秋ど真ん中の休日のひと時、アウェイガンバ戦の前にちょっとだけマッサンを感じに大阪と京都の府境にやってまいりました。
秋らしい日本晴れでございます。
JR山崎駅でございます。
駅前に、ホントに駅前にいきなり国宝がございます。ホントに駅前に、え?これって感じで。待庵でございます。でも、本日はここが目的ではないのでw。
NHK朝ドラ友達で、なおかつ飲み友達の、地元の素敵なご夫婦と待ち合わせして、やってまいりましたは、サントリー山崎蒸留所です。
そう。来週いよいよ待ちに待ったマッサンのウイスキー作りがスタートする地です。
見学者待機所のエントランスに出迎えてくれたのは、サントリーというか寿商会の創業者、鳥井信治郎さん。鴨居の大将のモデルです。やってみなはれー(^o^)/。どことなく似てますねw。
そして、赤玉ポートワインのポスター。これ、オリジナルのポスターなんだそうです。普段は別の場所に掲示したあるのですけど、ちょうどこの週、太陽ワインのポスターの撮影シーンがありまして、わざわざエントランスに移し替えたそうです。
赤玉ポートワインの新聞広告です。
二階に行くとエントランスホールです。代表的なスコッチウイスキーのブランドです。
仕込み樽のギミック。
仕込み樽の部品です。
3号ポットスチルが本来の役割を終えて、いまは見学のお客さんを迎えてくれています。
原酒。ここ山崎の原酒以外にも、世界各地の原酒が並んでいます。
3階が見学者の待機場所になっていまして、定刻になりますとガイドさんが現れてアテンドしてくれます。最初にウェルカムしてくれるのは、鳥井信治郎さんと佐治敬三さんです。
そして、いきなり。日本で初めて鋳造された、国産1号ポットスチルです。マッサンではまだ、佐渡製作所の設計図だけですけど、さ来週くらいには登場するんでしょうね。楽しみです。
渡邊銅鉄工所。大正13年ですから、1924年ですね。山崎蒸留所の竣工が1924年11月11日ですから、実にちょうど90年前です。この年号は、のちほどまた登場します!。
近づいてよく見ると、なるほど手作り感満載です。すごいです。
スワンネック。
こちらは現在の山崎蒸留所の形になってからの1号ポットスチルです。いまは使われていなくて、工場の入口に置いてあります。
現在山崎蒸留所は改装中で、一部見学ができないところがあります。あと、見学のコースも変わっているようです。まずはいきなり蒸留棟から。ガラス越しの見学ですけど、はやくもアルコールのいい匂いがします。弱いかたはご注意を。
仕込み釜です。
ガラス越しに、ぽこぽこ酵母ががんばっているのが見えます。
仕込み釜の隣が、発酵槽です。なんと木なんですね。見えている部分はほんの少しで、網目の床下を覗くとかなり大きいのがわかります。
ピートです。サントリーでは、山崎はピートスネルが弱めのマイルドなテイストの原酒が主流なんだそうです。一方白州のほうはピートが強めのスモーキーなテイストだそうで、なのでシングルモルトのそれぞれのブレンド、山崎と白州はそれで個性が分かれているのだそうです。
改装中でなければ、ここから巨大なポットスチルが並んだ壮観な姿を間近に観られる建物に行くのだそうですけど、今は渡り廊下をショートカットして、次は樽詰めする建物です。この日は休日なので稼働していません。
そしていよいよ、貯蔵庫です。ウイスキーの原酒は、ここで静かに熟成の時を待ちます。
天使の分け前です。ウイスキーが熟成するメカニズムは、今でも謎が多いのだそうです。たぶんこれって、きっとわざと謎にしてあるんだと思います。なんでも分かればいいってもんじゃないですよね。謎があるほうが、作る側も飲む側も楽しいじゃないですか。
樽の内側です。焼いてありますね。チャーリングです。
樽の内部。チャーすることで、ウイスキーの香りが生まれる要素のひとつになるそうです。ウイスキーの樽は分解して再利用していて、それはエコのためというよりも、再利用するとまた違ったテイストの原酒になるんだそうです。その際もまたチャーするんだそうです。
木の種類とサイズが違う樽が並んでいます。木によって、原酒を熟成して出来る色合いが違うのだそうです。現在サントリーで使われているのは、ホワイトオークが主流で、大きさの違いで、手前からバーレル、ホッグスヘッド、パンチョンと言うのだそうです。その隣が、もっとも色合いが濃くなるシェリー、その奥が、国産の原木では唯一の種である、ミズナラです。
お待たせしました。先ほどの山崎蒸留所の創業年1924年が再登場です。なんと、当時の樽がまだ現存しています。なかに原酒が入っているそうで、いったいどんだけ天使が分け前をせしめているのでしょう?w
