面倒な問題が浮上している。
薬局の「在宅患者訪問薬剤管理指導料」の算定要件に、医師会側から問題提起が起きている。
薬局の薬剤師が行う「在宅患者訪問薬剤管理指導料」及び「居宅療養管理指導費」の算定要件が甘いということらしい。
これを報じているのはRIS FAXである。
なかなか鋭い記事である。
厚生労働省からの関連通知によると「在宅での療養を行っている患者であって、通院が困難なもの」が対象になっている。
この「通院が困難なもの」について、薬局での在宅対象患者は「ひとりでは通院が困難な」として、医療機関への外来患者であっても、一人では通院が困難な患者を算定対象として扱っている。
例えば、通院に付き添いが必要な患者や認知症などである。
ところが医療機関の在宅診療の対象患者は、あくまでも外来では対応できない患者が対象となっている。
外来と在宅診療の併診は認められていないかもしれない。
医科の診療報酬には疎いのでわからない。
確かに、この問題はかなり前から私も疑問に思っており、ネットで「通院が困難なもの」を調べている。
その結果、出会ったのが徳島県薬剤師会から出されている「保険薬剤師の在宅患者訪問薬剤管理指導の実施について」である。
発効日は2008年10月となっている。
そこに「通院が困難なもの」について、明確な定義ではないものの以下のように考えるのが妥当として示されている。
1)在宅診療および往診を受けている者:医師の在宅診療や往診を受けている者。
2)自立した通院のできない者:寝たきりの状態、自立歩行困難、認知症などにより一人では通院が困難な者。単に交通手段がないなどのケースは明らかに範疇外である。
3)介護認定を受けている者:要支援、要介護の如何に関わらず介護認定を受けている者。介護認定審査を経て認定された方は、自立性に乏しく何らかの介助を必要としているのである。ただし、この場合は全て居宅療養管理指導費として請求を行う。
可能な限り調べたが、これ以上の定義は出てこなかった。
逆に言うと、これだけ薬剤師による在宅訪問が叫ばれているにもかかわらず、明確に「通院が困難なもの」に対する定義がなかったことの方が不自然である。
日医執行部は医科診療報酬の「在宅患者訪問診療料(1)」では「少なくとも独歩で家族・介助者らの助けを借りずに通院ができる患者は対象にならない」として薬局の算定要件の甘さを指摘している。
これに対して厚生労働省も動きを見せているようだ。
これに対して、日本薬剤師会などが対抗できる理論武装が必要である。
このまま押し切られるとかなりの痛手となりかねない。
基本的に薬局の在宅服薬管理は住居内にある薬の管理状態である。
医療機関の在宅診療とは意味合いが異なる。
ここを上手に説明しないとヤバイことになる。
さてどうなるのか。
このスクープはかなりインパクトがある。