馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

超音波画像診断研修会

2015-10-12 | How to 馬医者修行

きのう日曜日は超音波画像診断の研修会。

実習馬を借りて、座学のあと腹部、胸部、眼、肩まわり、股関節まわり、などの超音波画像診断を練習してもらった。

馬の臨床に超音波画像診断が導入されて30年あまり。

最初は卵巣や子宮を観る道具として登場した。

おおいに画期的ではあったのだけれど、繁殖以外の目的ではさほど活用されなかった。

競走馬では浅屈腱炎の診断に不可欠なものになった。

しかし、まだ用途は限られていた。

この10年ほど、機器の性能が向上し、同じ機能や画質なら値段がやすくなった。

そして、持ち運びできる超音波装置は「ひとり1台」の時代になっている。

画質が良くなり、記録が容易になり、計測可能になり、カラードップラが使えるようになり、etc.

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が、誤診しやすいのも、あいかわらず超音波画像診断の特徴でもある。

それは、

見ている範囲が、プローブが当たっている5cmほどの部分でしかないこと。

(x線画像はフィルム、カセッテ、イメージングプレート、あるいは照射野の大きさを観ることができる)

x線画像は透過像だが、超音波画像は断層像であること。

x線画像は骨を写すが、超音波画像はもっぱら軟部組織に使われる。

プローブと体表の接触などにより見えなくなることが多い。

などが要因だろう。

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今回は、自分達が使っているポータブルの装置を持ってきてもらって、その器械でどこまで見れるかをやってもらった。

直腸検査用のプローブは5MHzなので深さも足りないし、ポータブル装置は画質も良くない。

それでも、はっきりした病変ならかなり観ることができる。

当歳など体が小さく、体壁が薄いなら見やすいし、

超音波は胸水、腹水、血腫、膿瘍など液体には強いし、

腸管や心臓など動きがあるものの観察にも優れている。

せっかく1人1台持ち歩いているのだから子宮や卵巣以外の臓器にも活用したいものだ。

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9月の北海道獣医師会のあとは、

10月2日に麻酔外科学会の講演抄録の締め切り、

そのあと1週間かけて、10月9日の講習会のランチョンセミナーの準備、

そして、11日が超音波の研修会。

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今日12日は、

1歳馬の飛節OCDの関節鏡手術。

午後は、2歳馬の中足骨の骨柩症の腐骨摘出手術。

そのあと、当歳馬の中節骨の骨片骨折の摘出術。

来週前半まで診療予定はいっぱいだ。

 

 


4 コメント

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Unknown (はとぽっけ)
2015-10-12 19:46:41
 たくさんの人に囲まれても大人しい、おりこうさんは、自分の画像は自分でも確認するんですね。
 いっぱいの予約に急患にと、明日からも
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Unknown (zebra)
2015-10-12 22:44:42
北海道の牛医者がこなす頭数なら一人一台持ったほうが良いです(笑)
5MHzでも深さ10cmは容易に見られますが5cmリニアー幅という視野の狭さのほうが切ないですね。
一番使いでがあるのは子牛のへそトラブルでしょうね。
ここをマスターしたいものです。
?馬の話か。
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>はとぽっけさん (hig)
2015-10-13 04:25:25
2歳競走馬だったので心配しましたが、大人しくて幸いでした。

ちょっと予定を集中させすぎました。講習会やお勉強の季節です。

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>zebraさん (hig)
2015-10-13 04:27:29
子牛の臍や肺炎、運動器にも使えると思います。腹壁や腸管を観る眼が養えれば、臍帯炎にも応用が効くでしょう。
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