のドリブルが出るようになります。これは、中盤でのイーブンボールの確保で名古屋が上回り始めたことが起因しています。東京は中盤でまったくボールを奪えなくなります。闘莉王がそれを見越し、緩いロブを中盤に送るようになります。名古屋はバラバラだったプレッシングが組織として機能するようになります。

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東京は、いつの間にかジワジワと名古屋の術中にはまり、気づくとイニシアチブを握られていました。名古屋も依然、ゴールの匂いはまったくしないので、両チームとも今日の空模様のようにどんよりまったりした雰囲気のなか、前半はスコアレスで終了。

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後半頭からミステルが動きます。たまに代えてよっちを投入。たまは良くない意味で3CHに馴染んでしまっているように見えます。たまの長所は躍動感溢れる運動量なのですけど、CHに入るとそれを封印しています。今の好調な守備バランスは、ヒデがアンカーに入ったナビスコ鹿島戦やリーグ清水戦がモデルになっています。キーワードは動かないCH。左右のハーフに求めらるタスクも、まずはサイドの基点へのプレッシングです。攻撃に入ったときもリスクマネジメントを優先しますから、自然、たまもバランスを見るようになっている気がします。たまのプレースタイルは、今のCHには合わないと思います。シュートからも遠ざかっていますし、ちょっとたまが迷いに入らないか、心配です。

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よっちを入れても4-4-2のままでした。問題は前線に基点が作れないことと、中盤でボールを奪えないことなので、選手特性を変えただけのこの交代は、あまり有効ではないと思いました。案の定、東京は前半と同じように後半の入りから受けに回ってしまいます。そして名古屋のラッキーブローが決まります。

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後半3分。佳純の右CK。一番後ろにいた貴章がマッチアップする徳永をパワーで押しのけニアに飛び込みます。マンツーマンとゾーンのハイブリッドな東京はニアに秀人がいましたけど、駆け込んだ貴章のほうが勢いがありました。東京0-1名古屋。

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最終的にシュート6本に終わった名古屋ですけど、数字以上にゴールの気配はありませんでした。ただ、この時間帯だけ名古屋にセットプレーが続きました。その一つを確実にものにした名古屋と、序盤の同様のシチュエーションで決められなかった東京。内容の彼我の差は、ローテンションとは言えほとんど無かったけど、勝ち点3とゼロの差は、ワンチャンスの決定力の差と言えます。

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ミステルが大胆に動きます。徳永に代えて陸を投入。これはホントに驚きました。SBは不動だと思っていたのですけど、少しづつ陸が距離を縮めていたんですね。同時にシフトを変えます。秀人を一列下げて3バックにします。慶悟とヨネのボランチ。WBに陸と宏介。前線は3トップで、相太を真ん中に千真とよっちがシャドウです。この作戦がはまります。ドラスティックに攻守のイニシアチブが逆転しました。東京の攻撃が一気に活性化します。まず中盤に人が増えましたので、コンパクトな守備からターンオーバーできるようになります。攻撃ルートも固め、左で作って右で仕留める形が機能します。陸の役割は長友そっくりです。激しい上下動で、攻撃時には組み立てには加わらず一気にゴール前に顔を出し、ゴールを狙います。東京に躍動感が生まれ、名古屋が混乱します。

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ただこの確変は15分くらいしか続きませんでした。理由は名古屋の粘り強い守備です。チームが混乱するなかでも、やはり闘莉王、田口、玉田は落ち着いていました。闘莉王と田口は最終局面でいい形のシュートを打たせません。玉田はボールを持ったときあえてヨネを背負ってキープし、チームを落ち着かせます。この確変期にあった千真の惜しいシュートが決まっていればと思います。

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ミステルが続いて動きます。千真に代えてエドゥーを投入。エドゥーはひょっとしてコンディションが上がっていないのかもしれません。試合中に腰を痛めてから、プレーに粘りとパワーを感じられなくなりました。今は使える時間が限られているのかもしれません。すぐに西野さんが動きます。枝村に代えてダニルソンを投入します。この試合のステージは最終ステージに入ります。ダニルソンは守備のリベロとしての役割だったような気がします。ダニルソンは東京の基点になりそうなポイント、エドゥー、よっち、陸をまとめて面倒見ていました。東京の攻撃の芽をつむように、ダニルソンがフィジカルアタックを見せます。これが東京に傾きかけた流れを寸断しました。

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以降、名古屋は完全に守りに入ります。東京はなす術がもはやありません。この試合に限っては、後出しの西野さんのほうが有利でした。アディショナルタイムに入って、カウンター要員の力、ダニルソンと同じ役割でヘジスを投入。そのまま名古屋が逃げ切りました。東京0-1名古屋。

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スコアレスドローでもおかしくない試合でした。いずれにしろ、澱んだ試合でした。シーズン序盤の「勝てない守れない」という状態を、守備バランスをアジャストすることで乗り切り連勝。その間、攻撃バリエーションの少なさが次の課題として見えていましたけど、こんなにもはやく露呈するとは思いませんでした。やはりプロの世界は厳しいです。今年の東京は、もとよりショートパスを華麗につなぐメソッドを持っていません。ショートカウンターだけが唯一の得点源ですけど、リトリートすることで自ら封印してしまっています。さらに前線の組み合わせ、ようするに選手依存で攻撃のバランスが決まってしまいます。

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とは言え、この期間は試合が立て込んでいて、じっくり攻撃メソッドを作れません。なんとかショートカウンターを出せる形を、短い時間でいいので作れるように攻守の問題点をアジャストして欲しいです。そして、少ないチャンスをものにする決定力を。

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澱んだ試合でしたけど、光ったところはありました。カズの対人防御力に目を奪われました。寿人にやられたデビュー戦を思うと、遠い目をしてしまいます。それに、秀人。秀人が躍動しています。動き過ぎでチームを不安定にしたシーズン序盤の反省があったのか、ヒデが試合に出ている間にしっかり課題に取り組んだんでしょう。もともとフィジカルが強いですから、それを活かした個人守備の安定はもとより、昨年まで頻繁に見せていた攻撃時の迷いもまったく見られませんでした。視野と判断力が伸びているんでしょう。バランスを見るだけじゃなく、積極的な攻撃参加も見せていますから、3CHにおける攻撃のタイミングを掴んだのかもしれません。

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試合が続きます。ゴールデンウィーク後半は埼玉連戦です。次節はライバル浦和です。広島でミシャ的サッカーは体験済みですから、守備面は不安に思う必要はないと思います。攻撃陣の奮起に期待です!

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2014J1リーグ第9節横浜FマリノスvsFC東京@日スタ20140426

2014-04-27 14:51:58 | サッカー

ゴールデンウィークでございます。もうすぐ端午の節句。こども達が元気に育ちますように。お子さんがいらっしゃるお家は、ちまきを用意されましたか?。

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青赤鯉のぼり。東京も鯉のように上っていってほしいですね。

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青赤鯉のぼりを用意してくれた今日の相手は、マリノスです。ありがとうございます。

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今日のYou'll Never Walk Alone♪

早々先制し、残りの時間を完全にオーガナイズする大人の完勝です。まるで強い時のマリノスのよう。若かった東京が、こんな試合をできるようになったんですね。

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東京のシフトはもはやお馴染みと言いましょう。4-3-1-2です。びっくりしたのは布陣です。しばらくはセレッソ戦の布陣で固定すると思っていました。少なくともポポさんならそうするでしょう。普通の監督はそうします。ミステルはそれでも弄ってきます。GKは権田。CBはカズとモリゲ。SBは徳永と宏介。3CH、アンカーに秀人、右にヨネ左は今日はたまです。トップ下は、河野が怪我のためメンバー入りすらしていません。代わりに慶悟が入ります。2トップは相太と今日は千真です。守備がとても安定してきていますので、後ろ8人は不変だと思ってました。たまがトップ下ではなくハーフに入ったという意味は、いろんなことを示唆すると思います。ただ、3CHのバランスを考えると、たまだけちょっと乗り遅れ感を感じていたので、結果を考えると良かったと思います。トップ下の慶悟を選択したのは、恐らく90分通してのプランに基づく作戦だと思います。

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マリノスはご存知樋口さんの4-2-3-1。というよりも、4-2-俊輔-2-1と言ったほうが良いでしょう。GKは榎本。CBは勇蔵と中澤。SBは右に祐三左に下平。ボランチは中町とカンペー。WGは右に俊輔左にまなぶ。トップ下に淳吾。1トップは今日は藤田です。

