医療・介護を支える継続企業の知恵袋

毎日ブログを書き続け10年が過ぎました。2025年、2042年に向けた医療介護の厳しい時代を乗り切る策を考えます。

更新不能

2023-09-30 04:08:02 | 薬局
この後始末はどうなるのだろうか。

厚生労働省は9月25日に「認定薬局」の更新をしている。
薬局の多くは「認定薬局」などには興味がないかもしれない。
7月末から8月末までの1月で「地域連携薬局」は全国で7軒増の3,883軒、「専門医療機関連携薬局」は1軒増の167軒となった。
これから増える見込みはあるのだろうか。
医薬品医療機器等法(薬機法)の改正によって2021年8月から申請が始まって2年が経過している。
正直なところ、この認定薬局に国は何を期待したのだろうか。
全薬局のたった6%ほどの「地域連携薬局」に課された役割は何なのか
薬剤師として、もっと真剣にその意義を考える必要があるように思う。
単に、国の政策上の失敗に終わらせてはいけない。
薬剤師の職能そのものにかかわる重要案件じゃないかと思う。

「健康サポート薬局」も忘れてはいけない。
こちらは厚生労働省もあきらめたかのように、今年の3月から公表すらなくなっている。
3月末時点で3,077軒と存在が薄い。
こちらも厚生労働省は何を期待した制度なのか。

「健康サポート薬局」は地域の未病などに対するセルフメディケーションを支える機能と認識している。
私はビフォアケアーを担う役割と説明している。
従って、健康相談やOTC薬の充実などが欠かせない。
基本的に病気になる前のサポートなので診療報酬にはなじまない。
「地域連携薬局」は地域包括ケアシステムの担い手として、地域の核になるべく要素が求められる。
前回の中医協では地域のハブ薬局の必要性が審議された。
その際に「地域連携薬局」の利活用の話が出たが、地域の連携を担うのは地域の薬剤師会がやることになった。
なぜなら地域の薬剤師会の薬局に「地域連携薬局」が少ないためじゃないだろうか。
ただここは譲れないプライドが邪魔をする。
「地域連携薬局」は地域で療養している患者への支援が大きな役割となっているように思う。
従って、アフターケアを担う機能が要件となる。
こちらは患者へのケアになるので調剤報酬上の評価がついてくる。
その調剤報酬上の評価が「地域支援体制加算」に相当する。
「地域支援体制加算」には「地域連携薬局」が担って欲しい実績要件が盛り込まれている。

ここまで期待に応えてくれない職能団体へはムチを持って応えるしかない。
先ずは「健康サポート薬局」に関しては「健康サポート機能」を評価する。
どこが担うかというとドラッグストアへとなる。
どんな形になるのかはわからないが調剤併設ドラッグストアは生き残る仕組みを国が入れてくるだろう。
次に「地域連携薬局」の要件変更は法改正などが必要になりそうなので、調剤報酬改定で「地域支援体制加算」に、より「地域連携薬局」寄りの要件で迫って来る。

以上が「患者のための薬局ビジョン」に示されている2025年には「すべての薬局が…」につながっていく。

分かったか!

あら!
9月も終わっちゃうじゃない。
明日からは何だかいろいろ変わるようだ。


















「健康サポート薬局」も忘れてはいけない。
こちらは厚生労働省もあきらめたかのように、今年の3月から公表すらなくなっている。
3月末時点で3,077軒と存在が薄い。
こちらも厚生労働省は何を期待した制度なのか。

「健康サポート薬局」は地域の未病などに対するセルフメディケーションを支える機能と認識している。
私はビフォアケアーを担う役割と説明している。
従って、健康相談やOTC薬の充実などが欠かせない。
基本的に病気になる前のサポートなので診療報酬にはなじまない。
「地域連携薬局」は地域包括ケアシステムの担い手として、地域の核になるべく要素が求められる。
前回の中医協では地域のハブ薬局の必要性が審議された。
その際に「地域連携薬局」の利活用の話が出たが、地域の連携を担うのは地域の薬剤師会がやることになった。
なぜなら地域の薬剤師会の薬局に「地域連携薬局」が少ないためじゃないだろうか。
ただここは譲れないプライドが邪魔をする。
「地域連携薬局」は地域で療養している患者への支援が大きな役割となっているように思う。
従って、アフターケアを担う機能が要件となる。
こちらは患者へのケアになるので調剤報酬上の評価がついてくる。
その調剤報酬上の評価が「地域支援体制加算」に相当する。
「地域支援体制加算」には「地域連携薬局」が担って欲しい実績要件が盛り込まれている。

