第三足根骨は外側寄りが「厚い」板状に割れてしまうことがある。
かなり荷重がかかるのだろう。
丈夫な靭帯で厳重に固められている部分なのだが、割れると、骨癒合しにくい。
足根間関節と足根中足関節に挟まれていて、その2つの関節はほとんど動かない関節なのだが、骨関節症(あるいは変形性関節症)を起こしてしまう。
そうなると慢性の跛行になり、「足根骨の盤状骨折の競走馬としての予後は良くない」。
6ヶ月近く、馬房からまったく出さない完全休養により予後はかなり良好だった。とする報告もあるが、
私は、スクリューで内固定した上で長期完全休養するのが良いと思っている。
骨が割れていても動かない部分なので痛みが消え、そこで動かすと足根関節が骨関節症を起こし、関節が固まりかけるので、それが壊れるような激しい運動をすると痛くなる。
ならば、骨片が動かないようにスクリューで固定しておいて、長期休養するのが予後の点では良いはずだ。
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4.0mm海綿骨スクリューで内固定を試みるが、スクリューが曲がってしまったり(上)、
さらにはスクリューヘッドもナメてしまって、抜くのもたいへんだった。
骨片を海綿骨の母床に固定するという手術なのだが、なかなか難しい。
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結局、2.5mmのThread holeを3.2mmドリルで広げ、
骨片のGlide holeを4.5mmで広げておいて、
セルフタップ4.5mm皮質骨スクリューを入れて圧迫固定した。
もう、発症から1ヶ月以上経っているので完全には圧迫できないが、骨片は動かなくなったはずだ。
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今日は、午前中明1歳馬の球節剥離骨折の関節鏡手術。
夕方、DR、それもコードレスのデモ。
もうプレートにもコードは付いていないし、撮影装置にもコードは必要ない。
画期的だが、落とすと壊れるプレートは700万円くらいするそうだ。
X線撮影用カセットを馬に蹴られたことがない馬医者はいないだろう。
落としたら壊れる700万円を持って、馬のそばで仕事ができるか?
それが問題だ。
曲がったスクリューを見て思うのは折れてしまったらどうしようか、という点です。
海面骨スクリューで固定して皮質骨がGlide holeに十分に成長した場合、簡単に抜去できるのでしょうか。
素人の愚問で恐縮です。いろいろ対策がありそうな気がします。
難しいです。透視装置があると楽ですけど。
折れたスクリューを抜く方法や器具はあるのですが、それはなかなか難しいです。