ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2015J1リーグ第8節アルビレックス新潟vsFC東京@ビッグスワン20150429

2015-04-29 21:04:22 | サッカー

思い出の夜は 霧が深かった 今日も霧ふる 万代橋よ♪。

北の三連戦、中日は新潟でございます。

はじめに失礼しますね。ぽんしゅ館さん新潟駅店の利き酒セット。左から、雪中梅、雪男、謙信。雪男に惚れました。すっきり辛口で飲みやすいです。

新潟に試合を観に来て、初めて晴れました。

昨年までアルビサポさん限定だった(と思ってるんですけど、違ったらごめんなさい)、バックスタンドが今年は一般に開放です。でもほぼ100%アルビさんしかいなく、完全アウェイ。M気質のある自分は、案外快適でしたー。

本日のYou'll Never Walk Alone♪

新潟の完璧な試合運びでしたけど決定力が足りませんでした。キャプテンの千金ゴールで東京が勝ち点3を拾いました。

東京は梶山がサスペンションです。シフトはいつも通り。GKは権田神。CBはカズとモリゲ。SBは徳永と宏介。今日の3CHは右から羽生、秀人、ヨネ。トップ下は河野。2トップはよっちと慶悟です。

新潟は2試合連続ドロー時の布陣を基本として、トップだけ代えます。シフトはスクエアな4-4-2。GKは守田。CBは舞行龍と大野。SBは右に尚紀左にコルテース。ボランチはレオ・シルバと裕紀。メイヤは右に慶左に翔。2トップは、今日のラファエル・シルバの相棒は武蔵です。

前述の通り、新潟はほぼ完璧に試合をオーガナイズします。少なくともゲームメイクは。

新潟は、守備から主導権を取りに来ました。まず2トップが、カズとモリゲにボールが着くとフォアチェックをしかけ、アウトサイドに追い出します。そこから徳永と宏介にパスが渡ると、慶と翔がチェックに加わります。これで、東京のパスコースを絞ります。サイドから内にパスを入れようとするとレオと裕紀がチェックに入ります。縦に出すと尚紀とコルテースが切ります。これはもちろん高い位置でのトランジションを意図しますけど、同時に東京のカウンター対策でもあります。出し手にプレッシャーをかけることで、よっちにいいタイミングでフィードを渡さないようにしたのだと思います。これで東京のプランを粉砕しました。東京は早々、受けに回ることを余儀なくされます。

結果論ですけど、こういう時のためにミステル東京は守備を磨いてきました。守勢に回っても慌てず、じゃあ仕方ないですよねと言わんばかりに守備モードに入ります。塩上等。考えてみれば、優勝するに値するチームは、しんどい時に苦しみつつも勝ち点を重ねています。そういう意味で、もしかするとターニングポイントになる試合かもしれません。

新潟はフォアチェックからのショートカウンターを仕掛けますけど、なかなかシュートレンジに入れません。そこで新潟は攻撃モードを変えます。25分頃からフォアチェックを控えます。今度は、高い位置で4+4+2の3ラインを引きます。東京を引き出してから網を仕掛け、トランジションから裏を狙うパターンです。これが奏功します。

今日の東京は、前節に続いてジェットストリームアタック仕様ではない前線の布陣です。慶悟にパスを集め基点を作ります。新潟はこれを読んでいました。慶悟か、慶悟が落としたところを狙います。トランジションすると、レオや大野が迷いなく前線にフィードを送ります。狙いはカズの背後です。ラファと武蔵が変わるがわるカズの裏に飛び出します。もう少しフィードの精度があれば、今日一番可能性があった攻撃パターンでした。

いまの東京は、よっちと慶悟を抑えられるとパスが繋がらず攻撃がスタックします。前節に続き、マークがタイトとは言え、よっちが前を強引に向いて仕掛けられないとカウンターの威力が足りません。ジェットストリームアタックが形成されだした矢先にナオが離脱したことは確かにエクスキューズですけど、早期に次なる攻撃パターンを見出して欲しいと思います。

前半は、新潟に完璧に支配されたまま、スコアレスで終了。

後半も流れは変わりません。新潟は第三の攻撃パターンを見せます。あの手この手の攻撃デパートです。今度はサイドアタックです。前半からも仕掛けていたのですけど、ポゼッションモードに入ると慶と翔が内に絞ります。バイタルエリアのWH裏に位置取り、ハブになります。同時にSBを引っ張り上げる意図です。レオと裕紀が左右にパスを散らして東京の守備陣を揺さぶり、機を見てSBを走らせます。

新潟のサイドアタックは左右でテイストが少し異なります。尚紀はクロッサーです。慶と入れ替わる形でオーバーラップして、アタッキングサード深くから折り返しのクロスを上げます。

コルテースはオラオラドリブラーです。あえて対峙するディフェンダーに正対し、かかってこんかいという雰囲気を作りますから、なかなか飛び込めません。アタッキングサードでは、前線と絡んでペナルティエリアを目指し、ショートパスでフィニッシュに絡もうとします。

新潟は、前線のアタックが不発でも、コレクティブに相手を包み込む態勢を作ることで二次攻撃の可能性を作ります。レオのミドルショットもありますし、サイズのある選手が揃っていますからセットプレーも使えます。魅力的で多彩な攻撃パターンを持っています。

もしかすると、新潟の迷いは、案外自らの可能性に潜んでいるのかもしれません。魅力的なタレントが揃っていていろんなことが出来る反面、抽象的な表現ですけどサッカーを綺麗にし過ぎている気がします。たとえば湘南、山雅、山形の昇格モデルは、やれることが一つしかないので迷いなく専心できます。新潟は、けしてコンセンサスが無いわけではなく、むしろ闘いかたがきちんと整理されてるんですけど、その要素ひとつ一つが、なんて言うかまとまり過ぎていて、ようするにストロングポイント足り得ていないように見えます。東京には守備という強力なエッジがあり、それが彼我を分けた気がします。新潟が変わらず攻め続けるも、権田の神セーブもあり東京がゴールを割らせません。

さて、まず先にミステルが動きます。慶悟に代えて容平が入ります。これで東京の血流がサラサラし始めます。容平は中盤まで下がってポストを受けようとします。舞行龍と大野から距離を置くことで、慶悟が苦しんだポストの問題が解決しました。東京がアタッキングサードに入り始めます。

ただ、依然前線と中盤に距離があります。そこで続けてミステルが動きます。河野に代えてたまを投入します。そのままトップ下です。これで東京のパスがつながりはじめます。今日の河野は、積極的に広範囲に動いてパスコースを作ろうとしましたけど、結果的にそれが自身を消すことになりました。たまはバイタルエリアに留まります。容平との距離感が安定します。ようやく東京が攻撃の形を作れるようになりました。

これを受けヤンツーさんが動きます。翔に代えてぎゅんぎゅんを投入します。ポジションは同じです。パサーの翔からドリブラーのぎゅんぎゅんに代えることで攻撃に勢いを出そうとしたんだと思います。互いに攻め合い、攻守の入れ替えが激しくなります。

そしてミステルが動きます。羽生に代えてまるを投入します。同時にシフトを3-4-1-2に変更します。最初はモリゲがボランチに入ってびっくりしましたけど、すぐに秀人に戻します。意図があったのかもしれないけど、もしかするとコミュニケーションエラーかな?。だとしたら、大事には至りませんでしたけど注意が必要ですね。3CBは右からカズ、モリゲ、まる。ボランチは右にヨネ左に秀人。

ここが今日のターニングポイントでした。以前、全消しカズを真ん中にした3バックと違い、オーソドックスです。ミステルの常套ですと、サイドの数的優位で守備を安定させるために4-4-2にシフトチェンジすることが多いのですけど、イーブンの状況での最終盤での3バックはとても興味深いです。一つには、2トップにカズとまるを付け、同時にサイドのスペースも消す、勝ち点1を狙ったコンサバティブな狙いとも受け取れます。たぶん大部分はそうでしょう。ただ幾ばくかは、前線に基点が出来始めたので、徳永と宏介に攻撃参加を促す意図も含んでいたんじゃないかと思います。結果的には容平投入以降の流れを維持しアタッキングサードに入れるようになったので、このことが奏功することになります。

