九州北部で起きた記録的な豪雨で、大分県日田市の花月川流域にある地元の自治会は、5年前の九州北部豪雨を教訓に、みずから川の状況を把握して避難を呼びかけた結果、自宅に残っていた高齢者などを無事避難させることができました。
5年前の7月、九州各地で死者・行方不明者が33人に上った九州北部豪雨で、日田市にある吹上町自治会では、花月川が氾濫したことから住宅135棟が浸水するなどの被害が発生し、このとき、組織的な避難の呼びかけができなかったことを教訓に、新しい防災マニュアルが作られました。
自治会長の行村孝さんは記録的な大雨が降った今月5日、マニュアルに基づいて、川の状況を把握しようと自治会のメンバーを派遣し、消防団と一緒に行動するなど安全を確保してもらいながら、詳しい報告を受けました。
それによりますと、午後7時半すぎにJR久大線の鉄橋が流されたのに続き、午後9時半ごろには鉄橋から50メートルほど上流にある堤防が幅20メートルにわたって崩れたということです。
行村さんは非常に危険な状態と判断し、「行政だけの情報に頼らず、自分たちが危険度を判断し、住民に避難を指示する」というマニュアルの指針に基づいて、自治会として避難の呼びかけを始めました。
当時、日田市からは避難指示が出されていましたが、自治会は十分に情報が伝わっていないと考え、メンバーが高齢者などの住宅に訪問して避難を促しました。その結果、一部の住宅が床上まで水につかる被害が出たものの、自宅に残っていた高齢者などを無事に避難させることができ、自治会の中でけがをした人はいませんでした。
行村さんは「自治会が独自に避難の呼びかけを始めるのは重い判断で、自分たちの行動が完璧だったとは考えておらず、検証が必要だと思う。よりよい防災態勢とは何かを行政などと連携しながら、これからも模索したい」と話しています。
5年前の豪雨教訓にマニュアル見直し
しかし、避難する具体的な経路や、高齢者や障害者の避難先を決めていなかったため、九州北部豪雨の際に避難に時間がかかったことを教訓に、マニュアルの検証と見直しを進めました。
新しいマニュアルには、行政の情報だけに頼ることなく、自治会が独自に危険を判断することを盛り込んだうえで、緊急時に確実に集まることができる要員を洗い出したほか、支援が必要な住民の避難を誰が担当するのかを明確化しました。また、住民の間でマニュアルへの理解の共有が進むよう、避難訓練を繰り返し実施してきました。
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