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マリノスは昨年惜しくもリーグ優勝を逃しました。最終的に天皇杯を制しましたけど、リーグ優勝するなら、現編成では昨年が最後のチャンスだと傍目に見ていました。理由はもちろん大ベテラン勢。なかでも、言わずもがな俊輔です。クラブも中長期的な視点で編成をプランニングしているのでしょう。今冬は移籍市場を一番賑わしていました。とくに淳吾です。素人目に考えてもポスト俊輔を意識していることは明白です。ところが、とても時間がかかる作業だと思います。マリノスはとても特殊な戦い方をするチームです。何ども言うようですけど、言わばチーム俊輔。攻守を俊輔一人がオーガナイズします。昨シーズンの俊輔はほぼフルシーズン戦ったと思います。あまり言われませんけど、年齢を考えると驚異的なコンディション調整力だと思います。同じことは中澤にも言えますね。いまも、俊輔のプレーそのものは昨年とまったく遜色なく、変わらずに俊輔でいてくれています。でも、ホントに今シーズン最後までフル稼働できるのか、来年はどうなのかはわかりません。俊輔がいる間はチーム俊輔のまま戦うでしょう。いまリーグ6連敗中、ACLも日本勢で唯一上位ステージに進出できずとチームの成績が良くないので、尚更俊輔に頼ると思います。通常のオーガナイザーと違い、あまりにも俊輔依存度が高いので、その時間が長ければ長いほど、淳吾の育成時間が削られます。淳吾もけして若いわけではないので、もしかしたらマリノスは大きな決断期に差し掛かっているのかもしれません。

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とは言え、いまのマリノスの問題は極めて明白です。今日を含め、リーグ4試合連続無得点。ゴール欠乏症です。戦い方と後ろの編成がほとんど変わっていないことを考えると、好調だった昨年との違いは火を見るより明らか。1トップのクオリティです。神戸でマルキーニョスが活躍しているので、いっそう顕著。移籍市場を賑わしたマリノスでしたけど、肝心かなめ、俊輔が強く求めたというハイクオリティなアタッカー獲得は成りませんでした。非常に厳しいことを言いますけど、藤田にしろ翔にしろ矢島にしろ、実績があるわけではないので、1トップのゴールに対する依存度が高いマリノスを支えるだけのクオリティが現状ではありません。むしろ端戸を入れたゼロトップ気味のほうがいいように思います。

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チーム俊輔はもはや周知のことなのですけど、ポイントだけ。俊輔はいちおう右WGですけど、中盤を非常に広範囲に動き回ります。一般に司令塔と言えばトップ下か、あるいはレジスタをイメージします。ようするに動かない選手。サッカーを見ない人が持つ俊輔のイメージもそんなもんでしょう。でも、俊輔は動きまくります。ただ、たまや羽生のような躍動感ではありません。ポジショニングのことです。ボールを持たない俊輔の視界を一度見てみたいものです。俊輔は常にマリノスと相手のダイナミックな布陣の動きとそこに生まれる攻撃ルートが見えているんだと思います。俊輔の攻撃パターンは、極端にシンプルに言えば二つ。中央へのショートパスか逆サイドへミドルフィード。優先順位はわかりませんけど、ゴールから逆算してもっとも合理的な攻撃ルートに沿うパスを選択し、それを出し易いポジションに自らを移します。

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チーム俊輔たる所以はここから。俊輔の動きに連動して、中町と淳吾が動きます。俊輔が下がると中町と淳吾は内に絞るようです。SBが上がるスペースを作るためでしょう。同時にスペースメイクをして俊輔のパスコースを作ります。俊輔が左右に流れると、基点になろうという意図です。淳吾と中町は縦に並びます。俊輔、中町、淳吾が中盤に下がる時間の割合を見てみたいものです。俊輔が前線に上がると完全な進撃ラッパですから、中町と淳吾はシュートコースを探しつつスペースメイクをします。これを支えるのがカンペーの役割です。カンペーは基本的にはほとんど攻撃参加しません。俊輔、中町、淳吾が全員上がっているときは、扇の要になりパスを捌きます。いま東京が取り組んでいるアンカーの役割を、もう少しコンサバティブにしたプレーです。マリノスのアタックは、1トップの得点力が最優先です。もうひとつの得点源はセカンドアタッカーのまなぶ。まなぶだけは、俊輔の位置にかかわらずフリーランスを許されているようです。まなぶが左WGにいる意味は、まなぶはドリブラーですから、ゴールからある程度の距離とスペースが必要ということです。まなぶはメッシに形容されますけど、メッシではないです。まなぶは1トップはできません。シャドウです。丸裸の状態でも局面を打開できるわけではなく、ほかのスクリーンプレイヤーが居てこそ脅威を発揮する選手です。その意味でも、1トップの役割はとても重要なのです。

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試合は、いきなりマリノスが押し込むところから始まりましたけど、東京がマリノスのワンアタックを軽く凌ぐと、東京がアグレッシブに守り始めます。東京の狙いは、マリノスの両SBです。まずバイタルエリアを閉じます。3CHが間隔を狭めて並び、中町、淳吾のスペースメイクを許しません。俊輔の中央への選択肢を消すことで、サイドにボールを集めさせます。この段階ではプレスをかけないのですけど、俊輔がSBにパスを出した瞬間、プレッシングスイッチが押されます。担うのはヨネとたま。猛然と祐三と下平にプレッシングをかけます。序盤の狙いはショートカウンターを意図したターンオーバーです。これがよくはまりました。ヨネとたまは祐三、下平を1on1で凌駕します。マリノス封じの作戦は、起点である俊輔を抑えるか、俊輔からのパスを受ける基点を抑えるかで考え方がわかれます。東京の守備はゾーンです。ロジカルに考えると後者になります。前述の通り俊輔は広範囲に動き回りますから捕まえ辛い選手です。ならば、ゾーンの特性を活かして大らかに網を張れば、中盤でいくらムービングされても、その効果を消すことができるのです。もちろん守備の連携が確立されていないと難しいですけど。つまり、それほど東京の守備システムは、完成されつつあるということです。

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マリノスはミッドウィークに、ACLで遠征をこなしてきたばかりですから、コンディションの影響は少なからずあったと思います。時間が経てば経つほどその影響は大きくなりますから、先制パンチの効果は大きいと思います。強力でピンポイントな東京のプレッシングを避けるため、マリノスは試合を落ち着かせようとします。その矢先、東京のカウンターブローが炸裂しました。

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前半7分。マリノス自陣でのパス回し。東京の前線が高い位置でプレッシングしています。右サイド俊輔のバックパスを受けた祐三が、局面を変えるため、ロングフィードを右前方に送ります。落下点に秀人と藤田が競り、藤田が先に当てて戻します。俊輔が頭でつないで中町に渡します。この時中町は、もう一度作り直そうとしたんだと思います。ペースダウンしてチーム全体の攻撃をリビルドしようと考えていた矢先、猛然と千真がアタックしてきます。中町は慌てて千真のプレスをかわそうとします。カンペーがフォローしますけど、逆にこれがアダになりました。中町とカンペーが交錯するところで千真だけ冷静にボールを見てました。つま先で触ります。そこに相太がいました。相太はドリブルで、対峙する中澤とゴールとの距離を測りながらジワジワ前進。相太がボールを持った瞬間から、慶悟がゴールに向かって走り出します。マッチアップするのは勇蔵。祐三と下平が戻っていますけど、実質2on2の状態になります。慶悟のランが秀逸でした。勇蔵の視線を意識していたんだと思います。一度右に寄ると見せて勇蔵の視線が相太に向いた瞬間、左に加重移動するトラップラン。これで勇蔵の視界から一瞬消えたと思います。相太はアタッキングサードに入ったあたりでミドルショット。これは榎本が弾きますけど、先に寄せたのは勇蔵の視界から消えた慶悟でした。シュートも巧みです。榎本が拾おうとする一瞬前に右足ダイレクトボレーで流し込みます。マリノス0-1東京。

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昨年慶悟はゴール欠乏症に苦しみました。たぶん、このゴールを見ると、今更ながら慶悟はカウンタースタイルで活きる選手なのかもしれません。遅攻で確実なシュートスキルを求められる状況では、覚えず緊張してしまうのかもしれません。瞬間のシュートスキルの高さは、今日のゴールが証明してくれました。

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慶悟をトップ下で起用した意図は、ここからの試合展開を想定してのことだったと思います。先制すると東京は少しモードをアジャストします。ポイントはSBへのプレッシングです。ヨネもたまもプレスの圧力を弱めます。プレッシングはリスキーなプレーです。もしかわされたら、一気に危険な状況になります。それにコンディションにも影響します。もともと90分続けられるプレーではありません(続けられる鳥栖は脅威的ですけど)。4バックと3CHがリトリートに入ると、今度は前線に守備での貢献が求められます。今日のセットでは、相太がファーストディフェンスでマリノスの攻撃ルートを方向付けします。慶悟と千真がチェイサーです。二人ともよく走り回りました。河野が入ってもたまが入っても、慶悟であっても、東京のトップ下は守備ですごい運動量を求められます。それをできる能力を持つ選手は限られると思いますけど、東京は、羽生を含めると4人もいます。贅沢なことです。

