静 夜 思

挙頭望西峰 傾杯忘憂酒

「人生の最期まで捨てられない一番大切なもの」  自分の目標 vs 大切な人  ・・・あなたはどちら?

2024-05-05 13:06:35 | トーク・ネットTalk Net
● 【現代ビジネス】:人が「最期まで捨てられない一番大切なもの」が「欧米人と日本人とでは異なる」...その驚くべき違いと「深い理由」
*「いくら延命治療を受けても、いつか必ず死はやってくる。それに、病気にならずとも、いつ事故や発作で死ぬかわからない。死に方を選択することはできないのです。
  でも、いま、どう生きるかは選択できます。今日、『ありがとう』とちゃんと言えたか。謝るべき人に謝れたか。いま本当にやるべきことに取り組めているのか。逆に、本当は嫌だと思っている
  ことにかかずらっていないか。心配すべきは死に方ではなく生き方だ—。道元禅師は、そう教えているのです」(大愚氏)

◆ 神宮山大禅寺(関市)の根本一徹住職は、国内外をまわって「模擬葬儀」というワークショップを開いている。そこで、あることに気がついた。
 「模擬葬儀では、まず『大切なモノ』『大切なこと(夢や目標、日課など)』『大切な人』『死ぬまでにやりたいこと』をカードに書き出してもらいます。そして、『自分が重病を患い、だんだんと
 動けなくなって弱り、死んでいく』という状況を想像してもらいながら、一枚ずつカードを捨てていってもらいます」多くの人が、自分の死をシミュレーションし、迷いながら、ときには涙を浮かべて
 カードを捨てていく。

 ここで興味深いのは、最後まで握りしめる「いちばん大切なもの」が、欧米人と日本人とで異なるということだ。「欧米では『夢』や『目標』を記したカードを残す人が多いのですが、いっぽう日本
 では、大多数が『大切な人』を記したカードを残すのです。欧米では、人生は『目的』こそが重要だとされています。しかし日本人は、夢とは儚いものだと知っていて、それよりも『誰かのために生き、
 そして死にたい』と願う人が多いのではないでしょうか
」(根本氏)← 儚さを知るから目標は生きる値打ちにならない? 欧米人は儚さを知りつつも掲げる? この違いはどこから?
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 文化の東西を問わず、道元禅師の言葉は共有されていると私は感じる。だが(何のために生きるか?)における上記の対比は≪ 他者と個人の在り方・自分の存在意義 ≫をめぐる人生観の哲学的差異だ。
「他者の為に尽くすこと、それが生きてきた値打ちだ」という日本人の価値観。かたや「自己が設けたあるべき姿の実現に向かい死ぬ間際まで努力するのが生きる値打ち」とする欧米人の価値観。

 ここには『家族と自分の関係性』の差異もある。自分の為に自分は存在するのか/近しい人を含めた他者への貢献に自分は存在するのか? これ即ち【社会/国家と個人の関係】に直結している。
然し、である。自己犠牲を核とする宗教マインドが日本人より強く残る欧米人が、なぜ日本人の価値観とならないのか?
 私は首を捻る。たぶん、それは私が宗教信心を理解できない所為だろう。
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Overtourism vs インバウンド対応の課題    Win-win のカギは<域外資本への富の流出とならない 地元経済振興への貢献度合い>

2024-05-05 08:05:48 | 時評
▼ 【毎日】論点:インバウンド価格の行方 【聞き手・岡崎大輔/西尾英之】
 先日、このイッシューを私は(混雑および迷惑行為の抑制)を量的規制のハード面から論じた。これを観光ビジネスという言わばソフトの視点から捉えたのが以下に紹介する3つのインタヴュー内容だ。
 なるほど、ハード&ソフトの両面から捉えてゆくことが此の問題解決には不可欠だと感じるので、整理してみた。

1) ≪インバウンド価格設定における大事なポイント≫を論じた【矢ケ崎紀子・東京女子大教授】の論点で< 高品質維持を守ったうえでの高価格設定を >というもの。それは次の言葉に凝縮される。
 『これまで、日本の観光地はマーケティングを旅行会社に任せ、自ら価格を設定する経験に乏しいのが実態だった。訪日外国人客が好調ないま、品質と価格戦略の両方をそろえて商品販売を推進する
 ノウハウを学ぶことができれば、企業の経営力を高めることにつながる』。
 『インバウンドの旅行消費は、地元企業にお金が入り、従業員の給料に回る。このほか、宿泊税の利用という方法もある。法定外目的税である宿泊税は一義的には宿泊者の利便向上や観光振興に使う。
 この宿泊税を宿泊者全員に課して、地域インフラを整えることにつなげるべきだ。インバウンド価格は高付加価値で高品質な商品に適正価格を付けるのが大原則だ
  これまでの商品をそのまま高価格にするようなぼったくりとは違う。安くて良い物から、高くて良い商品まで売ることができる多様性を身につけることができれば経営の幅は広がる。
  ← 外国人でない客にも一律に宿泊税を課すとなると、税率設定次第では日本人&在住外国人の負担感が問題になる危惧が残る。

2) ≪ 町の伝統を守る生き残り戦略としてのインバウンド対応 ≫をと考える【北田喜嗣・NPO法人=築地食のまちづくり協議会理事長】による重要な指摘で(1)とも共通する品質と価格のバランス。
 <外国人が伝統や文化を感じられるかが大事。ぼったくりで高いのと、良い物の高価格商品では意味が違う。本物の食を売る、という街に根付いてきたアイデンティティーを出店者側にも守ってほしい。
  キャッチコピーで「通えば通うほど腕が上がる食のまち」と言ってきた。何度も足を運ぶうちにお客様の料理の腕が上達するように、店側もお客様の好みや予算に合わせた接客をするとの思いを
  込めている>。 ← これは京都・錦市場にも共通するコンセプトだろうし、景色以外の〔食〕を資源とする他の地域にも大切な考え方かもしれない。

3) ≪ 地元でインバウンド価格の恩恵を享受できるのはごく一部の人々に過ぎず、「インバウンドが増えてよかった」とは思っていない ≫と指摘するのは京都在住の【にしゃんた 羽衣国際大教授】。
 『インバウンド価格で潤うホテルや民泊は、多くが外国資本、あるいは国内でも東京など地元以外の資本による経営だ。私は、インバウンド価格自体に問題があるとは思っていない。豊かな観光資源を
 持つ日本への観光客は、価格が上がっても増え続けるだろう。むしろ、日本人はその観光資源を、お金にうまく代えられていないと感じている』。

 『かつて世界第2位の経済大国だった日本の人々には、日本が他の国よりも特別に豊かではなくなったことを、認めたくない気持ちがある。だが、日本人の給料が30年間上がらない間も、海外の人々の
 収入はどんどん増えている。自分たちに手が届かないインバウンド価格の存在は、日本人に対して「現実を直視せよ」と警鐘を鳴らす、メッセージでもある』。

   ← にしゃんた氏の指摘はマーケティング戦略の視点を超えた、国としての観光政策の根幹にも触れる重要な直言で、政府&国民へのメッセージである。

★☆ Overtourism の克服はハード・ソフト・国家戦略を俯瞰した取り組みでないと地域振興にならず、為替や日本の国際競争力に左右される一過性のあぶく銭しかもたらさないことがハッキリした
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