すかさずヤンツーさんも動きます。武蔵に代えて達也を同じくトップに入れます。パワースピード系からアジリティ系アタッカーに代えて、守備陣を引っ掻き回す意図でしょう。これで高さを一枚失います。もしかすると、伏線になったかもしれません。

ミステル、ヤンツーさん双方の意図通りだったかそうではないのか、試合がここに来て動きます。

87分。右アタッキングサードにかかったあたりでの宏介のFK。東京はペナルティエリア内のファアにお団子になるパターンです。新潟はゾーンとマンマークのハイブリッド。レオがニア、ゴール前にラファがフリーマン。ニアのよっちには尚紀がつきます。お団子のなかはマンツーマンです。カズには舞行龍、容平には裕紀、秀人にはコルテースがついていますけど、大野がぼーと立っているだけで、そのためまるが大外にフリー。この時、容平と秀人をスクリーンにしてモリゲが隠れていました。いつだったか同様のパターンを見た覚えがあります。どなたか教えてください。ようするに新潟のマンマークは一枚足りないのです。容平が裕紀の前を取り続けています。その背後から、モリゲがゴール前に飛び出します。さらにその奥をまるが飛び込みます。これで宏介のターゲットは三つ。この局面の新潟のルーズさで勝負ありだったかもしれません。宏介の狙いはニアの容平です。裕紀に優位に立ち続けた容平がクロスに合わせます。ドンピシャ合わせたヘッドはニアのポールに当たって跳ね返りますけど、そこにいち早くつめられたのはモリゲとまるでした。こぼれたボールがモリゲの前に渡り、モリゲが押し込みました。新潟0-1東京。

サッカーは不思議かつ良く出来たスポーツですね。試合はほぼ新潟がやりたいことが出来てオーガナイズしていましたけど決定力に欠け、そして受動的なチーム唯一の光明であるセットプレー一発で東京が一気に形勢逆転しました。こういう試合はあんまり経験が無いので新鮮です。つくづく強いチームになったなぁと思います。

時間がなく攻めるしかないヤンツーさんが動きます。慶に代えて指宿をトップに投入します。達也が一枚下ります。もう一度サイズのある選手を並べ、高さで打開しようという意図でしょう。

東京は当然のことながらスミイチを守り切る選択をします。いや他に選択肢はありません。攻めたい新潟と守りたい東京の想いが交錯し、ヒートアップします。新潟にとって惜しむらくは、このファイティングポーズを始めから見せていれば、もう少し違った結果もあったかもしれませんね。このまま東京が逃げ切りました。新潟0-1東京。

繰り返しますけど、エンターテイメントとしてはとても満足がいく試合とは感じなかった人も多いと思います。サッカーは相対的なスポーツであり、監督と選手の意思を反映するヒューマンドラマでもあります。少なくとも言えることは、プラン通りにいかない状況で最低限やるべきことをやり切り、最上の結果を得たという事実です。これを成し遂げた選手を賞賛せずにはいられません。思えばかつて、自立心とリーダーシップの欠如が指摘されてきましたけど、いまやすっかり闘える組織に成長しましたね。遠い目で感動しつつ、まだなし得ていない夢を正夢にできそうな予感にワクワクが止まりません。

ヤンツー新潟は、その立ち上げから今も変わらず素晴らしいチームです。ディシプリンがしっかり効いている上、レオという大エースをはじめ魅力的なタレントが揃っています。なにがきっかけになるかわかんないですけど、流れを掴んで欲しいと思います。

いったん北の連戦から離れ、次はクラシコです。味スタでのクラシコには良い印象がないのですけど、今日の粘りを力に頑張って欲しいと思います。


2015J1リーグ第7節モンテディオ山形vsFC東京@NDスタ20150425

2015-04-26 14:30:18 | サッカー

閑けさや 岩にしみ入る 蝉の声。

北の三連戦のスタートは、山形でございます。

ちょうど天童で人間将棋をやっていました。将棋のことはぜんぜんわかんないんですけど、棋士さんがおしゃべりしながら対局されるんで、おもしろかったです。勝つというか、お客さんを楽しませることと、駒にぜんぶ動いてもらうことが目標みたいで、通常の対局とはちょっと違う難しさがあるみたいですね。

山形といえば、さくらんぼ。今回の旅の一番のテーマはさくらんぼの花を見ることです。山形県内の自治体の観光サイトを見てもさくらんぼの花見のことはまったくと言っていいほど無くて、駅の観光案内でも情報がなく、もしかして山形県人限定の秘密の楽しみなんじゃないかと思いました。さくらんぼはハウス栽培なので、花見と言っても風情がないっていうのが実際のところみたいですけど。で、天童や南陽に行けば、ちょっと郊外をお散歩するといっぱい観ることができます。NDソフトスタジアム山形の近くにもさくらんぼ農園がありました。

さくらんぼの花を観られたので本日のメインイベント、J1に復帰したモンテを観に来ました。山形は毎年の東北ツアーに必ず組み込んでいまして、今年で5年連続。これまではモンテのユニを着ていたわけですけど、ようやく青赤ユニで大好きな山形に来ることができました。

JR奥羽本線に天童南という新駅ができまして、NDソフトスタジアム山形まで徒歩で行ける距離感です。さくらんぼのお花見がてら、試しにそぞろ歩きしてみました。

駅の入口は東側のみ。イオンモールに向かい、ここを左折。

鉄道をくぐります。

鉄道をくぐったらまっすぐ歩きます。

ここを右折します。

広い道を道なりに進み、ここを左折。

まっすぐ歩くと国道13号線に出ます。左折して北上。

すぐ右手に、山形県総合運動公園があります。

試合前に、先日逝去された海保前理事長の追悼の黙祷がありました。ご冥福をお祈りいたします。

本日はユルネバがありませんでした。いつ以来かな?。

カズのエアゴールとも言うべき宏介のFKゴールを守り切り、連戦を乗り切る省エネ勝利です。

東京は、ナオとカニーニが負傷で離脱中。カップ戦の快勝を受けて、布陣にスライドさせます。シフトはいつも通り。GKは権田。CBはモリゲとカズ。SBは徳永と宏介。3CHは右からたま、梶山、ヨネ。トップ下は河野。2トップはよっちと慶悟です。

山形は昇格を勝ち取った形を継続しています。シフトは3-4-2-1。GKは山の神。3CBは右から當間、西河、竜也。ボランチは松岡とアルセウ。WBは右にキム・ボムヨン左に利弥。2シャドウは右に川西左にロメロ・フランク。1トップはディエゴです。

山形は基本的に昇格モデルのサッカーです。湘南や山雅と同じ。ただ、ちょっと違うのは、個々の選手が個性的で、組み合わせによっては面白いサッカーができそうなところです。なので山形は、フレームワークとして昇格モデルを採用しつつも、それはあくまでも、前提として選手の個性を活かそうというアプローチをとっていると思います。

守備ですけど、これはもちろん昇格モデルの基本。山形もコンタクトに強い、いかにも東北らしい粘っこい選手を並べます。基本的にマンマークで、よっちには當間、慶悟には竜也をつけて厳しくマークします。フォローに西河がいて、2トップを自由にしません。

山形は守備パターンを二つ持っています。これも昇格モデルの基本。東京が自陣でボールを持つ場合は、アタッカー3人が積極的にフォアチェックを仕掛けます。それをかいくぐってビルドアップをはじめると、山形は素早く切り替え、整然と守備網を作ります。なので山形は、ロングカウンター、ショートカウンター、ビルドアップ、いずれの攻撃パターンに対応できる仕組みを持っていますし、そのクオリティはJ1に足るものだと思います。

山形の個性がより発揮されるのが攻撃です。山形の攻撃パターンは二つです。今日はまず、ロングフィードをディエゴに付けるパターンから入りました。これはただ、攻撃を意図するというよりも、守備のリズムを整えるためのリスクマネジメントだと思います。

本来のポストは、2シャドウを使うことを意図しています。山形の特長のひとつが2シャドウです。川西、ロメロともにドリブラーですけど、タレントは少し異なります。川西はスピードで勝負するタイプで、ペナルティエリアのサイドを目掛けたスペースメイクを繰り返します。ロメロはパワー系で、二人くらいに囲まれてもおかまい無しに強引に仕掛けます。昇格モデルは得てしてサイド偏重に成りがちですけど、中央突破の選択肢があることが山形の最大の長所だと思います。