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昨年のマリノスは、兵藤と中町がバランサーを担っていました。最近も淳吾ではなく兵藤が出ていましたし、ミッドウィークにも出場していますので、ACLで何かアクシデントがあったんでしょうか。カンペーではなく小椋を使ったり、スタートに兵藤を戻したりと樋口さんは工夫をしていますけど、調子が上がりません。中盤を弄っても結果が出ないということは、問題の在り処がいっそう鮮明になります。

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試合中もマリノスは、まなぶのポジショニングで攻撃パターンを微調整し、状況を打開しようとします。今日のまなぶは、サイドで無力でした。コンディションの影響はあると思いますけど、藤田にポストが納まらない状況では、まなぶが活きるスペースが出来ません。まなぶは完全にサイドで孤立します。加えて対峙するのは、なにしろ徳永です。そこでまなぶは中央に移って、藤田と縦関係になります。藤田との距離を近くすることで、シュートチャンスを見出す意図でしょう。でも、東京のそのエリアはもっとタイトです。秀人、カズ、モリゲで作る中央のトライアングルに、藤田とまなぶでは数的にもコンディションでもクオリティでも総和で上回れません。前半はこのまま終了。

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後半頭から樋口さんがダイナミックに動きます。祐三に代えて奈良輪を投入。ポジションは同じです。中町に代えて翔を投入。シフトを4-4-2に移行します。2トップには最近取り組んでいるようです。実は、シフトは最後まで確信が持てませんでした。4-3-3なのかもしれません。前述の通り、マリノスの中盤はダイナミックにポジションチェンジしますから、定位置のカンペーはともかく、俊輔と淳吾のオリジナルポジションは、最後までわかりませんでした。まなぶも常時高めにいるので、3トップにも見えます。ただ、もともとマリノスの中盤はオリジナルポジションがあって無いようなものですから、変な意味じゃなく4-4-2でも4-3-3でもどっちでもいいんでしょう。言い換えると、ようするに2トップで脅威を与えられないようですと、厳しいようですけど正直あまり意味がありません。どちらかと言うと藤田が受け翔が流れる印象でした。アタッカーの補強が急務だと思います。無理なようなら、ホントにゼロトップも有りかもしれませんね。

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もちろん、マリノスのシフトチェンジを最初から無力化したのは、東京の守備の優位性が主因です。SBを左右のハーフが見ますから、藤田、翔、まなぶを揃えると、数的にはイーブンになります。そこに俊輔と淳吾が絡むことで小さな局面の数的優位を作る。そういう意図だと思います。だけど、東京は落ち着いて対処しました。タイトなゾーンを維持します。マリノスが有効なシュートを打つスペースを与えません。

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後半早々、ミステルは一つの決心をします。千真に代えてよっちを投入。攻守に走り回っていましたし、久々のスターターだったのでコンディションを考えた交代だと思います。この時点では。さらに相太に代えてエドゥーを投入します。これはコンディションではなく作戦でしょう。つまり、慶悟を含めて9人で守り、攻撃はエドゥーとよっちの二人でやりきるという意図です。ただ、少し意識が合っていなかったところがあったような気がします。よっちがタメを作って後方の攻め上がりを待つシーンが何度かありました。マリノスは攻守の切り替えが速いチームですから、カウンターなら縦のスピードを上げるほうが効果的です。その意味では、よっちのプレー選択はちょっと中途半端でした。エドゥーに基点を任せ、ダブルチームを誘っておいてよっちがその裏を狙うパターンを徹底すべきでした。というわけで、東京の攻撃は以降沈黙します。守備は大いに成功なのですけど、攻撃は課題が残りました。状況に応じたカウンターのバリエーションを増やす必要がありますね。

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早々守りきる状況になります。樋口さんの次の手は、まなぶでした。優平に代えます。ゴールゲッターを一枚減らし、中盤の組み立て役を増やします。ただ、2トップにした時点で攻撃的な打ち手は無くなりました。サイドアタックも、奈良輪を入れた意図はよくわかりませんけど、クロス精度は祐三より落ちます。

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ミステルは、たまに代えて羽生を投入します。羽生は走り回りプレスしまくります。マリノスの右サイドの基点を無力化します。後半は、いや前半7分以降、スタッツではマリノスが圧倒しますけど、内容は完全な東京がオーガナイズした試合でした。マリノスに可能性のあるシュートすら打たせないまま、試合終了。マリノス0-1東京。

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慶悟のシュワ~

城福さん、ポポさんの頃は、リードを保ちきれない歯がゆさを、若さ故あるいはリーダーシップの欠如という理由で片付けられていたような気がしますけど、もしかするとそうではないのかもしれません。問題はロジックにあったのかもしれないと、ミステルの戦い方を見ていると思います。それはそれで、守備的という批判が出てくるのが、サポーター感情の面白いところですけど(^^ゞ。

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ともに育成を志向しているクラブ同士の対決でしたけど、勝つことの意味はとてもとても大きいです。育成はチャレンジ、言い換えると五里霧中のなかでも、勝つことで自分たちがやっていることが間違っていないという自信を選手が持つことができます。マリノスはポスト俊輔というとても難しいテーマを現場は負わされています。マイナーなアジャストで課題をクリアしようとしていますけど、もしかするとドラスティックな思考の転換が必要なのかもしれません。

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勝った東京にも大切なことがあります。今日のサッカーがミステル東京の完成形、あるいは目指しているサッカーではないということです。まずは勝つこと。選手に自信を与え、サポーターにまた見に来てもらうこと。それが今は大事です。案外そのような取り組みは、J1に上がった初年度はともかく、近年は無かったことです。理想を追い過ぎていました。ミステルが描く東京の未来像は、初戦にこそその姿の一端があると思っていますけど、一度チラ見せしておいて、結果が出なければ思考を大きく変え勝負に徹するミステルのリアリストな一面を感じられ、なんだか安心感を感じはじめています。

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いまチームのなかは、活性化していてとても良い状態なんだそうです。良い意味での競争があるようです。今日千真とたまをスタートで使ったことで、ミステルの徹底ぶりを垣間見れました。プレーはリアリスティックですけど、選手の選択はプログレッシブで、徹底して固定化しない。チーム全体に生命感を持たせることを第一義にする監督なんでしょうね。

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まだ始まったばかりですけど、今年は最後まで、ピチピチして活きのいい東京を観られそうです。江戸っ子は活きと粋が信条ですから、ミステル東京は、江戸っ子らしくて良いじゃないですか。

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2014J1リーグ第8節FC東京vsセレッソ大阪@味スタ20140419

2014-04-20 13:45:19 | サッカー

4月も終盤にかかりますと、ゴールデンウィークの候となり、ソワソワしてきます。まだまだ桜のシーズンは続きます。この時期の主役は、八重桜。

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桜のシーズンに迎えるは、桜色。セレッソ大阪です。今シーズンの話題の中心で、行く先々でセレッソフィーバーを巻き起こしています。首都圏の大型スタジアム初見参の今日、チケットソールドアウトの40,761人がセレッソ戦を楽しみ集まりました。ポポ東京が成し得なかった満員の味スタを、ポポセレッソが運んで来てくれましたw。

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多くお集まりいただいた一般のお客さんの興味は、もちろんフォルランと曜一郎だと思うのですけど、青赤サポに限っては、優先順位がかなり違います。ボクらが注目するのは、アーリアの味スタ帰還、ポポサッカーとの対峙。セレ女vsドロン女ですw。

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今週、秀人の結婚が発表されました。おめでとうございます。末永くお幸せに。

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カク・ヒジュ新加入です。ようこそ東京へ。

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今日のYou'll Never Walk Alone♪

快勝しました。それもただの快勝ではありません。ホントに、心の底からスッキリする、たまらない勝利でした!