ここまで期待に応えてくれない職能団体へはムチを持って応えるしかない。
先ずは「健康サポート薬局」に関しては「健康サポート機能」を評価する。
どこが担うかというとドラッグストアへとなる。
どんな形になるのかはわからないが調剤併設ドラッグストアは生き残る仕組みを国が入れてくるだろう。
次に「地域連携薬局」の要件変更は法改正などが必要になりそうなので、調剤報酬改定で「地域支援体制加算」に、より「地域連携薬局」寄りの要件で迫って来る。

以上が「患者のための薬局ビジョン」に示されている2025年には「すべての薬局が…」につながっていく。

分かったか!
コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

しわよせ

2023-09-29 04:49:16 | 薬局
ひさかたぶりのマイナスもあり得るのか。

いよいよ来年度の予算審議が本格的に始まった。
27日には財務省の諮問会議である財政制度等審議会が開催された。
12月の予算成立に向けたたたき台を答申する。

3年も続いたコロナ禍は、年間の国家予算に相当する補正予算を生んでいる。
コロナ禍前の2019年度までの5年間は、補正予算の規模が1.7~3.6兆円だったが、20年度には3回で合計73兆円、21年度では36兆円、さらに22年度は31兆円となった。
東日本大震災の時でも10兆円程度だった。
コロナ禍の3年間の合計は140兆円にもなる。
因みに、来年度の国家予算の概算要求は約114兆円である。
どこから財源が出てくるのか“不思議の国の岸田さん”である。

そんな厳しい国家財政でも社会保障費には自然増がある。
他を削ってでも増やしてもらわないと制度として成り立たない。
今回の審議会の資料の中に、2012年から2021年の10年間の医療・介護に係る保険給付の伸び率が+2.8%とある。
それに対比して雇用者報酬の伸び率が+1.8%が並んでいる。
伸び率の不足分を補っているのが保険料率の引き上げだそうだ。
見えないところでの負担が増えている。
この状態が続くと保険制度自体の継続が危ぶまれる。

と言うことで医療費と介護費は来年の改定に向けて大幅に見直しが入ることになる。
ただ、介護においては事業の持続に対する危機的状況が迫っている。
それが人手不足だ。
近年ではコロナ禍も影響して介護事業者の倒産も増えている。
業務の割に報酬が少ない。
なり手がいない。
海外からの研修生は円安で日本に魅力を感じていない。

そこで介護報酬においてはあまり厳しい改定が出来ないのではないだろうか。
そうなると残りは医療となる。
歯科の診療報酬は比重として小さいので抑制効果がないに等しい。

先ずは、何だかんだと安易に引き下げが可能な薬価が引き下げとなる。
先日のブログにも書いたが高額医薬品が陣取り合戦を始めている。
はじけた医薬品はスイッチOTC薬として処方箋は出るが自費になることも考えられる。
それなら直接買った方がいいとなる。
どこで買うかと言うとドラッグストアのポイント2倍だか3倍に流れる。

診療報酬の本体はどうなるのかと言うと、ここは力関係がものを言う。
力は献金の額になる。
いくらとは言わないが“うんとでい”の差があるようだ。

そう言えば厚生労働大臣は”喧嘩太郎”の三男坊らしい。
コメント (4)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カタカナ使用禁止

2023-09-28 03:25:42 | 薬局
聞きなれない業界用語は通じない。

先日行われた東京でのHSEセミナーに介護関係の内容があった。
講師は介護業界で長年情報発信しているメディアの社長である。
話の中で、これから国が力を入れる介護サービスとして”ショウタキ“と”カンタキ”があると説明する。
さて皆さんは、この“ショウタキ”と”カンタキ”とは、どのようなサービスかわかるだろうか。