とはいえ、山形のストロングポイントは、つまりJ1で差異化に足る要素は、サイドアタッカーです。ボムヨン、利弥とも、スピードとパワーを兼ね備えたドリブラーです。それぞれの特長は、ボムヨンは顔に似合わずテクニシャンで、セットプレーを任されるほどですからクロッサーです。ボムヨンがアタッキングサードに入るシーンがあまりなかったので、折り返しのクロスの精度は確認できませんでした。昨年のプレーオフでは頻繁にアタッキングサードに顔を出していた印象があるので、ここがある意味で山形の現在地を示していると思います。

左の利弥は、2015山形の売りのひとつだと思います。掘り出し物というと失礼だけど、また一人東京のアカデミーからおもしろい逸材が出てきました。対峙するたまが再三ファールで止めざるを得ないほど、利弥のスピードに苦労していたような気がします。利弥のほうは何度もアタッキングサードに進出していました。クロッサーというよりはシューターなのかもしれません。ただ、アタッキングサードに入ってから何もできませんでした。クロスなのかカットインからのシュートなのか、アタッキングサードでの役割をはっきりさせたほうがいいでしょう。

なので、しばらくは流れが定まらない時間が長く続きます。東京は、こちらは主導権を握るために、左で構えるよっちにフィードを送りますけど、當間と西河に前を向かせて貰えません。

そこでビルドアップにプラン変更しますけど、これも山形の素早い帰陣から作る5+2の守備網が堅く、ペナルティエリアに進入できません。膠着状態になったと思っていたら、突然試合が動きました。

22分。宏介の右FK。東京はニアから慶悟、モリゲ、カズ、梶山がペナルティエリアに並び、少し遅れてたまとよっちが入ってきます。山形はゾーンです。ニアから松岡、ディエゴ、ボムヨン、西河、竜也、當間がペナルティエリアに並びます。その手前に利弥がいます。宏介がなんとなく山形の守備ラインと山岸の間目掛けて上げたクロスに、西河の後ろから前に出てきたカズが合わせようとしますけど、これはエア。ボールはそのまま山岸が伸ばした手の先を抜けました。山形0-1東京。

さて、東京はリードすると例によってリトリートします。試合ごとにリトリートモードの安定感が増しているような気がします。必然的に山形が攻撃権を持ちます。ポゼッションの高まりとともに山形は、先に述べたサイドアタックの頻度が増します。だけでなく、最終ラインがつるべの動きを見せます。西河と當間が左にスライドして、竜也を押し上げます。竜也は利弥をバックアップするとともに、利弥と絡んでもしくは利弥と入れ替わって攻撃に顔を出します。達也は利弥と違って純粋なクロッサーなので、左サイドの攻撃のバリエーションが増えます。山形の左サイドが活性化します。ここが現在の山形の生命線かもしれませんね。

前半は東京リードのまま終了。

後半頭から、ミステルがシフトをアジャストします。よっちを真ん中に据えます。今日はナオがいないので、もとより売り出し中のジェットストリームアタックはできません。前半は左サイドで基点を作ろうとしていました。河野が左に寄せ、よっちをフォローしていました。よっちのポストから、河野を基点にヨネ、宏介を抜け出させようという意図でしょう。これは當間のがんばりでよっちのポストを機能させず、山形が阻止します。

そこで、よっちのマーカーを西河に変えるという意図がひとつ。これで実質前線三人の1on1のマッチアップができます。つまりタレント勝負。

さらに慶悟にポストを担わせます。慶悟は左右に幅広く動き、ライン際で基点になります。東京の攻撃コースを散らし、山形を揺さぶる作戦だと思います。

ただ、いずれにしろ今日はカウンターが効きません。一番の要因はよっちです。足の調子が万全でないこもあるのでしょう。ターゲットを西河に変えてもなかなか前を向けません。シュートレンジでボールを持っても、今日はアテンプトできませんでした。現状のリトリートモードの課題はここでしょう。カウンターの威力をつけること。守備を固めることは、ロングカウンターの脅威を相手に与え続けてはじめてモデルとして完成と言えます。いまは前線にスピードのある選手を並べることでカウンターの選択肢を増やす選択をしていますけど、基点を置いて精度を高める選択もあります。昨年相太が好調だった頃のような。ロングカウンターのパターンの多様性も威力向上の策ですから、組み合わせの選択肢も多いことですし、取り組んでみてほしいと思います。

というわけで、ミステルは守備の安定をチョイスします。河野に代えて秀人を投入します。同時にシフトを4-4-2に変更します。たまが右メイヤでヨネが左です。山形の生命線であるサイドに数的イーブンを作る意図でしょう。

さらにそれを強化します。60分頃、たまとヨネを左右入れ替えます。山形最大のストロングポイントとなりつつある利弥と竜也対策をヨネに担わせる意図だと思います。

ただ、まだヨネのコンディションは万全でないのでしょう。ミステルは続いて、ヨネに代えて容平を投入します。慶悟を右メイヤに下げます。容平と慶悟は、大きく言うと組み立てでのスタイルが似ています。容平のほうがパスを呼び込みますけど、サイドで基点になるタスクは変わりません。

同じタイミングで石崎さんも動きます。川西に代えて陵平を投入します。アタッカーをリフレッシュする意図だと思います。

山形がゴリゴリ攻めかかりはじめます。中央突破もサイドアタックも織り交ぜます。でも東京の中央の網を抜けられません。ペナルティエリアにすら入れません。

そこで石崎さんが動きます。松岡に代えて中島を左シャドウに投入します。ロメロをひとつ下げてボランチに入れます。これで前線に純然たるFWタイプが揃います。強引にでもグリグリ押し込むほうを選択しました。石崎さんは、どうしてもホームで闘う姿勢を示したかったんでしょう。山形の勝ち点はすべてホームマッチです。なんとなく内弁慶的なところがあるのかもしれません。遠方ゆえ圧倒的にモンテサポが多く、しかもリズミカルなスネアドラムをベースにした、歌い易くキャッチーなチャントが醸し出す独特の一体感がNDスタにはありますから、そういうところも後押しになっているのかもしれません。山形のような地方クラブにとっては、内弁慶こそ必要なビジネスモデルだと思います。

同時にミステルが動きます。最後の仕上げに入ります。たまに代えて羽生を投入します。たまを良く引っ張ったと思います。今日のたまは、体をはった守備で、利弥に手を焼きましたけど結果的には完封しました。最小得点差なので、たまのコンディションを考慮して安全策をとったのでしょう。

山形の猛攻実らず、このまま試合終了。山形0-1東京。

東京はとくに守備が強いチームなので気に病み過ぎる必要は無いと思います。山形はディシプリンがしっかりしていて、チームとしてのコンセンサスがきっちり整理されている魅力的なチームです。このようなチームとの対戦は、気持ちいいです。

今日はメインスタンドで観ました。興味深いことに、試合終了後に東京側で引き上げる選手を見ようと集まる地元のかたが多かったことです。試合中も、山形を応援しつつ東京の代表4選手への注目を隠そうとしません。そういうことは、他ではあまりありません。とくによっちのグッズが売れていたようですけど、これは純粋なサッカーへの興味に由来するノーサイドのマインドに寄るもので、鳥栖や山雅が失いつつある純朴性が、山形にはまだ残っています。素晴らしい個性だと思います。ホームサイドの集客はリテンションがテーマでしょうけど、メインは対戦相手の集客力を利用した新規ファン獲得も重要なテーマだと思います。今日は東京サポが押しかけているとかで毎年楽しみな酒菜一さんにはお邪魔できなかったんですけど、変わりに入った花膳さんで、J1に上がった経済効果の、現場レベルでの実感を聞かせていただきました。昨年までとはホームマッチ日のお店の客入りが段違いなんだそうです。昇格と残留を、チーム単体では考えられない事情が地方クラブにはありそうです。

カウンターの課題が残りますけど、日に日に増す守備の安定感は、最終的な戴冠に向け、少なからず下地になりそうです。連戦は、その後に燃え尽きないようペース配分も必要ですから、アウェイでの最大勝ち点獲得は、まずは上々ですね。