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東京は、どうやら布陣の方向性が定まってきたようです。シフトは今日も4-2-3-1。GKは権田。CBは加賀の怪我で、モリゲの相棒はカズ。SBは徳永と宏介。3CHはアンカーに秀人を置いて、右にヨネ左に慶悟。トップ下に河野。2トップは相太とエドゥー。リーグ戦は、アクシデントが無い限り、しばらくこの布陣が軸になりそうな気がします。ミステルのことだから、まだまだ試すとは思いますけど。

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セレッソはポポさん自慢の4-2-3-1です。布陣は大阪ダービーと同じ。GKはキム・ジンヒョン。CBは代表候補の山下とゴイコ・カチャル。SBは右に酒本左に丸橋。ボランチは螢とアーリア。WGは右に健勇左に南野。トップ下にフォルラン。1トップは曜一郎です。

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ミステルは今日、後半勝負も視野にしたプランを立てていたかもしれません。一方ポポさんは、先行逃げ切りを選ばざるを得ない状況です。

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先にセレッソの状況を確認すると、セレッソのストロングポイントは、なんと言っても豪華な攻撃のタレント陣です。ところがそれに比して、あまりにもオプションが貧弱です。これまでセレッソは、リーグ戦8試合の3勝2分の内、逆転もしくは先制されて追い付いた試合が一度もありません。加えて得点者はすべてスターターです。スターターはほぼ固定。せいぜい扇原と健勇の出し入れがある程度です。おまけにポポさんは、必要に迫られないとカウンターサッカーをやろうとしません。つまりセレッソは、先制され停滞してしまうと打開策がありません。

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ミステルは、セレッソの特長を看破し、試合を長期戦に持ち込もうとしたのかもしれません。今日の東京の守備はアグレッシブでした。広島でのリトリートを見て、これからどうするのかと興味深かったのですけど、やっぱり広島スペシャルだったみたいですね。セレッソの攻撃起点を目掛け、前線がプレスをかけます。これは、高い位置でターンオーバーしてからのカウンターを意図した守備です。今日のもう一つの対決は、ポポセレッソの偏ったポゼッションサッカーに対して、ミステル東京の伝家の宝刀、ていうかそれしかないカウンターという構図です。ただ、前半はある程度ボールを持たれるだろうことは想定していたんじゃないかと思います。カウンターが機能しません。前線では、相太が基点を担っていました。相太にポストが入るのですけど、その次のパスがつながりません。相太の落としを受けた河野、慶悟、ヨネがチームを前に持ってくるプレーができません。これはセレッソの守備に起因します。セレッソの中盤も厳しくプレッシングします。ボクらにとっては、ポポさんの守備はお馴染みですね。ようするにアレです。前半は、両チームの中盤でのタイトな、攻撃を意図した守り合い、鍔競り合いが続きます。そんななかミステルが地味に仕掛けていたのは、セレッソの弱点に対する肉体的精神的なプレッシャーだったんじゃないかと思います。

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狙いは、カチャルとセレッソの右サイドです。相太のポストが決まると、エドゥーは裏を狙おうとします。このとき標的にしたのがカチャルです。もちろんカチャルの側も、エドゥーを抑えるというミッションがあったと思います。最初はエドゥーがカチャルに封じられているように見えたのですけど、次第にエドゥーが敢えてカチャルとコンタクトしているんじゃないかと思えてきました。それほど真正面からパワーでカチャルにアタックしていました。ボールが出ようと出まいと、エドゥーとカチャルのガチンコ勝負はヒートアップします。ともにブンデスリーガで対峙した間柄ですから、エドゥーはカチャルの攻めツボを心得ていたのかもしれません。同じことがカチャルにも言えるのですけど、数字に現れない勝利をエドゥーがジワジワ得ていました。後半、カチャルに集中力と瞬発力が無くなってきます。

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もう一つのミステルの狙いは、セレッソの右サイドです。健勇と酒本。セレッソのストロングポイントが左サイド、南野と丸橋であることは明快です。このサイドは、最終局面で徳永が頑張ることで抑え込みます。時折丸橋が上がった後方をエドゥー、徳永が狙いますけど、狙いの本筋は酒本サイドにあったと思います。まず健勇を抑えます。健勇に対して宏介と慶悟が前を向かせない守備をします。ボールを持たせますけど、基点にはさせないということです。ポポサッカーはサイドに基点を作ることを基調にします。そして、基本は遅攻志向ですから、基点の性質はポストです。つまりタメ。基点自ら動いて局面を打開することはまずありません。基点に対しプレスをかけると、簡単にバックパスします。宏介も慶悟も、ある意味ポポサッカーの体現者でしたから、鏡を見るように健勇のプレー選択を看破していたんじゃないかと思います。案の定、プレッシングを受ける健勇は攻めに出られず、基点として脅威になりません。続いて酒本。酒本はフリーで持つといやらしいクロスを上げてきます。今日も2度ほどいいクロスがありました。フリーにしなければまったく機能しないことも明白です。慶悟が酒本のコースを切りあるいはプレスをかけ、酒本を自由にしません。さらに、酒本は守備にも不安があります。酒本の攻撃力を削ぐことに成功すると、慶悟は次第にターンオーバーを意図したプレスをかけるようになります。前半何度かチャンスメークしますけど、最終局面で山下とカチャルが、それぞれマッチアップする東京の2トップを封じ、河野をアーリアと螢がケアしていたので、ゴールには至らず。

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セレッソの攻撃には、直接ミステルが狙いはしなかったのですけどもう一つリスクを秘めているところがあります。最終ラインの形です。セレッソは攻撃時に両SBがとても高い位置を取ります。CBが開くことでSBを押し上げています。つまり、攻撃時には2バックの形になります。東京でもリーグ初戦からこの形をとっていました。ただ東京では、秀人が下がって3枚並ぶことでリスクヘッジをしていました。セレッソにはそれがありません。バランサーはアーリアです。アーリアのポジションは中盤から前ですから、秀人とはタレントが異なります。アーリアにアンカーを担わせるのは、マルチロールな選手ですから出来ないことはないでしょうけど、やはり無理があります。東京が2トップで、かつCBにガチ勝負を仕掛けてきたので前半は事なきを得ていましたけど、言い換えると、東京が前線の形をアジャストすると、ひょっとしたら脆く崩れる守備陣かもしれないと感じていました。

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それでもやっぱりセレッソは脅威です。曜一郎、フォルラン、南野がいますから、どこからシュートが来るかわからない。でも、攻撃におけるセレッソも、まだまだ連携が機能していないようです。攻撃の軸は完全にフォルランです。この事が連携の難しさを生み、去年あれだけ機能し、魅力を発散していた若々しいセレッソの攻撃に淀みを作っています。大エース曜一郎は、ゴールを見ずフォルランを見てプレーしているように見えます。ゴール前でフリーになっても、フォルランにパスするシーンが何度もありました。実績やプレースキル、お値段、集客を考えるとフォルランを使わざるを得ないし、それだけのクオリティを持った選手なんだと思いますけど、セレッソのセレッソたる所以は、曜一郎を筆頭とする若い生え抜き選手が活き活き伸び伸びプレーすることにあると思います。外野の意見ですけど、セレ女さん達がみたいセレッソは、そんなプレーだと思います。少なくとも今日のフォルランは、枠内シュートはほとんどなく、つなぎ役としても秀人、慶悟、ヨネにコンタクトで封じられ、スペースメイクの動きもあまりなく、攻撃の軸となる価値を感じられませんでした。止める蹴るターンするという基礎技術の高さを垣間見せてくれましたけど、フォルランのプレーで味スタが沸くシーンは皆無でした。フォルランはともかく、曜一郎が窮屈そうにプレーしているのを見るのは寂しいです。曜一郎のエロいプレーを見られないのは、いちサッカーファンとして残念です。

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いっぽう、一人活きがいいのは南野です。南野だけはフォルランと直接絡むタスクではないので、自由にプレーさせて貰えているようです。徳永が懸命に抑えていましたけど、時折南野のドリブルでシュートまで持っていかれるシーンがありました。ただ、南野だけであれば、徳永が抜かれてもカズがいるので大きな心配になりません。曜一郎が復調しない限り、セレッソは低空飛行に入りそうな予感がします。

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前半は互いに中盤の激しい鍔競り合いで終始しました。そんななかでも、フルオープンで戦略性が薄いポポさんに対し、ミステルの地味な仕掛けがジワジワセレッソを追い詰めているような気がしていました。スコアレスのまま前半が終了。

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後半も展開は変わりません。東京のアグレッシブなフォアチェックが少し上回るように感じました。少しずつ、東京が狙いを定めたカチャル、酒本の動きに疲れを見てとれたのか、今日のミステルは機を見て敏な感じでした。判断が遅いポポさんと対峙すると違いがいっそう顕著で面白いです。

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ミステルが先に動きます。エドゥーに代えてよっちを投入。相太と並ばせます。はじめよっちはエドゥーと同じ役をこなそうとします。カチャルと直接対峙して裏を取ろうとします。ただこのマッチアップはミスマッチです。カチャルのパワーに封じられます。ただ、スピードでは勝るとも感じたかもしれません。そこでよっちは、少しポジションを下げます。相太を1トップに置き、河野と並んで2シャドウの形をとります。相太に負担が集中すると思ったのですけど、山下とカチャルが1トップの対処をすぐには整理できなかったようです。2シャドウの動きが活性化します。そして、ついに均衡が破れます。