何時もの話になるが2025年は「地域包括ケアシステム」の出来上がりであり、次に向けた始まりでもある。
このシステムの大きなテーマは住み慣れた地域で最後まで生活できることにある。
そのためには高齢者施設への入所ではなく、現在住んでいる自宅での療養生活の維持が出来る仕組みが大切になる。
85歳を超えた高齢者の約6割は介護認定を受けている。
さらに何かしらの治療も必要になっている。
それらを支えるのが「在宅サービス」と言われる支援となる。

医療では診療所や200床未満の病院が「在宅療養支援診療所(病院)」の届出をして、訪問診療や往診を行う。
それらを含めて総合的な管理を「在宅時医学総合管理料」となる。
もちろん高齢者施設にも同様の診療報酬がある。
介護では介護支援専門員(ケアマネジャー)が利用者の個々に合わせた介護サービスプランを組み立てる。
いわゆるケアプランである。

今回の”ショウタキ“とは介護サービスの1つで、正式には「小規模多機能型居宅介護」という。
ここでは「通い(デイサービス)」「訪問(ホームヘルプ)」「宿泊(ショートステイ)」を1つの事業所で受けられるのが特徴となっている。
しかもスタッフは同じなのでサービスごとに、異なるサービス施設になることがない。
顔なじみのスタッフからのサービスが受けられる安心感がある。
費用は1ヶ月の定額制となっており、何度でも自分の都合に合わせて利用できる。
ある面では在宅療養する上でのサブスクリプションみたいな感じである。

因みに、小規模多機能型居宅介護は事業所の登録定員は29名以下で、「通い」の利用定員は登録定員の2分の1~15名の範囲内(一定 の要件を満たす場合は最大18 名)、「泊まり」の利用定員は通いの利用定員の3分の1~9名の範囲となっている。

次に“カンタキ”であるが「看護小規模多機能型居宅介護」の略称である。
在宅療養者の医療度の重症化を支援するために看護サービスが加わり「複合型サービス」として2015年から始まっている。

なぜ”ショウタキ“や”カンタキ“に国がシフトさせようとしているのかは、介護事業の人財不足からのようだ。
従来のようにデイサービス、ホームヘルパー、ショートステイなど別々な施設での取組から統合することによる効率化があるようだ。
これもある面での介護報酬の抑制の一環かもしれない。

この他にも“タンカイ”“サタン”なども…これは知っているのかな?
では“ダイアベティス”って何だかわかる?
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

かけがえのない命

2023-09-27 03:39:17 | 薬局
限られたパイの奪い合いの勝者は誰になる。

アルツハイマー病の新しい治療薬「レカネマブ(商品名レケンビ)」の国内での製造販売が25日に承認された。
これにより薬価は原則60日以内、遅くとも90日以内に決まる見込みだそうだ。
因みに米国では年間26,500ドル(約390万円)に設定されている。
対象者は認知症の症状が出始めた初期段階や、認知症に移行する軽度認知障害(MCI)の患者となる。
微妙に出始めや移行する状態などは難しい診断である。
2020年段階で認知症の患者は約600万人いると言われており、2060年には1,150万人になるとの予測がある。
飛んでもない市場になる可能性がある。

高額医薬品はこれだけではない。
2022年度のレセプトから見ていくと1カ月の医療費の最高額は1億7,784万円だそうだ。
上位100件のうち1億円を超えたのは9件もある。
脊髄性筋委縮症で1患者当りの薬価が約1億6,708万円の「ゾルゲンスマ点滴静注」による。
つい最近までは血友病が上位を占めていたが、新薬の開発によって大幅に上位構成が変わっている。
1患者当り約3,000万円を超える高額医薬品(キムリア点滴静注、ブレヤンジ静注、イエスカルタ点滴静注)が薬価収載されている。
これらの高額医薬品の薬価収載により1,000万円を超えるレセプト件数は大幅に伸びている。
2014年に300件だったのが2022年には1,792件と6倍近い伸びを示している。

