◇理事長は被害者らに謝罪
厚木市の社会福祉法人「紅梅会」(菅種雄理事長)が運営する施設の内外で、知的障害のある20代女性入所者が複数の施設職員らから別々に性的被害を受けていたことが明らかになった29日、事態を重く見た県は紅梅会の調査に乗り出した。一方、菅理事長は毎日新聞の取材に応じ「心の傷を与えて申し訳ない」と被害女性と家族に謝罪した。「密室」になりがちな障害者施設で起きた被害に、識者は「なかなか表面化しないが虐待を防がねば」と指摘した。
■監査も検討
県の障害福祉課と福祉監査指導課の職員ら4人は、毎日新聞の報道を受けてさっそく厚木市の紅梅会に出向いた。菅理事長やグループホームの責任者ら紅梅会幹部4人から聞き取り調査をした。
監査も含む今後の対応を検討する狙い。施設の管理体制や運営にミスがなかったかどうかを主に尋ねた。調査結果を精査し、さらに聞き取りを進めて事実関係の把握を優先する方針。
花上光郎・福祉監査指導課副課長は「県としても対応しなければいけないことだと思う。どういう形で対応するかは検討中だが、監査も含めて必要な対応を図りたい」と話した。
■法人の責任
「精神的に園生と親御さんに心の傷を与えて申し訳ない。雇った責任はある。紅梅学園の間違ったところはそこにある」。菅理事長は取材に対し謝罪した。
紅梅会は、知的障害者更生施設「紅梅学園」やグループホーム、授産施設を運営。本来は信頼すべき相手である施設職員から、女性は被害を受けていた。
ホームの元当直員、加茂昭雄容疑者(67)=女性への脅迫容疑で逮捕=は、障害につけ込み性的関係を強いた準強姦(ごうかん)容疑も持たれている。女性の証言では、性的暴行の被害に遭った時期には、加茂容疑者の退職(07年12月)後も含まれる。
加茂容疑者を巡る紅梅会としての責任について、大峡健一・総合園長は「厚木署が取り調べ中なので何とも言えない」とコメントを避けた。捜査結果が出た段階で弁護士と相談し、会見を開くなどの対応を取る考えだ。
また大峡・総合園長は、別の施設職員が女性にわいせつ行為をしていたことも含め「職員の採用や教育の重要さが身に染みた。最低限、職員の専門研修をやらなければならない」と話した。
◇性的虐待報告多く−−障害者問題に詳しい法政大学法科大学院・佐藤彰一教授の話
障害者施設は身体接触の機会が多い。知的障害者は迎合するようにしつけられているので嫌な思いをしても声を上げることができない。入所施設は構造的に性の問題が起きやすい。外部からいろいろな人が出入りすることが必要だ。表面化しないが毎月のように、各都道府県で性的虐待の報告があるという。
◇窓口など防止策を−−知的障害者の親らでつくる「全日本手をつなぐ育成会」常務理事・大久保常明さんの話
知的障害者は言葉の表現が苦手なため被害を訴えられず、また家族も施設に「お世話になっている」という感覚があるので、なかなか問題が表にならない。苦情を受け付ける窓口を設けたり、職員の行動基準を徹底するなどして、虐待を防止せねばならない。
厚木市の社会福祉法人「紅梅会」(菅種雄理事長)が運営する施設の内外で、知的障害のある20代女性入所者が複数の施設職員らから別々に性的被害を受けていたことが明らかになった29日、事態を重く見た県は紅梅会の調査に乗り出した。一方、菅理事長は毎日新聞の取材に応じ「心の傷を与えて申し訳ない」と被害女性と家族に謝罪した。「密室」になりがちな障害者施設で起きた被害に、識者は「なかなか表面化しないが虐待を防がねば」と指摘した。
■監査も検討
県の障害福祉課と福祉監査指導課の職員ら4人は、毎日新聞の報道を受けてさっそく厚木市の紅梅会に出向いた。菅理事長やグループホームの責任者ら紅梅会幹部4人から聞き取り調査をした。
監査も含む今後の対応を検討する狙い。施設の管理体制や運営にミスがなかったかどうかを主に尋ねた。調査結果を精査し、さらに聞き取りを進めて事実関係の把握を優先する方針。
花上光郎・福祉監査指導課副課長は「県としても対応しなければいけないことだと思う。どういう形で対応するかは検討中だが、監査も含めて必要な対応を図りたい」と話した。
■法人の責任
「精神的に園生と親御さんに心の傷を与えて申し訳ない。雇った責任はある。紅梅学園の間違ったところはそこにある」。菅理事長は取材に対し謝罪した。
紅梅会は、知的障害者更生施設「紅梅学園」やグループホーム、授産施設を運営。本来は信頼すべき相手である施設職員から、女性は被害を受けていた。
ホームの元当直員、加茂昭雄容疑者(67)=女性への脅迫容疑で逮捕=は、障害につけ込み性的関係を強いた準強姦(ごうかん)容疑も持たれている。女性の証言では、性的暴行の被害に遭った時期には、加茂容疑者の退職(07年12月)後も含まれる。
加茂容疑者を巡る紅梅会としての責任について、大峡健一・総合園長は「厚木署が取り調べ中なので何とも言えない」とコメントを避けた。捜査結果が出た段階で弁護士と相談し、会見を開くなどの対応を取る考えだ。
また大峡・総合園長は、別の施設職員が女性にわいせつ行為をしていたことも含め「職員の採用や教育の重要さが身に染みた。最低限、職員の専門研修をやらなければならない」と話した。
◇性的虐待報告多く−−障害者問題に詳しい法政大学法科大学院・佐藤彰一教授の話
障害者施設は身体接触の機会が多い。知的障害者は迎合するようにしつけられているので嫌な思いをしても声を上げることができない。入所施設は構造的に性の問題が起きやすい。外部からいろいろな人が出入りすることが必要だ。表面化しないが毎月のように、各都道府県で性的虐待の報告があるという。
◇窓口など防止策を−−知的障害者の親らでつくる「全日本手をつなぐ育成会」常務理事・大久保常明さんの話
知的障害者は言葉の表現が苦手なため被害を訴えられず、また家族も施設に「お世話になっている」という感覚があるので、なかなか問題が表にならない。苦情を受け付ける窓口を設けたり、職員の行動基準を徹底するなどして、虐待を防止せねばならない。