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後半21分。セレッソ陣に入った辺り、中央で宏介がボールを持ちます。右サイドを攻撃した後のリアタックのため、全体が右に寄っています。ゆえに、左サイドに大きなスペースがあります。本来の宏介の職場です。宏介はルックアップ。健勇がつめてきています。ゴール前にいたよっちが左サイドに下りてきます。これは酒本がチェック。右手前にヨネ。螢がチェックに来ていますけどちょっと距離があります。右に秀人がいますけど曜一郎がついています。右サイドは大外に徳永、丸橋が見ています。トップ下河野はアーリア、前線の相太は山下、慶悟はカチャルがそれぞれ見ています。宏介の選択は左ワイドオープンアタックでした。よっちを基点にする大きなループ。よっちは酒本を背負いながら巧みにキープ。宏介のために時間を作ります。宏介がオーバーしたところでスルー。これを宏介と酒本が追います。この瞬間がこの試合の勝敗を直接的に左右するプレーになりました。酒本がボールごと宏介を刈るスライディングをしますけど、ボールは空振り、宏介はジャンプして軽く超えます。完全フリーでアタッキングサードに侵入。ルックアップします。ゴール前は、山下とカチャルが揃っています。ファアに相太。河野はニアでやや下がり目にいて山下と距離を取ります。螢がコースを切ろうとします。最奥に慶悟がいて丸橋が見てます。アーリアが一枚余り、数的には不利な状況。でも実は、セレッソ守備陣は誰も東京のアタッカーを見ていません。全員ボールを見ていました。宏介はドリブルで奥まで切れ込みます。次の勝負の分岐点は相太とカチャルです。相太は一度ファアに動きカチャルの視界から消え、宏介にアピール。それを見た宏介がGKとDFの間に低空クロス。このタイミングで相太はカチャルの前に出ます。カチャルが気付いたときにはすでに遅し。ゴール前で相太が合わせました。東京1-0セレッソ。

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相太がゴールすると、味スタは平山祭りになります。ひらやまー↑ひらやまー↓ひらやまー↑ひらやまー↓ひらやまー↑↑ひらやまー↑↑ひらやまひらやまー↓♪。ムードは一気にヒートアップ。味スタは青赤の坩堝と化します。

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東京の地味なカチャル、酒本攻略が実を結びました。酒本は軽々と宏介に見切られましたし、カチャルは相太の動きに一瞬付いていけませんでした。ともに集中力と瞬発力が落ちていたのでしょう。

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これで天地が定まりました。完全に東京がイニシアチブを握り、セレッソが後手に回ります。それほど先制の意義は大きかったです。セレッソ最大の弱点が露呈します。スターターはとても豪華なのに、オプションに魅力がないのです。FWに至ってた一人もいない。健勇を置いておけば、まだ可能性を残せておけるのですけど。試合展開を考えると、健勇ではなく扇原をスターターに使うべきでしょう。

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硬直してしまうポポさんに対し、追い打ちをかけるようにミステルがさらに動きます。河野に代えてたまを投入。同時に2度目のシフトチェンジをします。4-4-2です。秀人とヨネのダブルボランチ。右に慶悟左にたまを置きます。ミステルはどうしてもどうしてもどうしても勝ちたかったんでしょうね。開幕戦など4-4-2を試しましたけど、それはバランスを見るためのテストだったと思います。おそらく今日の4-4-2は意味が違います。あえてオリジナルシフトを崩してでも、安定感のあるシフトを選んだんだと思います。ミステルの想いを感じて、この瞬間ちょっと感動しました。奮い立ちました。絶対勝つぞ!。

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ようやくポポさんが動きます。フォルランに代えて扇原を投入。ボランチに入れます。アーリアを左WGに置き、南野がトップ下です。この交代は三つ疑問が残りました。攻撃の主軸であるフォルランを代えて、攻撃メソッドをゼロクリアしてしまったこと。今日最大の脅威となっていた南野のポジションを代え自ら攻撃のバランスを崩したこと。機能していなかった健勇を下げなかったこと。結果論ですけど、代えるべきは健勇だったと思います。もっとも、たとえそうであったとしても、おそらくセレッソの攻撃は活性化できなかったと思います。アップ要素はアーリアのキープ力と意外性だけですから、フォルランが機能しない以上、セレッソの攻撃は空回るだけです。

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東京のシフトチェンジは、もう一つの効果を生みます。秀人のアグレッシブな攻撃参加がはまるようになります。秀人が、縦に長く速いオーバーラップを見せるようになります。秀人はこの試合、プレーのギアを徐々にシフトアップしていきました。試合の入りはとてもコンサバティブでした。セレッソの攻撃陣はポジションチェンジをします。軸となるフォルランの動きに合わせ、曜一郎と健勇が攻撃のバランスを取りポジションを入れ替えます。東京の3CHはこの動きに冷静に対処しました。最終的に危険なポイントになる正面は、秀人がきっちり消していました。フォルランの動きをチーム全体で掴むと、秀人は攻撃参加を始めます。ただ、以前のアタックとは異なり、3CHが1ボランチ状態になることはほとんどありません。秀人が上がるときは、ヨネと慶悟がリスクマネジメントします。この連携が機能し、秀人の攻撃タイミングが先鋭化してくれば、ミステルが本来やりたいダイナミックな3CHの理想像に近づいてくるかもしれまん。第三段階のシフトアップがダブルボランチ移行です。これがセレッソ守備陣の混乱を助長します。そして、試合を決定付ける追加点が生まれます。

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後半32分。東京のカウンター。左サイドのミドルサードセレッソ陣でたまが持ちます。セレッソ守備陣はこのエリア片寄っています。たまに山下と扇原。最終ラインはカチャルと酒本だけ。大外に丸橋がいますけど、関与していません。一方東京も、たまの近くによっちがいるだけです。このときたまのインサイドを秀人が猛然と駆け上がります。カチャルと酒本の間を抜けようとします。たまをオーバーしたところで、たまがスルー。一気にアタッキングサードに侵入します。ボールに追い付いた秀人はカチャルを引きつけます。よっちは秀人とクロスオーバーしながらゴール前に駆け上がります。それを感じた秀人が華麗なヒールでよっちに渡します。カチャルは無力化し、よっちが独走。酒本が体をぶつけにきますがビクともせず、ジンヒョンの位置を見て右隅に流し込みました。東京2-0セレッソ。

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よりによって、あるいはやはり東京の意図なのか、追加点でも狙いを定めたカチャルと酒本のところで優位に立つことができました。攻めるしかないセレッソですけど、攻め手がありません。こうなると勝ち目はほぼゼロ。ようやく健勇に代えてニコルスを投入し左に置きます。アーリアを右に。けど、この交代はほとんど意味無し。アディショナルタイムには、アーリアを下げ楠神を入れますけど、もはや焼け石に水。アーリアはチームのシフトのバランサーというか、ポリバレントとは聞こえがいいけど、良いように使われて最後は交代。一試合見ただけですけど、とても窮屈そうでした。東京では、とくに梶山が抜けた2013年は完全にアーリアが王様でしたから、気を使う役回りに閉じ込められているセレッソでの立場が少し悲しいですね。

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セレッソの一応の攻撃モードチェンジにも冷静に対処しました。このまま試合終了。東京2-0セレッソ。

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秀人のシュワ~ユース三人衆のシュワ~

今シーズンリーグ戦初完封。ホーム連勝初完封。一足お先にミッドウィークのカップ戦で完封しましたので、2連勝連続完封。という結果を、リーグ最高の攻撃タレントを揃えたセレッソからもぎ取ったことに、いっそうの嬉しさがあります。

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さらに、東京が見切ったポポサッカーに引導を渡せたということは、クラブとして判断が間違っていなかったことの証明になりますから、現場のみならず、スタッフも嬉しかったでしょう。もちろんサポも嬉しかったです。

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試合後、アーリアが挨拶に来てくれました。ポポサッカーを慕って移籍しましたけど、やっぱりボクらはアーリアが大好きです。

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今シーズンの関門というか、序盤の重要なターゲットにしていた試合を快勝でクリアしました。中断前まで苦しい試行錯誤が続くと覚悟していたので、思いのほかはやくチームの方向性が定まってきたことにビックリしています。ミステルはやっぱり名将かも?w。

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満員の味スタを作ってくれた初めてJリーグを体感するお客さんも満足したんじゃないでしょうか。最初はフォルランと曜一郎を見に来たけど、帰り際には東京にシンパシーをほのかに感じてくれてるお客さんも少なからずいたんじゃないかと思います。身近なJクラブを応援してくれるようになると嬉しいです。できれば、東京サポになってくれると嬉しいな。

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2014J1リーグ第7節サンフレッチェ広島vsFC東京@EDスタ20140412

2014-04-13 21:50:20 | サッカー

桜が散ると新緑がにわかに鮮やかです。

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今月のアウェイ旅は、広島です。おでんくんことモリゲの故郷ですね。応援する側も気合が入ります。

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試合前に、しばし広島城に登城しましょう。

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試合前にスタンドでぼんやりしてましたら、阿久根社長がわざわざ自分のところまで来てくれました。びっくりしました。東京のチーム状態を教えてくれました。嬉しかったです。

