静 夜 思

挙頭望西峰 傾杯忘憂酒

さよなら、近藤勝重さん 享年79  

2024-05-17 09:09:04 | トーク・ネットTalk Net
◆ さよなら 近藤勝重さん 記者よ、もっと面白がれ!:【鈴木琢磨】=毎日新聞客員編集委員

 近藤さんが5月10日亡くなった、と鈴木氏が追悼記事を寄せている。私が帰国後、毎日新聞を選んだ理由の一つは明らかに近藤氏の存在だった、と改めて確認した。
 鈴木氏は先輩近藤氏との想い出を此の記事で披露している。掻い摘んで紹介するのは余りにも中途半端で失礼に当たるので、やめておく。関心をもたれた方は昨日の東京夕刊版を探されたい。

 先般、元通産官僚・古賀氏の寄せた「日本のマスメディアはなぜ権力に弱いのか」を取り上げたが、近藤氏は他紙の同年輩メディア人と並び、まさに古賀氏が指摘する今風マスコミ人間とは違う記者魂を
もつひとりであったのは間違いない。たとえば(故)筑紫哲也氏(故)西山太吉氏らと共通する権力監視の使命感・反骨精神を私は近藤氏に感じている。

 此の二人と比べ存命の田原総一郎氏がいかにも薄っぺらいのはこれら3人を知るひとにとっては自明だ。単に90歳を超えた高齢だからではなく、田原氏はこれら同年代の故人を知る筈ゆえ、
いまのうちに潔い退場を。  内館牧子さんではないが『老害の人』ほど自分では害に気づかない。田原氏は其の生きたサンプルだ。評論をやめ、ドラマ出演を勧めたい。

 ★ 逸話は紹介したくないといいながら、私は鈴木氏が近藤氏の自宅を訪れ最後の会話を楽しんだ中でのエピソードを挙げておきたい。それが記者魂について近藤氏が遺した言葉だから。
「なあ、このごろの新聞やけど……」案の定、グチがこぼれかけましたが、私が聞きたいのはその先のこと。
「どうすりゃ、いいんですか?」
「アハハ。樹木希林さんがこう言っているんだ。<楽しむのではなくて、面白がることよ。楽しむというのは客観的でしょ。中に入って面白がるの。面白がらなきゃ、やっていけないもの、この世の中
 (『一切なりゆき』文春新書)。われわれ新聞記者こそ、奥へ、奥へだ」。ぎょろりとにらみつけられました。
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 これは傍観する立場と当事者の立場のどちらがメディア人間にとり重要か、という当たり前の真理を告げるものだ。奇しくも古賀氏が指摘した10項目全体にわたる弊害の現状とも照応している。
だが、これはメディアで生きるのではない我々全般の生き方にも当てはまる教訓ではないか。 
コメント
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