事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

港座通信小劇場版~港座の昭和「雨月物語」

2009-10-18 | 港座

「三つ数えろ」特集はこちら

雨月物語」(昭和28年 大映)1時間37分

監督:溝口健二 撮影:宮川一夫 出演:京マチ子 森雅之 水戸光子 田中絹代

 上田秋成の原作のうち、「蛇性の婬」「浅茅が宿」の二篇を映画化。ヴェネチア映画祭で銀獅子賞を獲得しています。聖にも邪にもなる女性の美しさを京マチ子が、弱さを抱えながら悪徳にふける男の狡さを森雅之が絶妙に演じます。

 そして何よりも撮影の凄さ。今ではどう撮ったのか判然としないシーンが連続します。当時の大映技術陣のレベルと、それを引き出した溝口の力量に感服。

※上映は24日(土)の19:00です。
女優陣の美しさは言わずもがなですが、森雅之の美男ぶりには圧倒されます。私生活でも、父の有島武郎の血のためか、不倫の関係を長く続け、生まれた娘が「愛のコリーダ」で(あまり知られていませんが)日本初のハードコア女優となった中島葵です。彼女は、生涯独身をつらぬきました。

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港座通信小劇場版~港座の昭和「三つ数えろ」

2009-10-18 | 港座

「カルメン故郷に帰る」特集はこちら

三つ数えろ」The Big Sleep(1946 ワーナー)1時間54分

原作:レイモンド・チャンドラー 監督:ハワード・ホークス 出演:ハンフリー・ボガート ローレン・バコール

 ご存じ、私立探偵フィリップ・マーロウをボギーが演じた作品。脚本はなんとウィリアム・フォークナー。実は二十年ほど前に「港座クラシックス」として中劇場で一度上映されています。

非常に込み入った事件なのでストーリーを追うのはたいへんですが、原作者もうまく要約できないほどなのでお気になさらずに。ボガート&バコール夫妻の切れ味鋭い演技を堪能していただければ。

24日は同じ時間帯に大劇場で「カサブランカ」が上映されます。どちらのボギーを選ばれますか?

※文中にあるように上映は24日(土)16:00。
その「港座クラシックス」でわたしは鑑賞したはず。蘭を栽培する温室のシーンが、作品のイメージをダークなものにしていた。

フィリップ・マーロウはロバート・ミッチャムが「さらば愛しき女よ」(池袋文芸座で観たおぼえがあります)、ジェームズ・ガーナーが「かわいい女」(ブルース・リーが出ています)を演じていますが、ボギー以外ではなんといってもエリオット・グールドの「ロング・グッドバイ」(ロバート・アルトマン監督)がおすすめです。原作のファンは怒るでしょうけれど。

「本の雑誌」の最新号で、椎名誠もオールタイムベストの作品として「ロング・グッドバイ」をあげていました。意外。

次回は「雨月物語

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港座通信小劇場版~港座の昭和「カルメン故郷に帰る」

2009-10-18 | 港座

Img_336733_54287461_1 「ターザンの復讐」特集はこちら

「カルメン故郷に帰る」 (昭和26年 松竹)1時間26分

監督、脚本:木下恵介 出演:高峰秀子 小林トシ子 佐田啓二 

日本初の総天然色映画。木下恵介は「二十四の瞳」「喜びも悲しみも幾年月」などで叙情派の印象が強いのですが、このように新たな技術を取り入れるのに貪欲な人でもありました。しかもそのことごとくをヒットさせるため(唯一の例外が「笛吹川」)、松竹の信頼が厚く、だからこそまた新たなチャレンジを行うことができたのです。そうでもなければ日本初のカラー映画に、ストリッパーの物語をもってくるなどありえなかったでしょう。

にしても、「二十四の瞳」の大石先生とカルメン……高峰秀子の芸域の広さには驚かされます。

※上映は10月24日(土)13:00から。

※松竹にとって木下恵介はほんとうにありがたい作家だったはずだ。観客も評論家も支持し、評価も興行成績も高かった。でも、その反動がいま来ているような気がする。時代のど真ん中で評価された作家が、後世にどんな意味づけをされるかはよくわからないのが正直なところか。

「天皇」と呼ばれ、スタッフやキャストの上に君臨した黒沢と「ロケで苦労するのなんて大嫌い」と言い放った木下。もう百年経ったとき、はたして彼らの評価はどうなっているだろう。

次回は三つ数えろ

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港座通信小劇場版~港座の昭和「ターザンの復讐」

2009-10-18 | 港座

「天井桟敷の人々」特集はこちら

「ターザンの復讐」

(1934 MGM)1時間44分

監督:セドリック・ギボンズ 出演:ジョニー・ワイズミュラー モーリン・オサリヴァン

 史上最高のターザン役者といえば文句なくワイズミュラー。ルーマニアに生まれアメリカに移住。身体が弱かったので水泳を始め、オリンピックで金メダルを5個獲得、67回も世界記録を更新。BVDの下着モデルから俳優に転じ、ターザンで大当たり。大富豪となって6回結婚し……いくらなんでも波瀾万丈すぎます。

彼のターザン映画のなかでもとりわけ評価が高いのがこの作品。ジェーンを演じたモーリン・オサリヴァンのコスチュームが刺激的すぎるので、以降の作品では変更になってしまいました。ご期待ください。

※上映は10月23日(金)19:00です。
会長がことのほかこの映画に入れ込んでおり(笑)、リストアップ。ワイズミュラーの晩年は悲惨なものだったはずだけれど、あの雄叫びなどで一世を風靡した事実は残る。

※わたしの世代にとってはディズニーのアニメ(なかなかよかった)や、シリアスな「グレイストーク」が劇場でのターザン経験。しかし今の子どもたちも「インディ・ジョーンズ」や「スパイダーマン」などで、知らないうちにツタで飛翔するあの感じは追体験しているわけだ。特にスパイダーマンの移動は、歴然とターザンを引用している。だいたい、子どもにかぎらず動物がたくさん出てくるとそれだけでわたしも幸せです。

次回はカルメン故郷に帰る

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港座通信小劇場版~港座の昭和「天井桟敷の人々」

2009-10-18 | 港座

「私の頭の中の消しゴム」特集はこちら

小劇場の上映作品を紹介していきましょう。文句なしの名画ですが、大劇場でやるにはちょっとマニア向けか……そんな作品をとりそろえました。港座に小劇場があって本当によかった。スケジュールはこうなっています。

10月23日(金)

13:00 「天井桟敷の人々」

19:00  「ターザンの復讐」

10月24日(土)

13:00  「カルメン故郷に帰る

16:00  「三つ数えろ

19:00  「雨月物語

「天井桟敷の人々」

(1945 フランス)

監督:マルセル・カルネ 出演:アルレッティ ジャン=ルイ・バロー マリア・カザレス

 映画のオールタイムベストテンを選出するときに常にトップをあらそう名画中の名画。ナチス・ドイツ占領下のフランスで、3年以上の年月と破格の製作費をかけてつくりあげたのが大恋愛映画であるあたりはさすがフランス人。性根がちがいます。

「『風と共に去りぬ』へのフランスからの回答」というキャッチフレーズは大げさではありません。原題「楽園の子どもたち」を「天井桟敷の人々」とした日本の配給会社もおみごと。「恋なんて簡単よ……」当時47才のアルレッティの美しさを、ぜひ劇場で。

※アルレッティの美しさ……と解説したら、まわりから「あんた変わってる」とつっこまれました。そうかなあ。

次回は「ターザンの復讐」を。

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