まさかの敷地内診療所の運命はいかに?
今回の調剤報酬改定で中小薬局にとっての命取りは、何といっても敷地内診療所における「特別調剤基本料」の9点ではないだろうか。
いろいろな薬局から当社に問い合わせがくる。
普段あまりお付き合いがない薬局から問い合わせが来ると、どこにある薬局か調べるところから始まる。
いつも言っているが、当社は厚生労働省でも厚生局でもない。
3月5日の報酬改定説明会を待つしかない。
田舎に行けば行くほどこの問題は大きい。
当社の関係先にも僻地の診療所のマンツーマン薬局がある。
薬局の立地は土地も建物も診療所から賃貸している。
集中率は90%をはるかに超えている。
何といっても近隣には薬局がない。
1日60枚ほどの処方箋に対応している。
昼も夜もなく働いているので「地域支援体制加算」も算定している。
意外にも頼りにされている薬局なのだ。
もし、この薬局が「特別調剤基本料」の9点になったら、42点の現「調剤基本料」から33点のマイナスとなる。
それだけではない「地域支援体制加算」(新38点)もなくなる。
合わせると71点のマイナスである。
60人からの患者を抱えているので71点×60人は、1日に42,600円のマイナスになる。
これが1ヶ月平均稼働日23日とすると979,800円となる。
さらに1年分になると11,757,600円となる。
この薬局の経営は成り立つのだろうか。
こんなケースは珍しくはない。
地方に行くと土地の価格は安い。
医療機関は駐車場のために広い土地を確保している。
その一角に薬局があっても不思議ではない。
高齢者が多い地方では敷地内に薬局がある方が便利である。
いろいろ調べてみると2018年に病院に限って不動産取引等の「特別調剤基本料」が登場している。
その時の課長通知では賃貸借関係はもちろんであるが、「平成28年10月1日以降に病院である医療機関が譲り渡した不動産を利用して開局した場合に適用することとし、譲り受けたものが更に別の者に譲り渡した場合を含め、譲り受けた者にかかわらず適用する」としている。
第三者によるまた貸しもダメとなる。
なかなか逃げ場がない。
さて、同じ条件が、今回の診療所にも当てはまるのか。
そうなった時の影響の大きさはどうなるのか。
病院の「特別調剤基本料」では除外として離島・へき地特例があったが、今回はどうなるのかはいまだ謎である。
医薬品卸は「特別調剤基本料」の適用になった中小薬局の倒産が気になるようだ。