さて、北の三連戦、次はこれまた美酒と美食の街、新潟。試合後の狂騒にこころおきなく踊れる結果を得たいものです。


2015ヤマザキナビスコカップ予選リーグ第4節FC東京vsサガン鳥栖@味スタ20150422

2015-04-23 19:40:02 | サッカー

朝方の快晴から一転。仕事先の名古屋から東京に戻ると曇天が広がり、雨が降ってました。

怒涛の7連戦の第2戦。それでなくても開幕からの疲労が現れる時期です。東京は怪我の不安がある選手が多く、心配です。

今日はヤマザキナビスコカップの予選です。相手は鳥栖。

今日のYou'll Never Walk Alone♪

互いにサブメンバーのアピールの機会となりましたけど、チームとしての完成度の高さで東京が圧倒しました。

東京はモリゲ、よっち、ヨネ、カニーニが違和感でお休み。梶山と河野もお休みで、ターンオーバーです。シフトは変わらず4-3-1-2。GKは権田。CBは今日はカズとまる。SBは徳永と宏介。今日の3CBは右からたま、秀人、羽生。トップ下は今日は慶悟。2トップはナオと容平です。

鳥栖も大幅にターンオーバーしました。てか、ほぼ入れ替え。こちらもコンディションを考慮したのでしょう。シフトはおなじみ4-2-3-1。GKは守護神彰洋。CBは中島と久晃。SBは右にチェ・ソングン左に磯崎。ボランチは鎌田と岡本。WGは右にペク・ソンドン左に田村。トップ下は早坂。1トップは山崎です。彰洋以外はターンオーバーという大胆布陣。

鳥栖は今年から監督が森下さんになりました。ユン・ジョンファンさんが作った財産をどう使うのか使わないのか、森下さんなりのアレンジをどう加えていくのか、とても楽しみです。そもそも森下さんのサッカーは一度しか見てませんし。今年のスタートは好調です。リーグ戦は4勝2敗。現在3位。昨年の実績を短期決戦のスケジュールに合わせたら1stは優勝ですから、いまの順位もさもありなんです。まずは森下さんの方向性が間違ってないということですね。

今日はターンオーバーですから、森下鳥栖のサッカーにどんな変化があるのか、楽しみでした。で、おそらく鳥栖は、普段着のサッカーをしようとしていたと思います。

まずは鳥栖の代名詞、守備から。これは、ユンさんの財産を継承しようとしているようです。つまりフォアチェックです。前線から激しく起点を追い込み、相手に攻撃の形を作らせません。ちょっと昨年までと違うかもしれないのは、守備網です。

ユンさんの鳥栖は、守備網を作るというよりも、豊田を先鋒に、起点に機動部隊が突撃を繰り返すようなダイナミックな守りかたを旨としていました。森下さんは守備網を形成します。しかも、4+4+2の3ラインです。同じフォアチェックですけど、カウンター一辺倒の守攻を一体として考える守備志向ではなく、イニシアチブを握ることも視野にしたコレクティブな攻撃を目指しているような気がします。ところが、この守備網が今日の勝敗を分けるポイントになります。

この鳥栖の志向は、ポジティブトランジションを前提としています。つまり、中盤の高い位置でトランジションし、鳥栖の得意な攻撃パターンに迅速かつスムーズに移行することを目指します。さて鳥栖の攻撃パターンとは、サイドアタックです。鳥栖のサイドアタッカーは、スピードとアジリティを持つ選手が揃っています。キム・ミヌしかり宏太しかりソンドンしかり田村しかり。ただ長いスプリントとドリブルはないので、アタッキングサードで、いかに有効な形でサイドアタッカーにパスを回すかが鳥栖の攻撃のテーマになります。なので、その意識は守備網形成時に顕著に現れます。鳥栖の3ラインはフラットではありません。中盤のサイドが高めに位置取るボックス型の4-4-2です。トランジションすると、両WGは最前線に並びます。フラットな守備網は、選手間の距離バランスを取りやすく、ボールホルダーを囲い込むのに適しています。ボックス型にしているのは、はやく攻撃態勢に移行したいという意図ではないかと思います。

序盤は、山崎と早坂が仕掛けるフォアチェックと、ソンドンと田村の高いポジショニングに東京守備陣は手を焼き、守備が安定しません。もしかすると鳥栖は、東京が混乱している序盤に先制し、逃げ切るプランだったのかもしれません。

10分を過ぎる頃、東京が鳥栖の攻撃パターンに慣れ、アジャストします。フォアチェックをパス回しでかわせるようになります。ここに今日の鳥栖攻略の糸口がありました。

15分頃から、東京が明確な意図を持って攻撃をはじめます。ソンドンと田村の背後、ソングンと磯崎の前、ボランチの脇とも言えますけど、そこを狙います。今日の鳥栖の泣きどころです。鳥栖はフォアチェックの壁の裏側にセキュリティホールがあります。とくにソンドンの背後を、羽生と慶悟が執拗に狙います。そこで安定した基点が作れるため、前線が安心して動きだせます。信頼のなかでの連携が生まれます。そして、この作戦がいきなり成就します。

18分。東京が自陣でボールを回すところから。鳥栖は高い位置で4+4+2の3ラインを引いています。秀人が自陣の真ん中から右に展開。引いて受けたたまを経由して徳永に渡ります。鳥栖陣に入ります。徳永はターンしてルックアップ。この時前線は、左寄り中央に慶悟がいて中島が見ています。その外寄りにナオが上がっていてソングンがマッチアップ。ニアは磯崎の裏から容平が上がろうとしています。徳永はナオを狙ったアーリークロスを送ります。これは中島がクリア。ロブはイーブンボールになります。落下点に羽生とソンドンが走り込みますけど、ソンドンが勢い余り、ボールは羽生が拾います。羽生は戻ってきたナオに預けます。この時岡本は羽生をマーク。中盤がガラ空きです。そこにたまが目をつけます。ナオはこれを見逃しません。上がってきたたまにパス。たまは左足トラップで浮かして、タイミングを計って左足を振り抜きました。雨でスリッピーなことを計算した、グラウンダーでGKの前でバウンドするシュートは、ゴール左隅に決まりました。ゴラッソ。東京1-0鳥栖。

先制以降も、東京が同じスペースを狙い続けます。もうひとつの東京がイニシアチブを奪えた理由はフォアチェックです。東京のフォアチェックは、ターンオーバーしてもコレクティブです。基本は前線からサイドに追い出します。トップ下がパスコースを消している間に、トップとWHで起点を追い込みます。これは、高い位置でのトランジションだけでなく、攻撃のリズムを崩す意図もあります。サッカーはミスを重ねるスポーツです。ミスを自チームにとって有利な場所で誘発させることも、作戦の重要なテーマです。

ここからが、今日のターニングポイントです。東京にウィークポイントを狙われた鳥栖の選択が、勝敗を分ける綾となりました。鳥栖のウィークポイントは、なのでストロングポイントの裏返しです。ですから鳥栖が取れる作戦はふたつ。ひとつはフラットな4+4+2のラインにして守備を安定させるプラン。もうひとつは攻撃姿勢を維持すること。

森下さんの選択は、アクティブでした。ソンドンと田村が高いポジショニングを維持します。もしかしたら、鳥栖の現在地では、守備を安定させてから反転攻勢というシナリオは持ち合わせていないのかもしれませんね。

どうしても比較をしたくなるのは、ベストメンバーだったらどうなっただろうということです。鳥栖の編成では選手の組み合わせで作戦を変えることは難しいと思います。てか鳥栖に限らず、他ならぬ東京もそうです。なので、サイドアタックを活路とするやり方が基本とすると、ベストメンバーでは宏太とミヌがキーマンになります。宏太とミヌの守備範囲とサポートする、丹羽、義希、豊、藤田のカバー範囲を組み合わせた時、今日と同じようなギャップができるのかな?。さらに豊田と池田のチェックの威力は今日を基準とするとどのくらいなのかな?。いずれにしろ、今日の東京は、今日の鳥栖ならではなウィークポイントを見出し、見事に攻略したと言えると思います。

東京は、試合のテーマが明確になったことで、躍動します。その躍動感を牽引したのはたまです。たまはまだ、守備バランスに力点を置いた試合経験を必要とするタクティカルな試合ではらしさを発揮できません。たまは個性のかたまりですから、コレクティブなグループの中でのアクセントとして活きます。たまの個性は、飛びの大きい、ナオに似た独特のランニングフォームが醸し出す躍動感にあります。たまがのびのびと躍動することで、チームの血流を活性化します。今日のたまは、まさにそれを体現していました。

