馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

Rhodococcus equi感染症仔馬3例

2016-08-05 | 感染症

2ヶ月齢の子馬が呼吸困難になり、翌朝には死亡したとのことで剖検。

突然、肺の充血鬱血を起こして呼吸速迫になるタイプの肺炎のようだが・・・・

よく観ると胸膜面にも横隔膜面にも膿瘍がある。

肝変化したことで呼吸困難になったのだが、

Rhodococcus equiに感染していたことと無関係ではないと思う。

腸管のリンパ節も数箇所で化膿していた。

もう数週間早く異常を発見して抗生物質治療を始めるしかこういう仔馬を助ける方法はない。

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4月初め生まれで7月初めから治療されていた仔馬も剖検に運ばれてきた。

左肺後葉下垂部にほとんどが化膿性肺炎病巣になっている。

尾側の縁には径10cmほどの膿瘍がある。

肺リンパ節は15×10cmほどの膿瘍になっている。

腸管のリンパ節は櫛団子状に膿瘍化している。

おそらく5月には病巣ができていたはずだ。

早く発見して治療を開始するしかこういう仔馬を助ける方法はない

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5月生まれで、もう数週間抗生物質で治療しているが解熱しないし、痩せてきている、という子馬が来院した。

体表からの超音波検査で肺にいくつもの膿瘍が見つかった。

腹腔内にも膿瘍が見つかった。

はじめの症状は気管がゴロゴロ鳴るのと発熱だったそうだ。

「肺はやられてなかった・・・・」は、間違い。

症状が出たときには肺に膿瘍ができている。そういう菌なのだ。

気管洗浄液を採って、細菌検査して、Rodococcus equiが分離されたら特別な治療と注意が必要だ。

しかし、それももっと早い日齢で見つけないと治療に順調に反応しない。

膿の塊ができたら、とくに腹腔内にできたら、簡単には治らない。

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暑さで、弱っている仔馬がさらに衰弱しているのだろう。

ただ、それは末期の病態でしかない。

無駄な抗生物質治療に手間と費用をかけるより、早期発見に努力した方が善い。

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この季節、海へ遊びに行ったら・・・

こうなるのはわかってるんだから・・・・・・

 

 



2 コメント

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Unknown (はとぽっけ)
2016-08-05 21:55:31
 リンクからのPub Medのころにはすでに検査の簡易キットはあったようですが、治療が効果的な感染初期にも感度、精度はいいのでしょうか?
 そこそこであれば、怪しいときはもれなく検査してみるとよさそうに思うのですが。
 なんだか痛ましすぎ。

 ヒト+わんこで、夏+海、やはりそうなりますか。にしても、ずいぶん楽しそうなこと。
>はとぽっけさん (hig)
2016-08-06 04:06:55
簡易キットはなくて、検査室でのELISAで行っています。感度・精度はELISAだけでは満足がいくものではありませんが、炎症像もあわせてみると充分スクリーニングできます。今はさらにSAAを使うことができますので、感度・精度は上がっているはずです。

痛ましいでしょう。もっと早期発見に努力すべきだと思います。

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