医療費は必然的に伸びる構造になっている。
高齢者の増加、医療技術の進歩、高額医薬品の開発など、どれをとっても人の命には代えられない。
医薬品だけを見ても限られたパイが高額医薬品で凌駕されつつある。
発症率の低い疾患に限定された高額医薬品ならある程度の限度がある。
ところが今回承認されたアルツハイマー治療薬は患者数が超高齢化と共に増え続ける。
そうなると奪われるパイが犠牲になる。
表現が悪いが、命にかかわる高額医薬品の薬価収載は、軽度な医療の自助で賄うしかない。
それは薬価の引き下げなのか、それとも薬価から外されるのか。
薬価の引き下げは既に物流に弊害が出始めている。
そうなると薬価からの除外となる可能性がある。
ひょっとしてスイッチOTC化が進むのだろうか。
厚生労働省の役人が薬局に一般用医薬品の販売を進めているような気がする。

本日は中医協の開催がある。
現時点では議題はこれからである。
薬局関係が出るのか、出ないのか。

何が起きるかわからない世の中である。
コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

どうなってんの?

2023-09-26 04:50:36 | 薬局
何だか金持ちに踊らされているようで嘆かわしい。

2023年度の薬学系大学の現状が公表された。
先ずは、嘆かわしいことにストレート合格率が日本薬科大で18.8%だそうだ。
これって異常じゃない。
難しいってことだろうか。
難しいのは6年間で卒業することなのか、その後の国家試験に合格することなのか。

因みに、私が持っている中小企業診断士の1次試験合格率は29%、2次試験は18~19%である。
合わせると5.5%程度になる。
今は試験の在り方が変わったが、私の時は1次試験が14%、2次試験も14%だったと記憶する。
さらに宅地建物取引士の合格率は17%である。
それに匹敵するくらい薬剤師の道は困難を極めるのか。

日本薬科大に続くのが姫路独協大(20.5%)、第一薬科大(25.4%)、千葉科学大(27.2%)だそうだ。
この狭き門を潜り抜けてきた学生にはエールを送りたい。
驚くのはこれだけじゃない。
千葉科学大では定員が100人に対し110人が受験したそうだ。
そのいずれも合格になり、実際に入学したのは36人と聞いて驚く。
以前何かで見たが、この大学の入学試験は面接だけだったなんて…噂だけだと思うけど。
ついでに驚くのは姫路獨協大では定員が60人に対して31人が受験し、もちろん全員合格となった。
ところが合格となって入学したのは5人だそうだ。
こうなると離島かへき地の小学校なみである。
濃厚な授業が期待される。

子供の数が急速に減少している。
結果として学生数も減少している。
大学などは学生の奪い合いが始まっている。
ともかく入学定員を満たさないと大学運営が成り立たない。
薬学系大学でも同じ傾向にある。
全国に60ある薬学系大学の32校が入学定員を割っているそうだ。
それにもかかわらず薬剤師が不足だからと薬学系大学の新設がある。
明らかに将来は過剰になることが見えている。

今のままのスキルで仕事が見つかるのか。
今だから磨けるスキルがあるんじゃないだろうか。

”アリとキリギリス“を思い出す。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今どき銭単位の無意味

2023-09-25 04:44:06 | 薬局
物価上昇にも関わらずモノの値段が定額では問屋が卸さない。

9月20日に中医協の薬価専門部会が開催された。
その中で医薬品卸から出た悲痛な訴えを聞いて欲しい。

過去4年間の平均市場伸長率が+0.6%しかない。
昨年(2022年度)の薬価改定率は-6.69%と底なし状態が毎年続く。
出荷調整に費やする総労働時間割合は19%で、年間人件費換算で548億円相当にもなる。
その負担のせいか若年層の人材の流出(離職)がはなはだしい。
過去1年間に転職を検討した職員割合は55%に上る。
新規採用の応募者が減少したと認識した会社は76%だそうだ。
諸物価高騰は+3.1%で人件費への影響が大きい。
物流コストの上昇と2024年から始まる労働時間制限(960時間問題)への対応を迫られる。