鳥栖が攻撃姿勢を崩さないことを確認した東京は、リトリートします。もしかしたら森下さんには、東京がリトリートすることが計算の中にあったのかもしれません。中盤のリスクが減るので、攻撃の枚数を増やしやすくはあります。SBも高く位置取るようになりました。前半は東京リードのまま終了。

ドロンパの一輪車ショー

後半から東京の優位性が揺るぎないものになります。ソンドンと田村が上がることで、攻撃時の鳥栖が間延びします。てか、中盤に鎌田と岡本しかいない状況になります。東京の3CHにとっては、トランジションのポイントをわざわざ鳥栖のほうから示してくれているようなもので、当然東京が中盤を支配します。

東京が完全にオーガナイズした状況のなか、試合を決定付ける追加点が生まれます。

57分。鳥栖陣高い位置での東京のポゼッションから。鳥栖は山崎以外は全員自陣に戻っています。秀人は左ライン際の羽生につけます。アタッキングサードに入ります。羽生はルックアップ。鳥栖最終ラインは絞っています。羽生の縦はソンドンがケア。インは早坂がケアしてます。東京は前線中央に容平。ニアに前残りしていた宏介がいます。宏介がソングンの内から目の前に出て、そのまま左奥に走り込みます。羽生はタイミングを計って長い縦パスを宏介に送ります。これにソングンが先に追いつきますけど、宏介と交錯して転倒。ボールをロストします。イーブンボールは難なく宏介の元に。宏介は大きくインサイドに蹴り出してカットイン。ルックアップします。鳥栖はニアから中島、久晃、磯崎が並び、ゴール前を閉じてます。久晃の背後を容平が伺います。鳥栖の最終ラインは宏介の動きに集中しています。鎌田と岡本もボールウォチャーで立ってるだけ。なのでファアからやや遅れてダイアゴナルにペナルティエリアに入ってくるたまを誰もケアしていません。宏介は良く見ていました。丁寧なクロスをたまに送ります。たまは右足ダイレクトで合わせました。ゴラッソ。東京2-0鳥栖。

ヒーローがヒーローらしい活躍を見せました。これで今日の結果は決まりました。

森下さんが動きます。一気に二枚代えです。中島に代えて谷口、岡本に代えて義希を投入します。同ポジションの変更。やはりクオリティに満足できなかったのでしょう。まずは守備の安定化をはかりました。

これを見て、ミステルが動きます。選手の状態が良かったので、ここではシフトだけ4-4-2に変更します。2トップはナオと容平。これは、鳥栖の唯一の攻撃パターンであるサイドで数的不利を解消する意図でしょう。

守備網を磐石に整えて、ミステルが少しずつ布陣を代えます。まず容平に代えて河野を投入します。今日の容平は、シュートを狙う意欲を見せましたけど、バイオリズムが合わないというか、なにしろゴールに嫌われました。容平の日ではなかったですね。いつものように献身性と積極性を持っていたので、近いうちにチームを救うゴールを取りそうです。

直後にアクシデントが起きます。ナオが右足脹脛の筋肉系の怪我で動けなくなります。ナオ史は怪我との格闘賦でもありますから、軽傷のようですけど心配です。

代わって遼一がトップに入ります。

森下さんが最後のカードを切ります。山崎に代えて福田を投入。同時に布陣を変更します。早坂を1トップ、鎌田をトップ下に据えます。福田は義希と組んでボランチ。ソンドンと田村が左右ポジションを入れ替わります。

このあたりから、ゴール前でのコンタクトが激しくなります。とくに鳥栖のセットプレーで権田との接触が続いた時は、去年のガンバ戦のことがありますから心配でした。鳥栖はコンタクトの激しいチームスタイルですから、こういったプレーは不可避です。

最後にミステルが〆にかかります。慶悟に代えて拳人を投入します。拳人はJ1デビューです。同時に東京デビュー。おめでとう。キャンプからの好調をキープしていたみたいでカップ戦は全戦ベンチ入りしてたので、スタートが切れて良かったです。

東京が完璧に鳥栖を凌駕したまま、試合終了。東京2-0鳥栖。

眠らない街♪

たまとカズのシュワッチ

試合のなかで、グループとしてコンセンサスが取れるテーマを見つけ、それを確実に遂行できました。ターンオーバーのなかでこれを達成したことは、チームの成熟を表しています。とてもとても誇らしいです。

リーグ戦は短期決戦ですけど、通年のヤマザキナビスコカップは、もしかしたらシーズンの背骨になる位置付けかもしれません。バイオリズムが変わった時の調整の場として、大切に戦っていきたいものです。

敗戦で始まった7連戦のスタートですけど、早々良いムードを取り戻しました。いよいよゴールデンウィーク東北ツアーが始まります。試合も旅もいい結果で終えたいですね。現地に行かれる皆さまお気をつけて。


2015ACLグループステージ第5節浦和レッズvs水星三星@埼スタ20150421 -加賀さんとの再会-

2015-04-22 01:45:02 | 加賀さん

春は別れと出会い、そして再会の季節です。

浦和レッズのACL第5節。水星三星ブルーウイングス戦です。

北京戦の結果を受けて予感はあったのですけど、さすがにミッドウィーク二日連続はキツくてチケットを買うまでの決心はできませんでした。

それでもとにかく埼スタに向かっていました。ACLのスタートスコッド発表はキックオフの直前なので、確認してからキックオフに間に合うように。あのシステムなんとかなりませんかね、AFCさん。

そしたら、レッズのことでいつも助けていただいてるかたから、スコッドの公式メルマガ情報をいただきました!。ホントにありがとうございます(≧∇≦)。

加賀さんスタメン☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆。

加賀さんとの公式戦の再会は、2014年5月24日ヤマザキナビスコカップのアウェイガンバ戦以来、332日ぶりです。

わかってはいても、やっぱり愛するチームと愛する選手が離れ離れになると、なかなか会いに行けませんね。それでもFUJI XEROXスーパーカップ、ACL北京戦、リーグ川崎戦に参戦しました。加賀さんに会えたのは初戦だけ。で、事前の予想に反して出場機会がありませんでした。

そんなファンの想いを知ってか知らずか加賀さんは加賀さんで、そんなクールさが魅力なのですけど、先週から加賀さんに動きがありました。トレーニングマッチでゴールしたり、ひさしぶりにホームマリノス戦に出場したり。加賀さんのバイオリズムが上がっている気がして、今日はなんとなく予感があったんです。

あ、今更ですけど、今日は加賀さんしか観てないので、試合のことはさっぱりわかりませんでした(^^;;。ごめんなさい。レポートはご容赦ください。

今日もレッズはいつものシフトです。布陣はターンオーバーです。GKは周作さん。3CBは右から加賀さん、みっちゃん、槙野さん。ボランチは啓太さんと青木さん。WBは右に平忠さん左にわたる。2シャドウは右に陽介さん左に俊幸さん。1トップは忠成です。

通常、レッズの右CBはバランサーです。左の槙野さんがダイナミックにオーバーラップを繰り返しますので、森脇さんは槙野さんが上がると絞ります。右サイドの攻撃時も、森脇さんが低い位置でボールを持ってビルドアップの起点になります。森脇さんからのロングサイドチェンジも、レッズの攻撃のアクセントのひとつです。さらにポゼッションしながら相手を押し込むと、森脇さんもアタッキングサードに入り、右からのカットインからのミドルショットを狙います。広島時代に良く見せた森脇さんの得意技ですね。

今日は森脇さんがいません。加賀さんはバランサーではありません。加賀さんはルックスとプレースタイルがイメージ通りにぴったりシンクロします。加賀さんは、類稀なスピードを活かして右サイドを上下動するシンプルなプレーを売りにしています。いわば香車。それも痛いほどに研ぎ澄まされた、エッジの効いたスプリンターです。

なので、ミシャさんは工夫しました。トランジションすると、啓太さんか青木さんが最終ラインに入ります。これは常套なんですけど、とくに啓太さんが下がる場合、通常はみっちゃんの左に入るところを右に入ります。青木さんは左に入りますけど、その時はみっちゃんがズレます。つまり、いつもは森脇さんが担っている起点のタスクは、啓太さんとみっちゃんが分担するということです。これで加賀さんのエッジを活かす下地ができます。

