京男雑記帳

洛中で生まれ育った京男が地元視点で見た日常風景や話を雑記的に掲載

蚊→蝙蝠→スープ問題

2014年09月06日 05時12分50秒 | その他
昨日の記事のコメントのご返事で書こうと思ったけど、記述が長くなるので単独の記事として書いておきます。


↑『華味三昧――中国料理の文化と歴史』講談社刊(1981)より。実家にある京男の書庫には、この手の本がいっぱいあります。昔、良い本がいっぱい出版せれていました。食に関する民俗学的考察に興味を持っていた時代の資料。

中国の四川料理に「蚊の目玉のスープ」というのが出てくるのですが、これは都市伝説的なものなんだろうか・・・それとも本当にあるのだろうか?
結論は、あるような、ないようなということです。

蚊の目玉の採取法は、蝙蝠が蚊を餌として食べる。消化できない蚊の目玉の部分を蝙蝠の糞から取り出し、スープにする。
目玉だけ消化できないというのは、ちょっと不自然でありそうにない。
もっと調べるとどうやら小エビの目玉を使ったスープらしい。
ここまでの話しだと「ない」という結論になります。


↑このイラスト蚊じゃないかもね(笑)

ところが蝙蝠という観点から見るとあり得るのです。
西洋で、蝙蝠というと吸血する不吉な象徴として扱われている。それに対して中国では、「蝙蝠」という語の発音が「福が偏り来る」という意味の「偏福」 に通じるため、幸運の象徴とされている。
清の時代に編まれた『本草備要』という漢方の本の中に「夜明砂」というのが出てくる。簡単にいうと蝙蝠の糞なんです。
それが薬になると記されている。
殆どの蝙蝠は夜に飛びます。つまり「目」がいい「夜盲症に効果がある」になったらしい。ならなにも糞から蚊の目玉をとって食べるより、蝙蝠の目玉をスープとして使えばいいのに・・・。
話しは、それますが1989年ぐらいに、漢方薬の専門家の本を作るため、色々取材したことがあります。一番びっくりしたのが10歳までの男の子の尿に薬効があるという話しでした。そういう趣味の世界じゃなく漢方の世界の話しなんです。
この卵「童子蛋」は同市で数百年も続く伝統食で、男子の尿でゆでた卵の殻にひびを入れ、
さらに煮込んで1日がかりで作られる。特に10歳以下の男子の尿が好まれるという。あの時、我が家の男の子がいたので妙にリアルだった。
糖尿病の人の尿ならデザートになるのかな・・・(変なことを書いてすんません)


↑『華味三昧――中国料理の文化と歴史』講談社刊より

話しを蝙蝠の糞の話しに戻します。
「夜明砂」を使ったスープがあるのです。
名前は「夜明谷精湯」作り方は、
・材料 夜明砂6グラム、羊の肝臓50グラム、谷精草6グラム、刻みネギ5つかみ、塩、コンソメスープ適量、味の素1グラム
・作り方 羊の肝臓を刻んでおく。鍋を火にかけ、スープ、夜明砂、谷精草を入れ、10数分煮込み、薬剤を取り去る。スープに羊の肝臓、ネギ、塩を入れ、十分煮込む。味の素で味を調える。
よかったらお作りください。(笑)

普通に考えたら、蝙蝠の糞はサーズの感染源になる可能性があるから、お勧めはしません。自己責任ということでお作りください。

以上昨日の補足でした。

和菓子
中村 肇
河出書房新社

↑これから暫くの間、京男の和菓子本のお知らせをさせてもらいます。説明は1月27日の記事をご覧ください。(色のかわっている部分をクリックすると表示されます)

Twitter→@kyo_otoko
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする