馬整形外科の世界的権威にして現役の馬整形外科医でもあるペンシルヴァニア大学教授Dr.Richardsonに相談した。
「当歳馬ならフルリムキャストで早期に治るかもしれないが、1歳馬では内側にひどいキャストずれができて厳しいだろう。
短いLCP2本か3本を使って手根骨遠位列と第三中手骨を内固定するのが良いのではないか。
この骨折を内固定する方法はひとつではないが、自分ならそうする。」
という返事。
そして、細かく内固定の手技を教えてくださった。
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私は学会で4日間留守にしなければならなかった。
帰ってきたら様子しだいで、内固定手術をしようと考えていた。
しかし、問い合わせるとフルリムキャストに慣れて状態は良いとのこと。
そのままキャストで経過を観ることにした。
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3週間後、キャスト交換に来てもらった。
今度は全身麻酔してキャストをはずした。
キャストずれしていることは覚悟していた。
キャストずれの程度と腕節の安定度次第で、そのままキャスト固定するか、プレート固定手術するか、どちらもあきらめるか、になると考えていた。
腕節があまりに不安定でも、キャストずれがひどければもうプレート固定するのは感染のリスクが高くて厳しい。
肢は外反していたが、3週間前より異常な可動はなくなった。
副手根骨のところで当たって皮膚が破れてしまったが、腕節の内側は大丈夫だった。
それで、もう3週間キャスト固定で保存的に治療することにした。
今度は全身麻酔下なので、前回より落ち着いてフルリムキャストを巻くことができる。
しっかりモールディング(キャストを巻いた上から撫ぜつけて肢に沿わせる)した。
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副手根骨のところで当たってしまったのは、巻いている最中に馬が動いて腕節を少し曲げてしまったからだ。
少ししわになって、そこが当たった。
それでも外反しようとする肢に3週間フルリムキャストを巻いて、この程度のキャストずれなら上出来だ。
(つづく)