すべての骨は体重を支えるためにいつも圧迫されている。というわけではなく、 種子骨は繋靭帯の中にできた骨で、いつも引っ張られている。
靭帯の中にある骨なので、血行が悪く(本当か?)、いつも引っ張られているので、骨折すると骨癒合しにくい。
そして、左の写真も良く見ると、種子骨の放射線状陰影、種子骨炎の病変部で折れているのがわかる。
左のような骨折をすると、腫れて痛みがでるが、やがて治まる。しかし、種子骨はしっかり骨癒合することはなく、運動・調教でまた剥がれて腫れて痛くなる。
それで、種子骨の頂部(近位部、上の部分)だと摘出することを考える。
1/3までの大きさなら取ってしまっても、残りの部分で繋靭帯を支えられると考えられている。
球節の掌側、足底側も関節鏡を入れることはできるが、骨片には繋靭帯がしっかり付いているので、それを骨片から剥がさないと摘出できない。もちろん、そのときに繋靭帯のほかの部分には傷をつけてはいけない。
摘出するのに30分ほどかかった。
USAの経験豊富な外科医でも、種子骨の骨折は関節鏡ではやらない人が多い。
「2cmしか切らない。20分で終わる。なぜ関節鏡でやる必要がある。」と言っていた大学の先生もいた。
しかし、関節切開術より関節鏡手術の方に利点が多いのは今さら言うまでもない。
種子骨の関節鏡手術には特殊な器具がいる。
左、上の2本は靭帯を切るためのバナナナイフ。一番下は種子骨用エレベーター。
骨と靭帯の付着部をガリガリ、シコシコ切るのですぐ切れなくなる。
ナイフは消耗品なのだろうが、結構な値段する。
下のが腕節の骨片で一番良く使う3mmのロンジャーだから、上のロンジャーの巨大さがわかっていただけると思う。
最初見たとき、これは大きすぎて使い道がない。と思ったが、思い直して買った。
2cmを越えるような骨片をつかみだすには、2cm以上ロンジャーが開かないと無理だ。当たり前。
そして2cmの骨片は、2cmは切らないと関節からつかみ出せない。これも当たり前。
靭帯はほとんど骨片についていない。
大きさは約2cm。
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昨年同様の手術をした1頭は、「あきらめていたんだけど、勝ってるわ」 だそうだ。
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名前は・・・・・・う~ん・・・・・・・