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今日のYou'll Never Walk Alone♪

広島対策がはまって思惑通りに展開しましたけど、セットプレー一発で勝ち点を失いました。

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東京はどうやら方向性の見えてきた感のある4-3-1-2の基本シフトです。布陣は今日もマイナーチェンジします。GKは権田。CBはモリゲが戻り加賀と組みます。SBは徳永と宏介。3CHは、今日は秀人がアンカーで、右にヨネ左にたま。トップ下は河野。2トップ今日は相太とよっちが組みます。シフトは決まりましたけど布陣はまだまだ手探りです。

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広島はベストメンバーです。すっかりおなじみの3-4-2-1。GKは仙台から戻った卓人。CBは右から代表候補の塩谷、同じく代表候補の千葉、水本です。ボランチは代表候補の青山とカズ。WBは右にミキッチ左に甲府から加入の柏。2シャドウは洋次郎と代表候補の石原。1トップは大エース寿人です。

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広島のユニークなプレースタイルに対し、ポポ体制ではシフトを合わせて真っ向勝負を挑みました。結果は2勝3敗(PK負け1)。天皇杯を除くと、なぜかいずれもアウェイ側が勝っています。ミステルがどう戦うのか、とても楽しみでした。もう一つはたまとよっちです。鳥栖戦で左CHに慶悟が入ってバランスが良かったので、よりダイナミックに動くたまが入ってバランスがどう変わるのかに注目してました。よっちはエドゥーの役割を担うわけですから、シューターです。目下エドゥーと1番相性がいいよっちです。連携からのアジリティ溢れるアタックが目を引きますけど、いまだノーゴール。ゴールを期待される役回りをどうこなすかも楽しみの一つでした。

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東京はリトリートします。つまり、形こそ変えませんけど、広島対策を打ってきました。広島が攻撃権を持つと東京は綺麗な4-3-3の3ラインを作ります。ポゼッションの広島とカウンターの東京。相四つのわかりやすい試合になりました。プロ興行としてこういう事も大切だと思います。プロレスまでではなくても、お客さんに対決の構図をわかりやすくすることで、90分を退屈させなくできると思います。負けましたので誤解を恐れず言うと、今日はホントにサッカーを堪能できました。

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序盤、東京の守備陣形は少し堅かったです。堅いというか、机上のゲームプランをリアルにアジャストする時間が必要だったと言ったほうがしっくりきますけど、いきなり広島の攻勢を受けます。もともと広島は先行逃げ切り志向ですから、キックオフ直後が山場でもあります。広島は洋次郎と石原が基点になります。とくに洋次郎。広島の強みはなんと言っても右サイドです。広島はまず右から攻めるのが常套です。塩谷、青山、洋次郎または石原、ミキッチがトライアングルを作り、ミキッチをフリーにして高精度のクロスをゴール前に送ります。序盤はミキッチを送り出すシャドウへのプレスがルーズでした。たぶん守備陣形を意識したためだと思います。危険なクロスがミキッチから送られます。

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この時間帯をモリゲと加賀がよくしのぎました。10分を過ぎて、東京のアジャストが完了します。2シャドウに対しヨネとたまがマークにつけるようになります。洋次郎と石原は頻繁にポジションチェンジをしますから、ゾーンの東京はバランスを崩し易いのですけど、ここにきて誰がCHに入ってもバランスが大きく崩れないようにはなってきたようですね。注目のたまはまずはうまく試合に入りました。

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ただ、依然広島がオーガナイズします。広島は左サイドと真ん中を使い始めます。広島のサイドアタックは基本的に左右同じやり方です。両方にひとりで絡む青山の運動量とポジショニングはすごいと思います。中央を使う場合も、寿人のポストをアクセントに相手のバランスをずらして、最後はやっぱりサイドからのクロスです。それだけWBのクロスに絶対の自信があるということでしょう。とくにミキッチ。いまの広島の原点を作ったミシャ体制以降、広島は毎年のように主力を抜かれますけど、成績をむしろ向上させているのは、広島の背骨になる選手が変わっていないことが起因していると思います。寿人、ミキッチ、青山、カズ。サイド攻撃を旨とする広島にとって、ミキッチの存在と技術、連携の向上こそ、攻撃力を支える原動力だと思います。

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言い変えると、ミキッチを中心にした攻防が、広島と対戦相手に共通するテーマになっていると思います。広島にとっては塩谷です。塩谷の活躍の理由を確認したかったのですけど、ようするにミキッチと理解しました。ミキッチに神経が集中すると、ミキッチのインサイドにスペースができます。そこに入ってくるのが塩谷のタスクです。ゴールが多いのは、広島独特のやり方と塩谷自身のスキルがマッチしているためだと思います。

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東京のゾーンは最後まで崩れませんでした。ミキッチと柏にクロスを上げさせない努力を宏介と徳永が90分続けます。仮にクロスを上げられても、モリゲと加賀が寿人にいい形でシュートを打たせません。2シャドウと塩谷、水本の攻撃参加も3CHがバランス良く対処します。東京のリトリートで、広島はいったん攻めを控えます。攻撃の主導権を東京に渡します。

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25分あたりから広島がリトリートします。東京がボールを持てるようになります。ポゼッション率は回復したけど、広島のコントロール下にあったと思います。東京に攻めさせゾーンのバランスを崩そうという意図でしょう。攻め手がないときの、これも広島の常套手段です。ただ、東京が自重しました。とくに秀人。たまは少しアグレッシブに出ていましたけど、秀人が動かず支えていたのでバランスの崩れはできません。今日は攻撃時に、秀人を下げモリゲと加賀が開く3バックのような形になっていました。ちょっとポポ体制のようでおもしろかったです。広島はもともとフォアチェックをあまりしないチームなので、攻撃の枚数を増やそうとするとこの形を合理的なのかもしれませんね。

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もっとも、今年の東京は攻撃権をもらっても遅攻する術を持っていませんから、こちらも攻め手がありません。広島が攻めていた時間帯は効果的なカウンターが何度かできてましたけど、いざ攻めるとなると手段がない。まだまだ東京は発展途上です。

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互いに意図通りに戦えていて、将棋のような作戦性と緊張感がある好試合になりました。スコアレスのまま、前半終了。

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次の一手はミステルが先に打ちます。後半開始からフォアチェックをしかけます。担うのはよっち。狙いは広島は起点です。おなじみ広島はターンオーバーするとカズがCBの位置に下がり、塩谷と水本が開く4バックになります。起点は千葉とカズ。広島のバックパスを狙ってよっちが走り回ります。これが奏功します。広島のバランスが崩れ、中盤にボールが納まりません。さらにイーブンボールも東京が拾い続けます。東京の波状攻撃になりました。後半開始からの10分が、今日唯一東京がイニシアチブを握った時間でした。この時間帯に先制していたら、結果は真逆になったかもしれません。重要なターニングポイントでした。

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東京は猛攻しますけど、残念ながらゴールできませんでした。今日のスコッドはホントによく広島を抑えましたけど、足らなかったのは決定力でした。厳しいようですけど、プロのアタッカーはゴールしてなんぼですから、今日に限っては期待を叶えられませんでした。ミステルは出場機会を等しく与えてくれますからまだまだチャンスはあると思います。頑張ってほしいです。

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結局広島が慌てず騒がず自分たちのポゼッションをすることで、この約10分間をしのぎ切ります。ここから先は、緊迫した1点勝負。互いに、しっかり守ることをベースに、広島のポゼッションからのクロスと東京のカウンターという持ち味の競り合いに加えて、いやむしろセットプレーが重要になってきました。

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最初にカードを切ったのもミステルでした。たまに代えて羽生を投入。アップは先に慶悟がしていたのでちょっと意外でした。おそらく守備のバランス加重な考えだと思います。とするとコンディション以上の効果はありません。1点勝負ですからポイントはアタッカーだと思っていました。よっちが相当プレスに動いていたので、よっちをどのタイミングで誰に代えることで決定力をアップするか、とても興味深かったです。

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一方広島は誰かは明快で、野津田の投入タイミングを計っていたと思います。先に攻撃の手を打ったのはポイチさんでした。寿人に代えて野津田を投入。石原を一枚上げ、野津田はシャドウに入ります。守備のバランスを変えたくなかったミステルと、守備バランスを気にすることなく安心して攻撃ギアを一枚上げられるポイチさん。ドローが妥当かなと思い始めた頃に、勝利の女神はポイチさんに微笑みかけます。

