礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

高堂国典、老人役で無言の名演技

2014-04-05 04:12:08 | 日記

◎高堂国典、老人役で無言の名演技

 昨日の続きである。中村登監督の映画『我が家は楽し』(松竹、一九五一)で、植村家に「三番目」に起きる事件は、家主からの立ち退き要求である。
 一家が住んでいる家は借家で、家主は隣家の金沢老人。これを演じるのが、名優の高堂国典〈コウドウ・クニノリ〉である。家主の親戚を、ここに住まわせるということで、急に立ち退かざるを得なくなったのである。
 引っ越し荷物をまとめ、いよいよ明日は家を明け渡すというその日になって、意外な展開となり、そのまま、ラストに向かう。まだ、この映画を見ていない人のために、具体的な話は避ける。だだ、最後の「意外な展開」には、様々な伏線が張られていて、この展開は、それほど意外ではない。なお、その伏線のひとつは、「犬」である。今後、この映画をご覧になる場合は、是非、この点をご確認いただきたい。
 その夜、植村家の一家団らんを、隣家の金沢老人が窓から見下ろすラストシーン。この金沢老人の表情が実によい。
 ちなみに、この映画では、金沢老人役の高堂国典は、一言もセリフを発しない。それでいて、この演技、この存在感。さすがというほかない。
 同映画では、大宮画伯役の青山杉作、金沢老人役の高堂国典などが、達者な演技を見せているが、何といっても山田五十鈴の演技が光っている。特に、居酒屋で亭主と酒を飲み交わす場面の演技が魅力的だった。
 最後に、原案の田中澄江、脚本の柳井隆雄〈ヤナイ・タカオ〉・田中澄江に対して、敬意を表しておきたい。もちろん、監督の中村登にも。

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