加賀さんの魅力は、何と言っても、サバンナの大型肉食獣のような躍動感溢れる低重心のフォームで伝えるスピード感です。もっとも加賀さんが映えるのは、よーいドンからの1on1のボールチェイス。ようするに駆けっこです。とくに守備では、後ろにどんなにスペースがあっても、加賀さんが駆けっこで負けることはまずありません。さらに相手がドリブルをはじめるタイミングでのコンタクトも、ツボがあるのか得意です。今日の前半の右サイドの守備に安定感があったのは、そういう理由です。

加えて今日の加賀さんは、東京時代より守備範囲が広く感じました。水星のアタッカーがダイアゴナルに走ったり、ロングスルーを槙野さんの背後に送るシーンでも、みっちゃんよりはやくチェイスできるときは積極的に逆サイドをケアしてました。

反面、1on1で面と向かって対峙した場合の弱さは加賀さんの負の特徴でもありますけど、今日はゴールエリアでのシュートブロックも見せて、不安感を感じませんでした。まるで磐田時代の2011年に戻ったように、活き活きしていました。やっぱり3バックが向いているのかもしれませんね。

攻撃面でも工夫があります。レッズのWBは、アタッキングサードを除くと基本的にサイドにはりつきます。左のわたるの動きは通常運転です。平忠さんは、中盤で中に入るシーンが度々ありました。これは加賀さんのコースを開けることと、全体を左加重にして右に大きなスペースを作る意図だと思います。序盤は守備のバランスを意識していた加賀さんでしたけど、途中から積極的なオーバーラップを見せていました。加賀さんがどフリーでパスを要望するシーンが何度かありました。残念ながら加賀さんにパスが渡ったのは数えるほどしかありませんでしたけど、クロスを二本ゴール前に送ってチャンスメークしてました。

加賀さんに安定感があったので今日は後半もそのまま行くかと思ったのですけど、ブリスベン戦と同様に前半で下がりました。ACLで後がないレッズは、どうしても大量点が必要でしたから、致し方ないなと思います。

でも、正直言うと悔しいです。

ちょっとだけ試合のレポートを。後半の浦和の布陣は一気に三人代えです。GKは西川。3CBは右から勇樹、永田、槙野。ボランチは陽介と青木。WBは右に平忠左に梅崎。2シャドウは右に忠成左に俊幸。1トップはズラタンです。

ドローで十分な水星はコンサバティブな作戦です。オリジナルシフトは4-2-3-1。

水星は、守備時にウンソンが左CBの位置に下がり、5-4-1の形になります。これは浦和をスカウティングしての作戦でしょう。浦和のアタッカー3人をマンマークする意図です。

前半の水星はおそらく普段のサッカーだったんじゃないかと思います。テセを中心に、両WGも積極的にフォアチェックをしかけます。水星はモダンな、タイトなショートカウンターを基軸とするチームなんじゃないかな。攻撃での効果はわからなかったのですけど、守備では確実に有効でした。フォアチェックによってレッズのボトムラインにプレッシャーがかかり、前線にいい形でパスを出せません。起点が低いため縦パスの精度が低く、また基点も低くなります。レッズ独特の、守備陣を包囲しジリジリ押し込める形が作れません。結果、攻撃が単発になります。

レッズの生命線はシュートパスの連携です。つまり足元が巧みな選手が必要です。点を取らなければならない状況だったとは言え、結局我慢できずに使い慣れた選手に頼ってしまうことは、チームの戦略上の幅を狭めることになると思います。レッズがシーズン終盤に失速する因果は、そんなところにもあるんじゃないかと思います。

とは言え、後半から陽介を一枚下げてパス回しが安定します。と同時にポゼッションが高くなります。攻撃権は完全にレッズに渡ります。

水星は、こうなることを予見していたと思います。キックオフから攻められることを覚悟していたでしょう。ですので、布陣変更は水星にしたらむしろ歓迎だったかもしれません。水星は完全に引きこもりました。

それでも光明はありました。セゲが梅崎の動きについていけてないように見えました。パワー系の和からアジリティの高い梅崎に代わって、セゲはアジャストに苦労したのかもしれません。

ところがレッズは中央突破に固執します。忠成がトリッキーなプレーでアクセントを付けようとしますけど、水星の中央三人は対人対応力がとても高く、ズラタンと俊幸には届きません。レッズの攻撃が分断されます。

69分。ほぼ初めてと言っていいくらいに、ようやく陽介が梅崎を使った左サイドアタックから、ズラタンのゴールが生まれました。

なお攻撃過重になるレッズに落とし穴がありました。水星がフィールドプレイヤーを自陣に引かせますから、レッズも前掛かりになります。西川の前に広大なスペースができます。残念ながらレッズの最終ラインにスピード系のディフェンダーがいません。74分と89分の水星のロングカウンターは、加賀がいれば防げたかもという妄想は結果論かな?。

レッズの2015ACLの敗退が決まりました。

ブリスベン戦の実績があるのでもしかすると前半で交代もあり得ると思って、北側ロワーのメインスタンドにして良かったです。目の前で加賀さんのプレーをいっぱい観ることができて、嬉しかったです。自分が見たことがないプレーの幅も観られたし。欲を言えば、勝った試合でフル出場した後に見せるいつにも増して涼やかな表情を観ることができたら、遠洋漁業の漁師さんの奥さんのような気持ちになれたんですけど。

またしばらくは会いに来られません。そして次は、いよいよ対戦相手として加賀さんに挑みます。複雑だけど楽しみです。願わくば、ピッチ上で東京と邂逅できますように。


2015J1リーグ第6節FC東京vsサンフレッチェ広島@味スタ20150418

2015-04-19 14:43:39 | サッカー

嫋かな日本の春がおわると、爽やかな新緑の候を前にしてひと時、色っぽい大人の盛春がやってまいります。仇桜花。八重桜が満開を迎えました。

いよいよ2ステージ制の乱痴気日程のハイライト。カップ戦を入れて怒涛の7連戦がスタートします。初戦の相手は、実は味スタでは苦手にしている広島です。

本日のYou'll Never Walk Alone♪

変態する東京と初志貫徹の広島。これぞJ1のサッカーという、中身があって刻一刻と状況が変わる濃密な展開になった、極上フルコースな知略戦は、最終的にはプロ初ゴールの花を添えた個人技が試合を決定づけました。

今日の東京は、おそらく広島対策を意図して布陣をアジャストしてきました。シフトはおなじみ。GKは権田。CBはカニーニの負傷で今日のモリゲの相棒はカズ。8年前のリベンジが今日のカズとチームのテーマです。SBは徳永と宏介。3CHは今日は右から梶山、秀人、ヨネ。スタートスコッドを見た時から、念願のトリオが並ぶことに大興奮でした。ところが秀人がアンカーでびっくりしました。これには意図があって、試合のポイントとなります。トップ下は河野。2トップはよっちとナオです。

広島は毎年のように主力が抜けます。今年も洋次郎と石原が抜けました。それでも広島は広島であり続けます。まず、素直にそこが凄いと思います。シフトはお馴染み3-4-2-1。GKは卓人。3CBは右から塩谷、千葉、水本。ボランチは青山とカズ。WBは右にミキッチ左に柏。2シャドウは右にドウグラス左に晃誠。1トップは寿人です。

さて試合はいきなり動きます。

1分。いきなり東京がファーストアタックでアタッキングサードに広島を押し込めます。権田のパントキックから。よっちがアタッキングサード手前でポスト、前方にフリックします。これにナオが反応します。よっちが左からダイアゴナルにペナルティエリアに向かっているのを見たナオは、右足で落とします。ロブになったボールに先に追いついたのは、よっちをマークしていた塩谷でした。塩谷は頭でクリア。これがまたロブになり、落下点に梶山がいました。梶山は青山、カズ、塩谷を引きつけます。この時広島は、ペナルティエリア内に、ニアから千葉、水本、ミキッチが並びます。水本の背後にナオ。梶山の前によっちがいて、柏が見ています。ナオはパスを受けに下がります。水本は気付かず、ミキッチは見てるだけ。梶山はナオにパス。ナオは、ペナルティエリアに入ろうとしていたよっちにダイレクトで折り返します。これは柏が先に頭で触ってクリアしますけど、それが下がってきたカズにあたり、なんとよっちの目の前に転がります。いやはや持ってる男は違います。よっちはバウンドを合わせて右足を振り抜き、卓人の股を抜きました。東京1-0広島。