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後半35分。洋次郎の左CK。東京は相太と秀人だけフリーのマンマークとゾーンのハイブリッドです。広島は野津田だけゴールエリアにいて、千葉、水本、塩谷、石原がペナルティースポットあたりにかたまります。大外にいた千葉がニアに入ってきます。マークは加賀。同時に一番遠くにいた塩谷がニアに飛び込んできます。マークはヨネ。洋次郎はクロスをニアに送ります。広島の作戦なのか偶然なのかわかりませんけど、クロスの落下点に千葉と塩谷が入ります。千葉、塩谷、加賀、ヨネが激突。一瞬全加重を加賀が受けた形になります。結果、千葉が一瞬フリーになって先にクロスに到達し、ヘッドで合わせました。千葉のパワーが勝りました。CKの間常に後手を踏んでいた加賀の完敗です。広島1-0東京。

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先制した広島は、慌ただしくカードを切り試合を安定させようとします。洋次郎に代えて浅野、柏に代えてファン・ソッコを投入。ポジションチェンジはありません。柏はまだまだフィットしてませんね。組み立てまではいいのですけど、クロスの精度を欠きます。広島の左サイドは、服部の移籍後毎年のように選手を試しますけど、定着しません。広島唯一の泣き所です。

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ミステルはドロー止むなしとも考えていたと思いますので、先制されたのは痛かったでしょうね。追うようにアタッカーを投入します。よっちに代えてようやくエドゥー投入。続けてヨネに代えて慶悟投入。交代にヨネを選ばざるを得なかったのは誤算です。結果論ですけど、決定力とセットプレー勝負になった勝負師としての感は、ポイチさんに軍配があがりました。東京が攻め込みますけど及ばず。このまま試合終了。広島1-0東京。

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アウェイでの敗戦は2010年5月以来の4年ぶりです。

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前節では、鳥栖相手に決定力で勝りました。今日もシュート数はイーブンの7本同士。今日が決定力勝負になったこともあって、7本の内容、広島のクオリティが少しだけ上回りました。この差は大きいと思います。同時に新体制で望んだ2012年以降、広島は連覇、かたや東京は体制刷新を余儀なくされました。ただ、潜在能力は広島に追い付き追い越すだけのクオリティを持っていると思います。今日もスタッフを含めた決定力、それただ一つだけが追いつけなかった要因なのですから。

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ここ数年顕著な広島のサスティナブルな強さは、選手のスキルの高さにあります。広島のサッカーは、作戦のユニークさを取り払うととてもシンプルです。ボールを止めて蹴る。パス&ゴー。スペースメイクとスペースランニング。これだけでサッカーを組み立てています。広島の選手はほとんどパスミス、トラップミスをしません。まずこの時点で大きな差があると思います。この点で全員が上手いというレベルを、東京はクラブ総力を上げて目指したいですね。たまにしろよっちにしろヒデにしろ、梶山に続く東京の選手は足元が巧みです。それが、Jリーグ、さらにアジアのなかでストロングポイントに成り得るまで高めたいです。時間がかかると思いますけど、チャレンジしがいのある素晴らしい目標だと思います。加えて広島はそれほど運動量が多くはありません。1試合1シーズンを通じて成績を安定させるためには、コンディションの維持が大切です。効率的に走ることの意図はそんなことだろうと思います。実現できる理由は、個々の選手の戦術眼が高いことです。育成面だけでなく、サッカーをよく知る選手を集めることもチームを強くするために大切なのかもしれません。

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いずれにせよ、高い目標がいてくれることは、チームの成長にとってとてもありがたいことです。味スタではリベンジを果たせるよう、がんばってほしいです。

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2014J1リーグ第6節FC東京vsサガン鳥栖@味スタ20140406

2014-04-07 22:37:11 | サッカー

週のはじめに満開になった東京の桜は、雨と風が散らしてしまう心配をしていました。なんとか綺麗なうちに週末を迎えました。

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4月6日は誕生日でございます。だいたい毎年満開の時期で、ありがたいなぁと思います。

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2年続けてバースディマッチになりました。昨年は大宮に負けて悔しい誕生日でしたけど、今年はいかに。鳥栖でございます。

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夕焼け富士山が見えたそうですね。自分は残念ながら見逃してしまいました。東京メロスっさんからお写真をいただきました。

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今日のYou'll Never Walk Alone♪は、勝手に自分へのプレゼントだと思っています( ´▽`)。

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似たようなサッカーでしたけど、決定力を先に見せた東京が、一歩遅れた鳥栖を押し切りました。

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今日の東京は開幕から走っていた若手を休ませます。GKは権田。CBはモリゲがサスペンションで不在のため、加賀とカズが組みます。SBは不動、徳永と宏介。3CHはアンカーにヒデを置き、右にヨネ左は今日は慶悟。アタッカーは今日も2トップにトップ下を置く組み合わせです。トップ下は河野。レギュラーを奪取ささましたね。2トップは、エドゥーの相棒は今日は相太。今年初スターターです。

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今年の鳥栖は、野田が抜け、理大が入りました。念願の本職SBです。今日は、前節ガンバを粉砕した後半のセットでスタートします。今年の鳥栖は尹さんの代名詞4-2-3-1ではなく、中盤ボックスの4-4-2です。GKは代表候補に名を連ねた彰洋。CBはキム・ミンヒョクとヨ・ソンヘです。SBは右に丹羽左に理大。理大も代表候補です。ボランチは、藤田の相棒は今日は義希。メイヤは右に今日は宏太で、左はキム・ミヌ。本来アタッカーのミヌをSBに置くことが鳥栖の特長のひとつでしたけど、今年はオリジナルポジションに入り攻撃力を活かします。2トップは池田と大エース豊田。

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前節は結果的には勝ちましたけど、前半は清水のアグレッシブな守備に苦しみました。守備のアグレッシブさではJ屈指の威力を持つ鳥栖をどう攻略するのかが、この試合の興味でした。

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ところが試合は、ちょっと意外なことに、東京のアグレッシブな守備を鳥栖が捌くことがテーマになりました。失礼を承知でいいますと、いつの間にか鳥栖は、能動的なチームに進化していました。第5節終了時点で3勝2敗、8得点4失点の実績をあげている好調鳥栖ですから、当然と言えば当然ですね。鳥栖の作戦はロングボールです。東京は河野と左右のCHがアグレッシブにフォアチェックを仕掛けます。鳥栖は中盤を省略することにしました。パスの目標は左右のメイヤです。鳥栖のメイヤはワイドに開き、東京のSBの背後目掛けて突進します。このポジショニングは昨年までと同じですね。ミヌと宏太は頻繁にポジションを入れ替えます。左右どちらでもプレーできるので、相性がいいほうを試合のなかで探れるのかもしれません。攻撃パターンはシンプルで、左右のメイヤからのアーリークロスです。極端に言うと、最終ラインからのフィード1本をきっかけにして、メイヤとFWだけでシュートまで持っていこうという考え方です。もう一つの狙いは、モリゲ不在のCBだったのかもしれません。

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この鳥栖の攻撃は不発に終わります。クロスは上がりますけどフィニッシュには持っていけません。序盤こそ少しバタバタした東京最終ラインは、5分もすると落ち着きます。鳥栖の2トップは左右にそして裏へとよく動きます。パワーがありますからコンタクトも辞しません。加賀もカズも豊田と池田の執拗なアタックによく耐えました。結果的に、失点シーンを除くと、豊田にも池田にも危険なシュートを打たせませんでしたから、守備の安定が今日の勝利の下地を作ったと思います。

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なので、鳥栖が攻め東京が受ける展開になりますけど、イニシアチブは東京が握っていたと思います。

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東京もロングボール大作戦でした。狙いは鳥栖と違い中央です。今日はしっかりと真ん中で構えられるFWを2枚並べましたから、そこを使うのは当然の選択ですね。ポストの1stチョイスは相太だったようです。相太の落としを河野かエドゥーが拾って一気にゴール前に行くというアイデアでしょう。ただ、まだエドゥーと相太の距離感とタイミングが合ってません。逆に2人が近づき過ぎて被るシーンが何度かありました。この辺りが整理されたらパスの巡りがスムーズになると思います。試合を重ねるベきでしょう。

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鳥栖が攻め方をアジャストします。15分くらいからショートパス基調になります。基点はサイドです。両SBがとても高く位置取ります。鳥栖お馴染みのワンタッチパスプレーのビルドアップで攻めようという意図です。でも、これはそもそも東京の守備網にかかりやすいと尹さんが想定していたハズなので機能しません。もうひとつの要因は、鳥栖の攻撃はサイドアタックに偏重しています。豊田のフィニッシュ力、とくにヘディングが、それ故代表候補になっているくらいの水準ですから成り立っていますけど、言い換えると豊田の頭を封じられるとクロスを上げられても怖くはないわけですから、鳥栖の攻撃は有効性を失います。

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ゆえに尹さんはまた、ロングボールを織り交ぜます。最終的なスタッツでは、鳥栖のCKは東京と10本差つきました。いかに鳥栖が東京陣深くに攻めていたかを伺わせるデータですね。東京の2本というのもまた、極端ですけど。