さらに嘆きは続く。
医療用医薬品市場においては、薬価20円未満品の品目数(包装単位別)が49%を占め、金額(薬価ベース)では10%を占めている。
これは薬価が20円として100錠包装だと2,000円である。
それを「至急配達」で運ばせる非人情な薬局はないと思うがあるかもしれない。
因みに、薬価が10円未満だと包装品目数20%、金額では4%になる。
限定出荷状況を2023年度の単位薬価帯(10円単位)別にみると、10円未満の限定出荷数量(59.9%)が多く、 後発医薬品では10円以上~20円未満の限定出荷数量が86.2%にもなる。
この中に新型コロナ禍で不足した解熱鎮痛剤や鎮咳去痰剤も含まれるというから、まさかの「至急配達」の要請があったかもしれない。
急ぐなら自分で取りに行けよって…私なら思う。

ガソリン価格が高騰している。
ゼロ金利政策の後遺症なのか円安も続いている。
いつ終わるとも出口が見えないウクライナ侵攻は続く。
中国はなぜかしら機嫌が悪い。
人口減少に伴い人手不足が本格的になる。
肝心の首相の心は日本にあらず外遊に忙しい。

医薬品卸の悲痛な願いは、せめて薬価20円未満の医薬品の薬価引き上げである。
そんなことをお願いしたら、売り方が悪いからだと返り討ちに合う。
言い訳のしようもない。

売り方を変えなきゃと言い続けているが”背に腹は代えられぬ”なのか、自腹を切ってでも売るしかない。
それでも”寄らば大樹”なのか“長い物には巻かれよ”なのか。
大樹は雷に弱い。
巻かれると動きが取れなくなる。
”大きいことはいいことだ”って神話は通用しない。

医薬品卸は漁業を見習ってはどうだろうか。
“取る漁業から育てる漁業”である。
小魚は生きる力が濃縮されている。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新型氷河期の到来 

2023-09-24 03:54:20 | 薬局
準備が良ければチャンスは2度やって来る

2024年度は4月に薬価が改定になり、6月には診療報酬(調剤報酬)が改定になる。
何だか紛らわしいことになる。
ただ考えようによっては調剤報酬のベースアップが2回めぐってくることになる。
紛らわしさを味方につける。

先ずは4月の薬価改定であるが、製薬業界も医薬品卸業界も引き下げには反対だが、どう考えても財源的に引き下げは必然的である。
しかもそれなりにインパクトがある引き下げと覚悟した方がいい。
社会保障費の自然増分に対する安易な埋め合わせだ。

薬価が売上の7割を占める薬局にとって薬価引き下げは大ダメージである。
10%の引き下げは売上全体の7%に匹敵する。
売上が7%下がるってことは1日100人の患者が来ていたら、同じ売り上げを維持するには107人必要になる。
この107人が毎日である。
神がかったマーケティングでもない限り無理だ。

しかし考えようによってはチャンスかもしれない。
普段算定できていない在宅患者の「居宅療養管理指導費」の算定が可能になるかもしれない。
利用者負担は今までと同じなら、それなりに納得してくれるのではないだろうか。
ただし、ここで日ごろの訪問活動の評価が問われる。

次に、調剤報酬での取り組みにもチャンスが訪れる。
先ずは「かかりつけ薬剤師指導料」の算定開始である。
同意書などの下準備を済ませて、薬価引き下げに合わせて算定開始とする。
もちろん患者の同意は当たり前だ。
ここでも日頃の患者対応に評価が分かれる。

6月からは患者全員から算定できる「地域支援体制加算」や、どうなるのかわからないが「後発医薬品調剤体制加算」などがある。
ここは「仕組みが変わって患者負担も変わりました」となる。

ある厚生労働省の役人が診療報酬改定の後ろ倒しによって、次の戦略を立てる時間になると言っている。
診療報酬の2022年のスケジュールを振り返ると1月26日に短冊が出て、2月9日に中医協から答申が出た。
6月からの改定は、ある面で今は実績つくりのギリギリのタイミングじゃないかと思う。
戦略はもっと早くに作っておかないと6月からの果実の収穫には間に合わないかもしれない。