以降の89分間は、この東京の貯金を巡る攻防になります。広島はおそらく、東京が最近売りにしている、よっち+ナオ+河野のジェットストリームアタック対策をスカウティングしていたと思います。それでも実際に組んでみると、想定外にはやかったのでしょう。広島がアジャストしきれないうちに先制できました。

さらに、広島の混乱は続きます。所以は、ジェットストリームアタックだけではありません。ミステル東京がはじめて挑んだ3CHの組み合わせに妙味がありました。梶山アンカーが機能していたので、今日は秀人、梶山、ヨネという並びだと想像していました。でも蓋を開けてみると梶山、秀人、ヨネでした。ただ、右WHとアンカーの役割は、いつもとは違います。いわば広島対策を施しました。

まずは秀人。今日の真ん中は、アンカーというよりハンターです。いわゆる東京の犬ポジを真ん中に持ってきました。秀人の本質はパワフルなカバーエリアが広いスィーパーだと思っているので、今日はぴったりの役割だと思いました。秀人のタスクは青山を抑えること。広島の攻撃は青山を起点とした時威力を増します。攻撃時の広島は、いわずもがなですけどシフトを4-1-4-1に変形します。その要、1ボランチの位置を青山が担います。今日の東京の守備の考え方は、青山を消すこと。それをハンターである秀人に託しました。

序盤の広島の混乱を決定づけたのは、秀人もさることながら梶山です。通常犬ポジの右WHを、今日は攻撃のアクセントとして使います。攻撃時には、秀人を残して梶山が積極的に前に出ます。トップ下の河野は、ジェットストリームアタックのオルテガの役ですから、攻撃の組み立て役がいません。これまではアンカーの位置で梶山がタクトを振っていたのですけど、今日はより高い位置、バイタルエリアに梶山を置きます。この梶山の動きが、広島には予想外だったと思います。てか、東京サポもびっくりだったでしょう。守備では秀人が前から、攻撃では梶山が後ろから青山を狙います。これで広島が守備加重になります。そうすると、3CBの背後を狙うよっちとナオのダイアゴナルランが活きてきます。これが、先制以降しばらく続いた東京の攻勢の要因だと思います。

10分を過ぎると、広島がアジャストします。東京の新しい攻撃パターンに慣れてきます。ミキッチと柏を下げて5バックにし、バイタルエリアも青山とカズが閉めて守備を安定させます。と同時に、トランジションの位置を下げ、広島らしいゆったりとした超スローペースに持ち込みます。まさに蜘蛛の糸のような広島の攻撃がはじまります。このあたりの流れの引き寄せ方は、さすがにチャンピオン経験チームだけのことはあります。イニシアチブを握ると広島は、当初のプランを実行します。今日の広島は、右サイドアタックに活路を見出そうとします。

まず、青山が位置を少しだけ下げます。これは秀人のハンティングを見て、それをかわすためでもありますけど、東京に対する罠の仕掛けでもありました。青山が下がることで、秀人は知らず知らず前に引き出されます。これで、東京の中盤ど真ん中にぽっかり穴ができます。さらに仕掛けがあります。ミキッチを最前線に張らせます。これは広島の常態ではありますけど、今日の意図は宏介でした。宏介にミキッチを意識させ、最終ラインに留まらせます。広島の仕掛けは続きます。これも常套ではありますけど、寿人を前線真ん中に張らせます。今日はカズが寿人に密着マークしていましたけど、寿人は少し右にずれ、モリゲも絡めようとします。これでカズとモリゲが後方に引っ張られます。広島はもう一つ仕掛けます。塩谷を右ライン際、やや中途半端に上げます。これはヨネをおびき寄せるためです。こうして、バイタルエリアにスペースができます。仕上げは、そこにドウグラスが下がってくることです。これで、青山のパスコースは3つできます。基本は、フリーになったドウグラスにパスをつけることを目指します。広島の意図は、右で作って中央、もしくは左で仕留めることだったと思います。東京守備網が全体的に左過重になりますから、晃誠と柏には美味しいスペースができ易くなります。そして、この作戦がいきなり奏功します。

11分。東京陣で秀人が前方の梶山にパス。梶山はヨネに戻そうとします。これをドウグラスに狙われます。パスカットしたドウグラスは、後方の塩谷に渡します。パスを受けた塩谷が、そのまま右ライン際に流れるドウグラスに縦パスを送ります。パス&ゴーのドウグラスが追い付きます。アタッキングサードに入ります。ドウグラスはそのままスピードに乗ってヨネを振り切ります。秀人がボールとドウグラスの間に割り込もうとしますけど、ドウグラスがドリブルしようと伸ばした足にひっかかって転倒。ドウグラスはどフリーでカットインします。ペナルティエリアに入ってドウグラスはルックアップ。ゴール前は寿人だけ。東京はニアにモリゲ、寿人にはカズがつき、ファアに徳永がいます。遅れ気味に晃誠が上がってきています。この時、梶山はボールウォッチャーになっていて、さらに秀人とヨネがドウグラスを止めに行ったので、バイタルエリアにいるのは晃誠だけ。ドウグラスが丁寧に送ったパスを、晃誠が右足ダイレクトで合わせました。東京1-1広島。

わずか11分間で、互いのプランが成功する、はやくも高度な知略戦の様相をていしてきました。ただ、流れは押し返した広島のほうに傾きます。広島がイニシアチブを握り続けます。ドウグラスのポストだけでなく、塩谷に預けるパターンも使い始めます。これは、おそらくヨネを狙ったんだと思います。塩谷のスピードとパワーで、東京の中盤守備の象徴であるヨネを機能不全にする、奇策でもあり、ガチ勝負でもある作戦です。2014年の仙台戦だったか、角田にヨネがパワー負けして東京の中盤が自信を失ったことがありましたけど、東京を見続けても記憶のなかではそのくらい。言い換えると、それだけ威力のある作戦でもあります。広島は、塩谷だけでなくドウグラスもヨネに襲いかかります。さらにミキッチとドウグラスが宏介にもパワーで挑み、東京の右サイドを混乱に陥れることに成功しました。スペースにワラワラと選手が湧き出るというよりかは、正々堂々と1on1を挑んでイニシアチブを握る、さながら源平の頃の武士のような潔さが、今日の広島にはありました。

さて、ミステルは黙っていません。アジャストして混乱を収束します。20分過ぎに、シフトを5-3-2に変更します。3CBは右から秀人、カズ、モリゲ。3CHは右から河野、梶山、ヨネ。3CBの並びにびっくりしました。通常東京が3バックにするときは、真ん中はリベロポジションなので、秀人もしくはモリゲのほうが適していると思うからです。でも、今日の3バックは意図が違いました。さすがにミステルはリアリストです。これまであまり見た記憶がない、完全マンマークに切り替えます。全消しカズを真ん中に置いたのは、当初プラン通りに寿人を全消しするためです。ちなみに結果的に見ると、カズの寿人全消しに限っては大成功でした。ただ、カズに寿人全消しに専念させたことが後に仇となりますけど。そして、秀人に晃誠、ドウグラスにモリゲをつけます。これでバイタルエリアでのシャドウのポストを機能不全にすることに成功します。

ただ、これはあくまでも過程の策だったと思います。少なくとも前半は、5+3の2ラインを維持しました。徳永と宏介も最終ラインに入り、柏とミキッチをマークします。塩谷と水本もヨネと河野がケア。梶山はバイタルエリア真ん中のスペースをケアします。なので、青山が逆にフリーになります。青山が高めのポジションをとってタクトを振るようになります。当然のことながら、広島が押し込みます。

ただし、東京が5バックにしてから攻撃権は広島が持ちますけど、必ずしもオーガナイズしているとは言えなくなります。なぜならば、東京が意図してあえて広島に攻めさせていたから。これで、広島が仕掛けた1on1で陥った混乱を、東京も1on1の各個撃破で収束することに成功します。まさしくこれぞプロ。ミステルのリアリスティックな思い切りも凄いですけど、それをピッチ上で粛々と具現できる選手も凄いと思います。やっぱり今年の東京は、優勝するに値するグループになってきたと思います。このまま前半終了。