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前半は硬直化します。退屈ではなかったです。むしろ展開が速くて面白い内容でした。東京はいま、カウンターにチームの活路を見出している最中ですから、守備の安定もあり、やや東京がオーガナイズしていたと言えるでしょう。そんな折、アクシデントが置きます。後半42分、自陣ゴール前でミヌの突進を正面から受け止めたヒデが頭から倒れ、一度は復帰しますけど退場。無事であればいいのですけど。代わって秀人がスクランブルインです。緊急事態ですけど、時間がなかったこともあって、何事もなくこのまま前半終了。

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後半も前半と変わらない展開でスタートします。後半からの最注目は秀人でした。”動き過ぎる”秀人は、動くことで相手の標的になっていました。ただ、動くということはミステル、秀人ともに意図があってのことだったと思います。ということは、動かないという意図もまた、可能な選手だと思っていました。秀人が動くことによるリスクがメリットを上回ったというよりは、秀人が動いた際の3CHの複雑なバランスを短期間では構築しきれなかったということでしょう。アンカーが動かないことで、左右のCHが攻守に自由を得ます。こちらのほうがロジックとしては現実性が高いのでしょうね。自分は、3CHがダイナミックに連動して補完しあうサッカーを見てみたいです。試合をオーガナイズできた時は、とてもワクワクすると思います。当面は理想から一段下ったサッカーになるでしょうけど、いずれまた、チャレンジして欲しいと思います。今日の動かない秀人は、とても安定していました。

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鳥栖はとくに手を打ってこなかったように見えました。攻め込めていましたし、豊田を活かせるCKを取れていたので、東京が有効なシュートを打ててないこともあり、どこかで先制する算段があったのかもしれません。ところが、そんな尹さんの想定を覆すゴールが生まれます。

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後半5分。ミヌのバックパスを丹羽がダイレクトヘッドで前線の豊田に送ります。豊田の後ろからカズが飛び、先にヘッド。イーブンボールを藤田が拾って義希にパス。これがホスピタルパスになります。少しズレて義希が受けられないところに河野が詰めて先に拾います。東京のカウンターチャンス。この時鳥栖の最終ラインにギャップがあります。理大が上がっていて左サイドにスペースがあります。プレー局面は東京の左サイドに偏っていて、5on5。前線は相太ひとり。鳥栖はソンへ、ミンヒョク、丹羽が並びます。1.5列目、河野の傍にエドゥー。その後ろにヨネ。左オープンに慶悟がいます。対する鳥栖は義希がファーストディフェンス。パスを出した藤田がいますけど、誰にもつけていません。つまりこの局面は、相太を入れると5on2の数的有利です。河野のパスコースは4つあるわけです。河野のチョイスはエドゥー。エドゥーはワンタッチでヨネに落とします。河野が例によってパス&ゴーで前線に出ようとします。この動きが義希にとってスクリーンのようになり、ヨネへのプレスが少し遅れます。ヨネの正面、最前線に相太。エドゥーはステイ。慶悟はオープンサイドのままです。鳥栖の最終ラインは相太に合わせて中央に絞ります。ヨネはドリブルで義希をかわします。これに藤田がつられます。最終局面が、相太と鳥栖最終ラインの1on3から一気に4on3の数的有利に変わります。ヨネの選択は慶悟です。最終局面をいっそう有利にするため、ドリブルで藤田と丹羽を引きつけ、慶悟をフリーにしてから丁寧にスルー。ミンヒョクがこれを見ます。これでゴール前はヨンへだけ。大外に理大が戻ります。慶悟がクロスを上げる瞬間、河野がミンヒョクとヨンへの間、ニアに飛び込みます。相太はヨンへから離れて理大を背負いファア。慶悟がルックアップしてマイナスのクロス。河野はそのまま駆け抜けスルー。相太はシュートする雰囲気を作って理大を引きつけスルー。やや下がり目に控えて様子を見ていたエドゥーに渡ります。慶悟、河野、相太の様子から見て、エドゥーの状況がわかっていたんだと思います。すばらしいコンビネーションです。エドゥーのシュートは彰洋が弾いてポストに当たります。跳ね返ったところに河野が詰めてました。左足で押し込みました。一連の動きに、ゴラッソを送りたいと思います。東京1-0鳥栖。

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この先制点はとてもとても大きかったです。これが試合を決定付けました。東京がイニシアチブを握っていたとはいえ、あくまでも水面下だったので、数字の上で具体的に優位に立てたことは、東京に大いなる勇気を、鳥栖にとっては焦燥感を与えることになったと思います。河野の2戦連続ゴールは、まさにヒーローにふさわしい仕事でした。

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ちょっと意外でしたけど、尹さんより先にミステルが動きます。エドゥーに代えてよっちを投入します。エドゥーの腰のコンディションはまだ万全ではないのかもしれません。それに加えて前線にアジリティを増すことで鳥栖守備陣に守る意識を持たせようという意図もあるのかもしれません。

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続いて尹さんが動きます。宏太に代えて岡本を投入。ボランチが義希と岡本のコンビになります。藤田を一枚上げて右メイヤに置きます。右のクロスを捨てる代わりに高い位置で基点を作りたかったのかもしれません。東京の守備陣は、豊田と池田の動きに苦しみつつも、次第に慣れてきていたかもしれません。時間を経るに従って、見ていて安心感すら感じました。もしかしたら、前線を縦の関係にするトップ下を入れていたら、東京の対応もまた変わったかもしれません。宏太→藤田は、あまり有効ではありませんでした。

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ミステルは河野に代えてたまを投入します。河野は攻守にわたって走り回っていますから、現状では90分はキツいでしょうね。味スタのスタンドから惜しみないオベージョンがありました。尹さんも呼応して1トップとトップ下の組み合わせに変えようと準備していた矢先、東京をさらに優位にする追加点が生まれます。

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後半31分。宏介の右CK。完全ゾーンの鳥栖に対し、相太とカズをゴールエリアに置き、加賀、よっち、秀人がやや下がり気味から飛び込むパターンです。宏介が合わせたのは秀人でした。カズがゴール前を横断して秀人のスペースを作ります。クロスが上がった時、鳥栖守備陣はボールを見てしまっています。秀人は難なくフリーでヘッド。これがフリックの形になってゴール正面の相太に納まります。相太は6人の鳥栖守備陣の囲まれながら、岡本とタベーラする格好でシュートモーションを作り、反転から突き刺しました。有り得ないw。ゴラッソ。東京2-0鳥栖。

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東京守備陣に安定感を感じはじめていたので、このゴールでほぼ試合は決まったように感じました。直後に尹さんが動きます。池田に代えて金井を投入。同時にシフトを4-2-3-1に変更します。藤田をふたたびボランチに戻します。金井は右WG。義希を一枚上げてトップ下に置きます。これが奏功します。

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後半40分。加賀のクリアからのイーブンボールをよっちと岡本が競り合い、岡本が先に拾います。岡本はミンヒョクにパス。ミンヒョクはさらに丹羽に渡します。丹羽はルックアップして一気に前線にダイレクトフィード。この時東京の最終ラインは5枚並んでいます。豊田は岡本のポストを受けようとやや下がり目にいます。秀人とカズが見ています。金井がゴール前に絞っていて、加賀が見ています。逆サイドがミスマッチになっています。ミヌと義希が前線にいて、徳永がひとり。丹羽のフィードはアバウトに金井を狙いますけど、金井は加賀が交錯して、ボールはゴール前でイーブンになります。徳永とミヌが拾おうとしますけど、2人も交錯して拾えません。結局ボールは義希の前に転がります。義希はワントラップしてコースを作ってシュート。これは権田が防ぎますけど、弾いたボールがゴール前に詰めていた豊田の前にこぼれました。さすがエース、運も持ってます。東京2-1鳥栖。

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点数は違いますけど、昨年のアウェイ鳥栖戦のような雰囲気になりかけました。尹さんは最後のカードで小林を藤田に代えて投入。理大を上げようとしたのかもしれません。でも、東京守備陣は落ち着いて鳥栖の猛攻を凌ぎ切りました。このまま試合終了。東京2-1鳥栖。

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連勝です。待ちに待った、一ヶ月待ったホーム初勝利です。河野と相太のダブルシュワ~

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今シーズンで一番安定感を感じた試合でした。もちろんゴールした河野と相太がヒーローですけど、モリゲ不在のなか頑張り続けた加賀とカズに賞賛を贈りたいと思います。ただ、公式戦10戦連続失点。未だ完封がありません。どうやら3CHと攻撃の形が見えてきましたから、次はぜひ、完封を見たいものです。

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最高のバースディプレゼントを東京からいただきました。ありがとうございます。今年一年、東京と東京サポのみんなが、いっぱいサッカーを楽しめますように。

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