ところで、来年から調剤報酬が変わるってことを知っているんだろうか。
あまりにも呑気じゃないか。
水面下で動いているのは大手調剤チェーンとドラッグストアだけかもしれない。

氷河期が来て生き残ったのは大型恐竜だけの新時代がやってきそうだ。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

塀の敷地内

2023-09-23 04:14:48 | 薬局
不正で成りたっても継続が可能なら、やったもん勝ちになる。

札幌の病院の敷地内獲得を巡る入札妨害事件は21日に関係者の起訴が決まったようだ。
公契約関係競争等妨害罪になる。
病院が公的だったから犯罪になるのか。
私的病院だったら問題ないのかは私にはわからない。

以前にも書いたが、そもそもの公募の仕方にも問題があったと聞いている。
公募と言いながらもほとんどわからない状態の院内掲示だったとのうわさもある。
そうなると事前に何らかのやり取りがあったと疑われる。
今のところ金銭のやり取りは出ていないようだが、今後の捜査がどうなるのか気になるところだ。
病院関係者にどんなメリットがあって、こっそり教えちゃったのか。
高校の野球部の先輩、後輩の関係だったらしいが、それだけで教えちゃうものだろうか。

今回の薬局側の主犯は子会社とはいえ代表取締役社長と取締役だ。
しかも社長は親会社の常務取締役にもなっている。
その親会社が知らなかったというから風通しの悪い会社である。
ま、”知らぬが仏”ってことわざもある。

まだ正式に裁判の結果が出たわけではないが、気になるのは不正で勝ち取った薬局の存在である。
このまま薬局としての運営が許されるのだろうか。
それとも薬局の許可と場所の獲得にかかわる不正は別物とみなされるのか。
何とも今後の行方が気になる。

敷地内に関しては病院側も敏感になってきたようだ。
ある病院では敷地内公募を取り下げたそうだ。
“瓜田に靴を履かず、李下に冠を正さず”ってことだろうか。
他にも建築基準法の手続きに不備があったとして、決まっていたプロポーザルを見直す病院も出てきた。
大げさな理由を掲げているが法的な不備なら仕方がない。
薬局側も従来のように競って敷地内の獲得競争は避ける傾向が出てきた。
やっと敷地内薬局が将来的に有望ではないと気付いたようだ。
あれだけ私が言っていたじゃない!

敷地内薬局のせいかどうかは定かではないが、新潟の門前薬局が倒産したそうだ。
病院周辺の薬局の乱立に加えて敷地内薬局が出来たのが致命傷になったとか。
基本的に読みの甘さだと思うが、確かに敷地内薬局が出来ると門前薬局への影響は大きい。
かつてある厚生労働大臣が「門前の景色を変える」が現実化しつつある。

ところで、やっぱり気になる。
どんな手を使っても出来ちゃった薬局の運営には関係ないのか。
儲ける人は儲かる仕組みが付いてくるようだ。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

がっかりのツケ

2023-09-22 04:33:23 | 薬局
やって欲しかったことが出来ないとじゃまになる。

医薬分業は薬剤師にとって長年の悲願だった。
そんな思いが通じたのか1974年に処方箋料が10点から50点に引き上げられた。
この時の日本薬剤師会の頑張りは大いに評価されると思う。
ただ、実際には医師が自前で薬を出すことによる”薬漬け医療”の問題解消も大きな要因だったと思う。
医師から薬を引き離す初めの一歩じゃなかっただろうか。

要は、医薬分業に課された大きな役割は薬を減らすことにあったように思う。
ところが50年近く経過して実際に薬は減ったのかと言うと疑問符が付く。
薬局の薬を減らす努力が感じられず、医師の処方箋に対する下請け業者のような対応が今でも続いている。
例えば調剤報酬における「服用薬剤調整支援料」の算定の少なさが物語っている。
明らかに期待外れだったと厚生労働省も感じている。
そして、このまま医薬分業へのインセンティブを続ける意味がないことに気づいている。