後半頭からミステルが動きます。ヨネに代えて羽生を投入します。前半のドウグラスとのコンタクトで、ヨネがどこか傷めたように見えましたので、コンディションを考慮したのだと思います。でも、もしかしたら幾ばくかタクティカルな選択のような気もします。

同時にシフトを4-4-2に変更します。中盤に秀人が戻り、右から河野、秀人、梶山、羽生。ただ、非常に変則的なシステムになります。ポイントは秀人です。秀人を中盤下がり目の右寄りに固定します。つまり前半に引き続き、晃誠のスペースを消します。ドウグラスのほうは、これも引き続きモリゲがケアします。もしかしたら、前半のシフト変更も、形は4-4-2だったのかもしれませんね。

ただ、今度はちょっと意図が違います。後半のスタートは、やっぱり広島に攻撃権を握られますけど、50分を過ぎるころ、東京が攻勢に出ます。当初のプランに戻って青山を狙います。サッカーとは難しいもので、攻撃権を持ち続けるといかに青山と言えども知らず知らず前目に位置取るようになります。スタート時は秀人が担っていたハンティングを、梶山が引き継ぎます。青山が高めに出ているので、梶山のチェックがグリップするようになります。これで、広島の攻撃が停滞します。起点の青山が消えます。基点のドウグラスも消えます。こうなると、塩谷とミキッチがボールを持って仕掛けても単発になります。このミステルの作戦を機能させるには、梶山のフォローが必要になります。秀人が晃誠のマンマークに集中しているので、実質梶山の1ボランチになります。その梶山がフォアチェックすると、バイタルエリアががら空きです。そこを羽生が絶妙なバランス間隔でケアします。これは羽生にしかできないプロフェッショナルワークです。羽生投入がタクティクスなのかもと思う理由はそこにあります。

こうして守備を安定させることに成功しました。そして、あらためて東京が攻勢に転じます。3トップではなくなった時点でジェットストリームアタックを止めています。守備モードに入っている時は、よっちとナオのロングカウンターに徹していました。それでも二人にボールが渡ると期待感を感じるのは、実際に二人で攻めきれるだけのクオリティを持っているからです。ポストを置かずスピードスターを並べる効果はそんなところにもあります。

攻撃モードに入ると、よっちとナオはオリジナルの動きに戻り、ダイアゴナルランを繰り返します。違うのは河野の役割です。河野はメイヤですけど、羽生とはタスクが異なります。羽生が守備のバランサーなのに対し、河野は中盤で前残り気味なポジションを取ります。つまり基点です。トランジションすると、河野がバイタルエリアをワイドに動き、攻撃コースを見極めるとボールサイドに寄って基点になります。これに梶山と羽生が追従して、アタッキングサードで分厚い多重攻撃を仕掛けられるようになります。この時間帯が重要でした。ここで東京が突き放せていたら、結果は真逆だったかもしれません。ただ、フィニッシュにはなかなか持ち込めません。広島のモードチェンジがスムーズで、序盤と違って3CBがよっちとナオの動きについていけるためです。

そこでミステルが動きます。ナオに代えて慶悟を投入します。攻撃の組み立て自体は悪くはなかったので、慶悟はナオ同様、裏を狙います。ちょっと違うのは、慶悟を左サイドにはらせて基点を作る形が増えます。トップ二人で攻めきるというよりかは、イニシアチブを持てるので、前線で時間を作ってSBの攻め上がりを引き出そうという意図だと思います。

これを受け、ぽいちさんが動きます。寿人に代えて浅野を投入します。基本的に広島はやり方を変えません。ぽいちさんは、パズルのピースのように広島のサッカーに選手をあてはめます。なので、広島の選手は、ポリバレントというよりエッジの効いた選手が多いです。ただし、同じポジションでもテイストがちょっと異なります。寿人から浅野へのチェンジは、結果的にこの試合の行方を決定づけました。広島の常套手段とは言え、ぽいちさんには明確な意図があったと思います。

今日の寿人は体をはっていました。全消しに来るカズと、あえてコンタクトを挑みポスト役に徹します。これ自体は、カズを引き付けることで東京の最終ラインにギャップを作ろうとしたのだと思います。この作戦は東京の割り切ったマンマークで機能しませんでしたけど、試合全体を考えた場合に、浅野投入につながる壮大な物語の長い長い序章だったのかもしれません。広島はビルドアップの起点と基点を消されたので、割り切ってロングカウンターに攻撃プランを絞ります。もう一度イニシアチブを握りなおす選択もあったと思いますけど、ぽいちさんの勝負師たるを見た想いです。実質、浅野と晃誠の二人に攻撃を託します。寿人はグループのなかで活きるフィニッシャーですけど、浅野にはドリブルがあります。成否はともかく、少なくともボールを持って仕掛けることができます。東京はマンマークを変えなかったので、必然的に浅野のマークはカズが担うことになります。カズはもちろんドリブラーの全消しも得意なのですけど、約70分間寿人とガチコンタクトを挑んでいたので、ドリブラーとの間合いの取り方にアジャストするのにちょっと時間が必要だったようです。ちょっと惜しむらくは、これに対しミステルが明確な手を打たなかったことです。いや、3CBを信頼して動かない選択をしたと言ったほうがいいのかもしれません。

さらにぽいちさんが動きます。ミキッチに代えて航平を投入します。ミキッチが消えていたので右サイドをリフレッシュしたかったのだと思います。

それにしても広島は、選手が代わってもグループのクオリティが落ちません。愚直と言われても貫徹する広島のスタイルは、尊敬に値すると思います。編成が変わっても、なんだかんだ今年も上位に来るでしょう。そして、知略戦の終止符を打つゴールが生まれます。

82分。広島陣で航平がクリアしたボールが右ライン際のドウグラスに渡ります。ドウグラスはルックアップ。この時、トランジションのタイミングで中央を浅野、ファアを晃誠が上がっていました。ドウグラスは浅野にパス。浅野がパスを受けたのはセンターサークル付近。ここから長いドリブルが始まります。東京は秀人、カズ、モリゲが絞って並んでいます。秀人側を晃誠が上がります。浅野はそのままドリブルでアタッキングサードに入ります。ペナルティエリア手前で、スピードを落としカズと対峙しますけど、流れのまま右に切り返してコースを変えます。この切り返しが強力で、カズを振り切り、モリゲの態勢も崩します。モリゲがなんとか足を伸ばしますけどボールには届きません。浅野はどフリーになります。ペナルティエリアに入って、間合いを計って右足を振り抜きました。スーペルゴラッソ。東京1-2広島。

リードされたミステルが動きます。河野に代えて遼一を投入します。同時に秀人を前線に上げ、パワープレーに入ります。広島は完全にリトリートしますから、東京は宏介からのアーリーの放り込みと、徳永を高く位置取らせてパスワークの崩しという、サイド攻撃に特化します。最終盤は、東京が押し切るか広島が守りきるか、時間勝負になります。広島が上手に時間を使います。たまに攻撃権を持つと、ドウグラスと浅野が体を活かしてボールをキープし、時間をたっぷり使います。

最後にぽいちさんが安全策を取ります。柏に代えて翔を投入します。守備の強化を意図したのだと思います。

結局、時間勝負は広島の守りきりにおわりました。試合終了。東京1-2広島。

これぞプロという、お互いに高度な知略と技量を両立させた、素晴らしい一戦でした。もちろんゴレアーダや、そうでなくても東京が勝利する試合は至上なのですけど、それを超越して純粋にサッカーを楽しめることもファンとしてのよろこびです。今日の試合を深く楽しめたことが嬉しかったし、それを提供してくれた東京と広島に感謝したいです。

とは言え、今シーズン初敗戦は、短期決戦の経験が少ない東京にとって、これからどう影響してくるか興味深いところです。ただ、やれることはやりきって、決着は正直浅野が凄過ぎたせいだとも言えるので、それほどマインドの部分で引きずることはないと思います。幸いなことにミッドウィークにカップ戦を挟みますから、今日新たにトライしたことから得た成果と課題を踏まえ、ここからスタートの気持ちで臨んでほしいと思います。

日程が超タイトな怒涛のゴールデンウィーク7連戦です。長距離ロードも続きます。コンディションをしっかりケアして、優勝目指し充実のなかで挑んで欲しいと思います。