そして、90年後のこちら、今年作られた原酒です。
貯蔵庫の裏手には、山崎の地を竹鶴さんが国産ウイスキー作りのスタートの地に選んだ理由のひとつ、山崎の銘水が湧き出ていました。ちなみにドラマでマッサンとエリーが見つけた、霧がたつ山崎の滝のロケ地は、河内長野の滝畑四十八滝の御光滝と荒滝です。
山崎蒸留所の内部というか、裏手には神社があります。この地を守る椎尾神社です。
この山崎の地をマッサンが選んだ理由は、水だけでなく気候もあるのだそうです。ヨーロッパに近い北海道に注目していたのですけど、関西近隣を望む鳥井さんの要望で、文字通り探し歩いて見つけたのが山崎なんだそうです。そしてこの地は、ウイスキーの熟成にかかせない霧が発生するのだそうです。まさに奇跡の地。
山崎の10月下旬は、まだ紅葉は先でした。
ショップの奥に資料展示室があって、これが面白いです。工場見学をしなくても、ここだけで半日くらい楽しめそうです。寿商会のものや、歴代の山崎のウイスキー。それから歴代のウイスキーのポスターを見ることができます。そのなかに、国産第一号ウイスキーの完成を記念した、当時の山崎蒸留所のスタッフの集合写真がありました。まったく紹介はされてなかったのですけど、風貌から真ん中のかたは絶対竹鶴さんですよね。ニッカの余市の博物館では、わりあいおおらかにサントリー時代のことも紹介してたのですけど、サントリーはそのあたりは厳格なのかしら?。
さて、勉強が終わると、いよいよ。我々も天使の分け前をいただきます。
試飲コーナーです。寿屋のウイスキーケースが並んでいます。
今日試飲できるのは、山崎と白州です。飲み比べると、なるほどガイドさんに教えていただいた通り、テイストが違います。白州のほうがスモーキーです。今度は白州蒸留所に行ってみよう。
おつまみは、ショップで買えます。チョコが美味いです。
無料の試飲はここまでなんですけど、エントランスホールで、有料で原酒や他のブレンド、海外のウイスキーをいただくことができます。友達ご夫婦とチャレンジすることにしました。ご主人はシェリーの原酒。自分はチャレンジして、アルコール度数40のニューポット。つまり今年仕込んだ新原酒をいただくことにしました。透明なほうがニューポットです。マッサンも言ってましたけど、熟成の期間で、飲み易くなっていくのだそうです。恐るおそる飲んだら、これがなんと、けっこういけますw。ちょっと強い麦焼酎のような香りとテイストです。考えてみれば焼酎も同じ蒸留酒ですし、材料が同じ(厳密にはモルトウイスキーは二条大麦ですけど)ですから。僕らの見学パーティに外国からのお客さんがひとりいらっしゃって、有料試飲のコーナーでひとりで飲んでらっしゃいました。友達ご夫婦の奥様がチャレンジャーでして、異国にぽつんを見かねて声をおかけしたら、なんとスコットランドから一人旅で来たかたなんだそうです。ちなみに友達は英国に留学されていたそうです。自分は残念ながら語学はぜんぜんダメで、それでも3人の話を聞いてるとなんとなくわかって面白かったです。日本のリアルを知りたくて旅をされているそうで、だから京都とか奈良みたいな観光地ではなく、普通に日本人が生活しているところを見たいんだそうです。それはなかなか難しいやろーと思いつつも、自分もアウェイ旅に出ると、できるだけ現地の空気を感じたいと思って、そういう旅をするので気持ちがすごくわかりました。
先日、友達にバーに連れていってもらって、はじめてスコッチをいただきました。噂通り、香りは薬のようです。でも口にふくむとぜんぜん違います。複雑な香りが口のなかに広がって、めちゃくちゃ美味しかったです。これがマッサンが愛したピートの香りがするウイスキーなのかと思いました。山崎のガイドさんに教えていただいたのですけど、サントリーのウイスキーは、日本人の味覚に合うようにもともと何かで割ることを前提に作られているのだそうです。このあたり、鴨居の大将のコンセプトが本物の鳥井さんのコンセプトそのものなんだとわかりますし、それが今でも受け継がれているんだなって実感できます。凄いことです。つくづくウイスキー作りというのは、作り人が飲み人に届けるおもてなしの心を時間を越えて受け継いで行く仕事なんだなって実感できました。いまの時代は、栄枯盛衰の激しい作られては消えることの多い消費時代ですけど、それでも人間そのものは有史から何も変わってないんだよっていう、そんなとてもベーシックなことをウイスキーはあらためて僕らに教えてくれているような、そんな気持ちになることができました。マッサンの山崎編の放送が楽しみです。次は改装が終わってからじっくり見学したいと思います。