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八ッ場あしたの会サイトで、八ッ場ダム検証の抜本的なやり直しを求める科学者声明 という記事が2011年11月1日付けで掲載されています。
声明文は2011年10月26日付けで、全文と《呼びかけ人》及び《賛同者》(11月1日現在68名)のお名前・所属が記載されています。私はこの分野は全くうといので、《呼びかけ人》では経済学者の宇沢弘文さんのお仕事が分かる程度ですが、川村晃生さんのお名前は山梨に来てから知りました。《賛同者》の中には山梨の方々も多いです。春日正伸さん、椎名慎太郎さん、竹内智さんは山梨に来てからお名前を知った方々です。
声明では次の点が指摘されています。皆さんにダム反対の意思があるとしても、ここで説かれているポイントは科学的、客観的な検証であらねばならないという主張だと私は理解しました。その要点だけ抜き書きします・・・

第一に、事業の主目的の一つである利水について、水需要の減少傾向が明らかであるにもかかわらず、その実績を無視した架空予測をそのまま認め・・・
第二に、いま一つの主目的である治水についても、代替案の事業費が跳ね上がるように八ッ場ダムの効果を過大に評価した上での代替案との比較しか行っておらず、・・・
第三に、ダム本体や周辺地域環境で懸念されている災害対策が不問のままである。
現在の八ッ場ダムの検証は、事業を進めてきた関東地方整備局みずからが行ってきた。・・・ダム建設の是非を検討する検証は、真に科学的・客観的な検証を可能とする第三者機関の設置が不可欠である。従来の河川行政に批判的な専門家も加えた、公開の場で八ッ場ダムの公正な検証を実施することを要請する。

そういう第三者機関で最近の事例は、九州電力の玄海原発やらせメール問題で設置された第三者委員会の成行きでした。その委員長にインタビューした記事がダイヤモンド(2011年8月25日)で読めます・・・「電力は安全神話の啓蒙をやめ情報開示の徹底をすべきだ」―郷原信郎・九州電力第三者委員会 委員長インタビュー
いつだったか、郷原さんが第三者機関(委員会)の意味について語っている記事を読んだのですが、マークし忘れてソースを思い出せません。九州電力の場合のように当事者が設定する場合と、全くの第三者機関として置かれる場合の違いのような話だったと思います。郷原信郎(@nobuogohara) - Twilog から探せるかも知れません
季刊「コーポレートコンプライアンス」から、郷原信郎名城大学教授・コンプライアンス研究センター長 という現職も知りました。

前例があればそれに従い、前例が無ければ前向きに検討する(=やらない)、そういう事に対して郷原さんが言われる『私はコンプライアンスを「法令遵守」ではなく「社会からの要請に応えること」と定義している』との意味を考えたいと思います。
「法に則って粛々と行なう」というような言い方で説明する時に一人の人間としては心の揺れがいかばかりか、それをねじ伏せない限りその地位を去るしかない、それを思えば気の毒に感じます。公務員とは自分の信念で仕事は出来ない、その精神的なプレッシャーに耐えうる人々なのでしょう。出題教授の意図を忖度してそれに合わせた答案記載で減点を避けた学生時代を思い出しますが、ヤッパリ私はカメレオンにはなれない人です(^o^)

国土交通省-八ッ場ダム建設事業の関係地方公共団体からなる検討の場-検討の場(第1回)・第9回幹事会(平成23年9月13日開催) の記事に掲載されている 『資料2 八ッ場ダム建設事業の目的別の総合評価(案) 八ッ場ダム建設事業の総合的な評価(案)[PDF:132KB] 』 について、
「八ッ場(やんば)あしたの会」では、2011-09-17 八ッ場ダム検証の問題点 という記事で考察し批判しています。

「関係地方公共団体からなる検討の場」には出席できない一般市民でも、公開された情報をきちんとフォローして問題点を考察できるようになっている点について、私は良いことだと思います。沢山の資料や反対意見をどこまで確認しているかわかりませんが、先日のテレビニュースで森田健作千葉県知事が、八ッ場ダムは計画通りに推進するのが当然だというような発言をしていたのも見ています。

キャッチフレーズで判断するのでは無く、データを掘り起こして問題のありかを探り、賛否の判断をすることは大切な事だと思っています。掘り起こそうにも過去の経緯やデータがどこで公開されているのか分かり難い場合には、その事業の裏には市民・国民には知られたくない思惑があると判断するところから考察をスタートせねばならないでしょう。

私は新山梨環状道路北部区間について考えながら、八ッ場ダムの声明文を読みました。目的が変っても同じ事業をやるという奇妙な状況を説明できるデータの第三者機関による検証は必要なはずです。山梨行政における「コンプライアンス」の解釈、それを知りたいと思います。



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