さらに2015年に出された「患者のための薬局ビジョン」に対しても動いてくれないもどかしさがある。
言うのも疲れたが「健康サポート薬局」も「地域連携薬局」にも組織的な動きがない。
出来ない理由を並べても意味がない。
要件を決めたのは自分たちじゃないかと言われちゃう。
そもそも薬剤師会の幹部の薬局がどれだけ「健康サポート薬局」や「地域連携薬局」になっているだろうか。
日本薬剤師会は調査して学術大会にでも発表すべきじゃないだろうか。

厚生労働省の”がっかり”は他にもある。
それが2025年までに体制整備が急がれる「地域包括ケアシステム」の仕上げである。
このシステムに欠かせないのが薬局による在宅薬剤訪問管理である。
こちらも調剤報酬等で呼び掛けても6万軒の半分しか動いていない。
そこで出てきたのが「対物業務から対人業務へ」である。
これは単に外来処方箋に対する「対人」ばかりじゃなく、在宅訪問にも「対人」が期待されている。

そんなこんなにもかかわらず、薬剤師の職能発揮を誘導する組織団体はない。
しいて言うなら収益性の確保から薬局業態団体としての組織に所属の会社が積極的に動いている。
だから薬局は報酬が付かないと動かないと揶揄される。
職能としての本来の姿を見失っているような気がする。
私なんかが偉そうに言える立場ではないが、これからの後輩たちの活躍の場を拓くのが先輩じゃないだろうか。

見捨てられたらじゃまものになる。
役に立ちそうなものだけ選んで、後は”知らんぷり”になりそうだ。
薬局だけじゃない。
組織だって同じだ。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

何でもあり

2023-09-21 05:20:26 | 薬局
現場検証が必要だ。

あるメディアが気になる情報を伝えている。
近畿日本鉄道が大阪阿倍野駅に処方箋医薬品受け取りロッカーを設置したそうだ。
さらに駅構内に処方箋受付機までもある。
受け付けた処方箋はオンライン服薬指導の後、ロッカーから受け取れる仕組みとなっているらしい。

確かに、規制改革推進会議だったような気がするが、処方箋医薬品の受け取りをロッカーでも可能として、厚生労働省からも認める通知が出ていた。
振り返って通知を探す気にもならないが、コロナ禍は「非接触」の御旗のもとに、いろいろな緩和が取り入れられている。

ロッカー渡しは原則的に認められているが、地方の保健所の見解で何かと規制もあるようだ。
ロッカーの設置場所が店舗内であったり、薬局から管理できる範囲などである。
患者の利便性からはあまり有効性ではなかったような気がする。
因みに、管理できる範囲の具体的なものは示されていないようだ。
そんな状況の中で、今回の駅構内の設置はちょっと飛躍した感じがある。
薬局の存在が見えてこない。

もっと不思議なのは処方箋の受付機がどこにあるのか。
単純に駅構内なら…薬局は近くになくてもいいのか。
処方箋を受け付けると自動的にどこかの薬局に処方内容が流れるとしたら、それはFAX処方箋と同じになる。
FAX処方箋なら…本来は「歩行が困難なもの」への対応だったが、コロナ禍で曖昧になっている。

処方箋の受付行為は、単なる受け取りではなく、調剤をしていいのかの処方監査が伴うような気がする。
それをなくして単純に受けるだけなら問題があるのではないか。
あくまでも記事には「投函」とある。
「投函」では処方監査ができない。

処方箋の受付は調剤業務に当たらないのか。
もし薬局外でも処方箋を受け付けていいなら、人通りの多い駅などは都合がいい。
受け取った処方箋で調剤業務の外部委託による調剤業務センターで調剤され、処方箋を回収した上で、服薬指導コールセンターからオンライン服薬指導が行われる。
肝心の処方薬は最寄りの受け渡しロッカーとなる。

ちょっとイメージがわいたかな。
こうなると現場検証が必要になる。
処方箋を持参して体験するしかない。

大阪はちょっと遠いのでだれか教えて欲しい。
コメント (4)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする