静 夜 思

挙頭望西峰 傾杯忘憂酒

 【 民 主 主 義 の 意 義 】 と ガ ー シ ー 議 員 に 投 票 し た 有 権 者 の < 国 政 参 加 責 任 意 識 >

2023-01-31 13:16:29 | 時評
◆ <民主主義のゆくえ 日本が鍵握る年に> 東大・宇野重規教授:中日懇話会<中日新聞主宰>で講演 (東京新聞抜粋) 要旨のみ
・ 振り返れば、数年前まではトランプ米大統領の登場などで民主主義を案じる声が広がっていた。確かに民主主義はいろんな人がいろんなことを言うから、決定に時間が
  かかるし、何も決められないこともある。
・ 今の大学生は私たちの頃より真面目。将来の社会が不安で、強い切迫感を持っている。若い人は政治に無関心と言われがちだが、データ上は決してそうではない。
  ただ、民主主義を信じていないとは言えるのかもしれない。改めて、自分たちの未来を自分たちで決める自信を取り戻したい。
・ 英エコノミスト誌による日本の民主主義指数は、21年時点で17位。年々順位を上げているが、微妙な評価だ。要因は投票率の低さ。国政選挙で5割前後、2人に1人が投票に
  行かない現状だ。女性議員の少なさなども要因だ。
   昨年、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題や国葬を巡る世論の分断があった。政府が決定した原発新設の方針や反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有について、
  国民の間で十分に議論されたかというと疑問だ。
【民主主義の意義】
・ 自分にとって大事なルールが勝手に決められることなく、異議があるなら言える「公開による透明性」
・ この社会が自分たちの社会と思える「参加を通じての当事者意識」
・ 参加と責任が結び付いている「判断に伴う責任」だ。選挙制度の改革などで、もっと民主的な国にすることが重要と考える。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 宇野教授の講演前半部は国会議員や国政に携わる人々へのメッセージであり、後半の「民主主義の意義」は有権者である全国民への呼びかけである
後半部の呼びかけを、NHK党から立候補したガーシー「GaaSyy」参議院議員<東谷 義和(=ひがしたに よしかず)氏>に投票した有権者は、どう考えるのだろう?

出馬した理由を「お金」「不逮捕特権」「エンタメ界を変えるため」「影響力の拡大」と述べ287,714票で当選したが、議員報酬に見合う責務を果たさない東谷氏に1票を
入れた人々は、宇野教授が説く「民主主義の意義」の観点から、自分の判断と投票行動をどう思っているのか? <面白い奴がいるぜ!>の軽いノリで投票所に行っただけ?

★☆ G氏が当選するのは自由選挙制度の負の側面だが、それでも未だ、軍部独裁や1党独裁国よりは幸せ。・・其の通りだが、自由に浮かれて遊んでいると失うものは?
   失うのは教授が上に示した「透明性」「当事者意識」「投票参加に結び付いた判断責任」だ。 失えば国民は烏合の衆となり、独裁国と同じことになる
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≪ 今 朝 の お 目 覚  ≫  こ れ か ら の コ ロ ナ 感 染 対 応     学 歴 と 幸 福 感

2023-01-31 08:43:18 | トーク・ネットTalk Net
◇ コロナウイルス:<2類か5類か>でなく・・・どう扱う?
・ 此の見出しは、毎日の特集「見上げてごらん」で永山悦子論説委員が掲げたもの。最後の結論めいた投げかけは『「2類か5類か」という二者択一でなく、
 「コロナ類」や「オミクロン類」と考え、ウイルスの特性を踏まえた対応でどうか?』という。
・ これだけでは意味不明だが、想像すると、感染したウイルスの強弱と症状で分類することにより医療機関での導線対応や公費負担対応も分けては如何?と聞こえる。
  仮にそうなら「コロナ類・オミクロン類」呼称ではなく<感染力強度1類・2類>といった分類で将来の変異株出現に対処すべきかもしれない、と私は思う。

★ この法的分類変更論議で取り残されかねないのが<感染力の強弱と無縁な高齢者&基礎疾患保有者>の抱える高リスクへの対処だ。
☆ それと、インフルエンザとの決定的違いである「後遺症残留者」への公費負担継続をどう扱うか? が論議されないといけない。
  加えて、後遺症のせいで休業へ追い込まれ、生計に影響が出ている人への休業補償も正面から法制化すべきではないか?


◆ ≪ 小田島 隆の「学歴論」≫ を読んで
・ この本の底本は『人はなぜ学歴にこだわるのか』(メディアワークス:2000年)。同氏が昨22年亡くなった記念に、二人の評論家が解説を付けなおして再版された。
  二人とは内田樹(たつき)&本橋信宏の両氏。最初の版や本書を読んだ方も多くいらっしゃるだろう。小田島氏は多作なライターだった。私は氏が日経新聞に連載した
 『ア・ピース・オブ・警句』を欠かさず読んでいた。独特の語順と言い回しで反問を繰り返しつつ読者に問いかけてゆく筆致、そこに潜む真面目さに私は魅かれたと思う。
  反面、その不器用さは『ア・ピース~』に限らず、本書でも同じ。此の調子で目の前で喋られたら聴くのが辛い方も居ようが、文章になると不思議に惹き込まれてしまう。

・ 内田氏の言葉を引用するなら、本書は「大学を出た人が書く学歴論のループ」を出ることはなかった。然し、内田氏の小田島氏への評価は<学歴への拘りの解消ではなく、
  拘りがなぜ解消不能なのか、其の構造解明が本書の狙いなら、それはただしく実現された>であり、私も異議はない。
   ワインやブランデーのように学歴が階級差別のラベルとなるのは日本だけの話ではない。民族、時代や統治体制が変わっても、階級は必ず生まれる。社会で学歴が
  一定の役割を果たすのもまた普遍的だから、小田島氏が本書で解いてみせた構造論はどの国にも当て嵌まるだろう。

☆ 中卒や高卒で世に出た人が学歴を論じたらどうなるか?小島氏は、本書でそれに触れ「学歴と処世能力や幸福感は別であることを証明する人はゴマンと居る」と世の
  学歴信奉亡者へ投げ返す。社内で大卒だからと終身雇用に守られ定年まで全うした無能・無気力な同輩を知るだけに、これまた私は自分の職歴からも同感である。
  上司となった優秀な高卒者が陰で大卒者を嗤い、敵愾心と「何クソ!」精神で頑張っていた姿を知るだけに、小田島氏ならずとも同じことを言うだろう。

 部分的だが終身雇用が崩れて人材流動化が進行する現在の日本で、学歴ラベルの神通力は低下の一途を辿っている。「学歴と処世能力や幸福感は別であること」は、
  低学歴者の恨みや激励的処世訓としてではなく、今まで以上に高学歴者にも広く当て嵌まる真理となる。・・進学を前にする子供をもつ親世代の方々は心されたい。
  
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【書評170-3】〆    ≪ 完訳 ≫   中国奥地紀行     イザベラ・バード 著   金坂 清則(訳) 平凡社ライブラリー    2013-14年 

2023-01-29 20:50:49 | 書評
 本書<原題『揚子江流域とその奥地』>が刊行されたのは1899年。旅を終えたのは1895年央なので「結論」と題して整理された巻末部分は帰国後4年を経過している。
「結論」で述べているのは、混乱と腐敗の度を増す一方の社会にあって、日清戦争敗北が契機と思われる近代化運動の高まりへの期待だが、バード自身は中国に居ないので、
叙述は英国で収集された情報がもとになっている。

バードが例に挙げた近代化とは、鉄道や電信設備、港湾インフラの整備であり、新聞雑誌の普及、西洋書籍の輸入頒布や日本への留学、日本軍人の招聘を皇帝が奨励したことも含まれる。更には康有為を中心とする国政改革の提唱にも触れており、先も述べた【西洋の酵母】の例えを用いながらバードは、日本の近代化をモデルとすべしとのトーンで書いている。日本と違い、国土が広大で人口が多い(当時の推計で4億人)中国の変革には時間がかかるので、西洋諸国は慌てず急かさず近代化を補助せよ、20世紀を目前にした中国は離陸できるか衰微するかの分かれ道に居る、と予言的に締めている。

 バードは触れていないが、孫文(孫中山)が清朝打倒を目指し、最初の武装蜂起をハワイで企てたのは1894年、日清戦争中のタイミングであり、バードが東アジアに滞在していた頃だ。武装蜂起が失敗に終わると、承知のとおり孫文は(1895年)日本に亡命、宮崎滔天らの支援を得て、1911年の清朝皇帝退位をもって辛亥革命を成功させた。
 1904年に亡くなったバードはどこまで辛亥革命に至る動きを知っていたのか不明だが、革命後の中華民国は清朝宮廷系の画策や地方軍閥同士の争いで統一国家になれぬまま
第一次大戦、ロシア革命後の混乱で統一はいっそう遠のいた。孫文が世を去ったのは1925年。日本の大陸進出でいよいよ中華民国が弱体化しつつあった時期だ。

 後世、中華民国が孫文の目指した代議制民主国家になれなかった理由は何か?と問われる。強力なリーダー不在のまま地方単位のボス割拠が続いたので自由選挙ができなかったのが大きいとされる。或いは、孫文の期待に反し日本が満州経営から華北まで侵略したため中国は戦費に追われ、国富を蓄積できなかったともいう。そして、それらが合わさって国民党の支配は弱体化、日本との戦争に明け暮れるうち消耗し、とうとう毛沢東との内戦に敗れてしまった。結果論としては、そういう流れになる。

 バードの予言の裏目が出て、中国は本書刊行からちょうど50年後(1949年)、西洋諸国が望んだ国にはならず、共産主義専制の独裁統治システムをもつようになった。
思えば、19世紀の西欧列強の振る舞いではなく、第一次大戦以降、露骨になった日本の中国敵視策が皮肉にも共産中国誕生を導いてしまった。それは隠喩でも何でもない。
浅沼訪中団(1960年)に「日本のお蔭で内戦に勝てたよ」と毛沢東が笑顔で述べたのが何よりの証左だ。
 1915年の「対華21ヶ条要求」、1919年の「五・四運動」を経たあとの1924年、孫文が行った神戸商業会議所での演説【大アジア主義講演】に政府要人が耳を貸さず、日本は中国の友にならないと訣別を告げた。 日本は中華民国を支えず、中国共産党の台頭を自ら招く愚を犯したのであり、これは日本の政治にとり、今に続く痛恨の過誤であった。  
  バードの本書を当時の日本で読んだ人も居た筈だが、孫文の悲痛な声に対してと同様、日本人は彼女から何も学ばなかった!
 
        < 了 >
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≪ ボブ・ロバーツとのお喋り ≫  中国から日本への移住に不向きなのはどんな人か?

2023-01-29 15:55:07 | ボブ・ロバーツとのお喋り
(ボブ) は~い、How are you, Shao-Li ? シカゴは信じられないほど寒いぜ。湖は浪の姿そのまま凍ってる。
(小李)おう、ボブ。元気かい。浪のシェイプそのままとは、思い出すぜ、まるで Hokusai の世界だな。 トーキョーも今年は寒い。朝晩はずっと below zero だよ。
(ボブ)ふむ、そうなの。北極・南極の氷が溶ける一方で寒気の流れは狂っちまったね。といって、海水温は上がりっぱなしだから。
(小李)まったく、その通りだ、わけがわからない。 何か面白い話はある?
(ボブ)残念だが、ない。何かあるかい?

(小李)じゃ、ひとつ。中国の政府系メディアにPeople's Daily というのがあるんだが、其の海外華僑版が「日本が移住先として向いてる人とは?」という特集をしている。
(ボブ)へえ~。其の意図は分からないが、日本に移住している中国人は多いのかい?
(小李)日本政府の統計ではおよそ200万人といっている。外国籍の中では最も多い。其の数はず~っと長期トレンドで増えているね。
(ボブ)ふ~ん。関係は良くないと言われてるのに増えているとは・・・。帰りたくない人が増えてるのかな? で、どんなこと書いているの?
(小李)先ずひとつ目の設問は<日本は金持ちにとっての天国なのか、貧困者にとっての地獄なのか。あるいは、日本には貧富の差や階級は存在しないのか。
    日本で生活してきた華僑華人たちの誰もが実感するのは、日本は『階級』はないが『格差』はある民主国家だ>としている。
(ボブ)ウエスタンワールドで言うClass の事を言うなら日本には無いのかな? でも、social disparity は、どこの国にもあるしな。

(小李)もうひとつ;「この格差は日本だけのものではなく、日本への人々のあこがれを妨げるものではないが、日本の文化的特徴や法的システムは一部のグループに
    『慣れない』と感じさせる。あるいは、日本に移住するのが向かない人がいるのは確かである」と論じた。
    「日本は法制度が厳密に整備され、厳格に執行されている国だ。制度化された規定について曲解は許されない」こちらの方が大事なんだ。続けるぜ。
    日本移住が向かない人の例として「ルールを個人的な視点から解釈する、あるいは法の抜け穴をくぐる人」「人間関係の境界線があいまいな人」も
    日本の雰囲気は適さないと指摘している。 日本語翻訳が正しいのか、という疑問は残るがね・・・。
(ボブ)俺にはわからないが、シャオリーはどう思うの? そんなものかい?
(小李)大雑把なまとめではあるが、間違ってはいないな。だが、此の記事を特集した意図は勘ぐれば色々考えられるので、面白いと言えば面白い。
(ボブ)中国政府は国外移住を引き留めにかかってる? それにしては不思議な論調だね。 ま、有難う、面白い話題だった。 バイ!
 
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【書評170-2】    ≪ 完訳 ≫ 中国奥地紀行     イザベラ・バード 著   金坂 清則(訳) 平凡社ライブラリー    2013-14年 

2023-01-29 09:36:44 | 書評
  書評【169-4】で、バードは日本で基督教伝道が捗らぬ阻む下地として神道の<無道徳で無教義>性を挙げているが、それ以外には祖先崇拝の伝統に加え(現世享楽の肯定・禁欲主義の忌避・不可知論・無神論)を列記している。では、1895年当時の中国においてキリスト教の普及が進まない理由を彼女はどう分析したのか? 比較してみよう。
 (1) 排外・外国人蔑視<夷狄史観>  (2) 儒教の重さ  (3) 中国語の発音&表記が西欧語文書の翻訳に不向き  (4) 偶像崇拝の伝統 (5) 祖先・鬼神崇拝<悪霊鎮魂/来世否定>

 日本社会と同じ、又は似ているのは(4&5)であり、中国固有なのは(1・2・3)だろう。(1)は、19世紀に入って以降受けた西欧列強からの屈辱のみならず、永く
東洋のチャンピオンとして君臨してきた誇りと自負の為せる感情であり、お気づきのように21世紀の今に至るも失っていない。習近平がくちにする『中華民族の復興』だ。

(2)に関してバードは「五教」と呼ばれた次の「教え」を引用している。  1.皇帝への忠誠  2.親孝行  3.長幼の序  4.夫婦の和  5.朋友の信
これは儒教の基本であり、其の影響を受けたとはいえ、日本と違い中国では仏教が人心のよりどころではなくなっており、ほぼ姿を消している点も指摘している。
それと「文人階級」による精神文化の独占が融合している為、西洋式講話による大衆への伝道は大衆識字率の問題と合わさり、進展しないのでは?とバードは観察している。
伝道師は口語会話習得だけでは不十分で、文人階級の使う書物言語(=文語?)をマスターせねばならないとも言っている。それが恐らく上に挙げた理由(3)と関連していると思われる。

 此の伏線にはバードが日本各地への旅で驚いた和人子弟の識字率の高さが裏返しにあり、武士階級が消滅した日本と対照的に貴族文人階級が厳然と残っていた清朝支配の構造的問題を暗に指している。他方、彼女は庶民階級社会の特徴として次を挙げている。<家族が個人に勝る絆社会であり、それをベースにした村落共同体である><村落内部での相互不信と相互監視が伝統にある>  農家出身の毛沢東はこれらの特性を熟知しており、共産化で導入した<人民公社>統治は正しく此の村落伝統を活用したのだろう。
 
 19世紀このかた西洋諸国は清朝政府を無能と嘲り、軍事脅迫に支えられた貿易拡大に努めた。だがバードは日本と中国で見聞した布教の背景分析から異を唱える。
侮り脅して利権を守るのではなく、日本に西欧が行ったように近代科学技術導入を手助けし、国の近代化を成功させねば老大国は崩れてしまい、それは英国はじめ西洋諸国が注いできた投資を無にしてしまう。北京政府が倒れては貿易どころではない、これが大英帝国の国益擁護と伝道拡大に資する道ではないか?と彼女の論法が冴えわたる。
  この考えを『西洋の酵母』という表現で金坂氏は置いているが、バードの原文がどうであれ、言い得て妙な翻訳とはこのことであろう。

 それにしても研究者として専門教育を受けたわけではないバードが”健康回復の為に”と医師の助言で旅に出た最初の動機が信じられないほど、ここまで的確な社会政治分析を
短い旅程の間に成し得たのは驚嘆するしかない。まさに只者ではなかった。日本紀行の時より年齢を重ねたぶん、洞察の深みが増していると感じるところだ。
 観察と分析に留まらずバードは、日本紀行では言及しなかった中国の将来に何が肝要かまで述べている。それは明治維新に刺激を受けた近代化運動である。< つづく >
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