気ままに

大船での気ままな生活日誌

”加藤久仁生展" 八王子市夢美術館

2012-03-05 10:37:25 | Weblog
八王子市夢美術館で開催されている”加藤久仁生展"を観てきた。会場内では加藤久仁生の、12分の短編アニメ”つみきのいえ”が上映されている。2009年に米国アカデミー賞短編アニメーション賞を獲得したものだが、ペーソスあふれるすばらしい作品だと思った。おおよそのストーリーはこうである。その街ははじめ海辺にあった。老人の家もかっては平屋の一軒屋だった。それが年を経るごとに海の水が陸地に入り込んできて、二階、三階、四階と家を積み木のように継ぎ足していかなければならなくなった。一人住まいの老人がある朝、目を覚ますと床に海の水が入り込んでいた。また、積み木の部屋を継ぎ足さねばならない。老人はその仕事をはじめる。そしてそのとき、愛用のパイプを、魚を釣るための床の穴から落としてしまう。老人はパイプを取り戻そうと、潜水服をきて、その穴から海中にもぐる。そのとき、過去の思い出のシーンが老人の目に次々と浮かんでくる。

はじめの階では、ベットで最後の別れをする妻の姿が。そして次の階では娘が恋人を家に連れてくる場面、そのまた下の階では、大きくなった娘が家から船に乗り込むところ、そして、娘が生まれた頃、と時代をさかのぼっていく。一番下の階では、奥さんと結婚したばかりの頃のこと。外には大きな木があって、ふたりはその木の下で将来を誓い合った、そんなシーンの数々。平屋時代の部屋の片隅に奥さんのワイングラスが転がっているのに気付いた。老人は、パイプとこのグラスを持ち帰った。新しいつみきの部屋もでき、思い出の写真がいっぱい飾られている部屋で、老人はワインで静かに乾杯する、もちろん、奥さんのグラスにもワインは注がれていた。

このアニメ制作にあたっては、1万枚以上の絵が必要でアニメーターの協力を得たが、背景画だけは、すべて、加藤久仁生自身が作成したという。作品の中に一貫して漂う”色”がアニメの世界観を表現する上で極めて重要と考えているからだそうだ。たしかに、重厚で、悲しみのちょっと手前の静けさ、そんな感じがよく出ていたと思う。

展覧会では、その制作にかかわる、スケッチ、絵コンテ、動画などが展示されているほか、同名のベストセラー絵本の原画もたくさん観られる。もちろん絵本も置いてあり、アニメより若干詳しいストリーがわかるようになっている。また、現在も絵本雑誌に連載中という”あとがき”の原画も多数、展示されている。

”つみきのいえ”はアニメの老人だけの家ではない。誰もが住んでいる家である。ぼくだってもうすぐ、その歳になる。”カーネーション”の糸子さんも、一気に72歳になりました。”つみきのいえ”同様、思い出の写真がいっぱい飾ってありましたね。

。。。。。

ちらし。海に沈む”つみきのいえ”



一人暮らしの老人の部屋。思い出の写真がいっぱい飾られている。アニメの世界観を表す色。



今日の糸子さんは72歳になっていた。夏木まりさん、うまくつないでいたように思う。思い出の写真がいっぱい。





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